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管理職比率は何パーセントが妥当?――増えすぎる管理職問題

「管理職は、もはや罰ゲーム」――近年、こんな声がささやかれるほど、管理職の役割を敬遠する若手が増えました。

その一方で、「ウチの部署、管理職ばかりで…」と、嘆く現場も少なくありません。

組織が逆ピラミッド状態になっているという悩み、あなたも感じたことがあるのでは?

では、そもそも管理職はどれくらいの割合が適正なのでしょうか?

組織の成長を支える大切な役割とはいえ、その数が多すぎても少なすぎても問題が起きます。

妥当な管理職比率とは、一体どれくらいなのでしょうか?



妥当な管理職比率は約10パーセント


まずは、データをもとに現状を見てみましょう。

厚生労働省が発表した「令和3年賃金構造基本統計調査」をもとにしたレポートによると、全体の管理職比率の平均は11.5%とされています*1。

その内訳は、部長クラスが3.8%、課長クラスが7.7%と、上級管理職ほどその比率が低いという結果になっています。

また、業種別に見ると、管理職比率が高いのは「学術研究、専門・技術サービス業」で17.7%、「情報通信業」で16.0%といった業界。

一方、管理職比率が低いのは「医療・福祉」で5.9%、「運輸業・郵便業」で6.5%という数字が出ています。

このように、業界や事業によってその比率に多少の差は見られますが、総じてみると、管理職比率は10%前後が妥当と考えられるでしょう。


「スパン・オブ・コントロール」だと、一人の管理職あたり5~8人のメンバーが適正な範囲


さて、データをもとに現状を把握したところで、理論的な視点からも考えてみましょう。

ここで参考になるのが「スパン・オブ・コントロール」という考え方です。

「管理限界」とも訳され、一人のマネジャーが直接管理できる部下の人数や業務領域があるというものです*2。要するに、管理職には一度に管理できる部下の人数に限界がある、ということです。

この考え方では、一般的に5~8人が適正な範囲と言われています。これを超えると、部下の育成や支援が十分に行き届かず、メンバーが孤立したり、成長が阻害されるリスクが高まります。

この「スパン・オブ・コントロール」の考え方に基づいて組織全体の管理職比率を見てみると、単純計算では12.5~20%程度が妥当な数字と言えます。これは先述のデータよりもやや高めの数値ですが、どのような業種や規模であれ、管理職比率が20%を超えると組織運営に危険信号が灯る可能性が高いかもしれません。

もちろん、現場の実情や業務内容によって適正な比率は変わりますが、この考え方は組織の健全性を判断するための一つの基準として参考になるでしょう。


(参考情報)
*1 山田 沙樹(2022)「管理職比率に紐づく管理職の実態調査 管理職比率が高い産業ほど管理職の平均年齢が若くなることが判明」セレクションアンドバリエーション オフィシャルレポート

*2 日本の人事部「スパン・オブ・コントロール」https://jinjibu.jp/keyword/detl/1345/(2024年9月29日アクセス)

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