欧州では1ヵ月休みが取れる、は本当?
今年の夏休みは、久々に海外旅行や地元に帰省された方が多いのではないでしょうか?
長いお休みを取ると「1週間だと物足りない。欧州のように1ヵ月バカンスが取れれば…」と感じる人もいるでしょう。
ただ、実際のところはどうなのでしょうか?
日本は国際労働機関条約を一部批准していない?
エクスペディアさん(世界19ヶ国 有給休暇・国際比較調査2019)によると、ドイツやスペインなどの国では、有給休暇の日数が30日であり、取得割合が100%となっています。
もちろん「有休30日の取得率100%」だからと言って、連続30日休むわけではありませんが、2週間から3週間の長期休暇を取ることが多いようです。
これだけ長い休暇を取得できるのは、国際労働機関(ILO: International Labour Organization)が定めた基準があるからです。
意外にも日本国内ではあまり知られていませんが、国際労働機関の規定では、労働者の休暇について次のように定められています。
労働者は1年間の勤務につき3労働週の年次有給休暇の権利を持つ
休暇は原則として継続的に取得することが求められる
連続2労働週を下回ってはいけない
この規定に基づけば、例えば週に5日働く場合、10日以上の休暇を取らなければならないわけです。
多くの先進国はこの条約を批准していますが、日本はそうではありません。
というのも、かつて日本は、世界と同じスピードで追いつくために最低限の休暇しか設けなかったのです。その考え方が今も続いており、日本の労働基準法にも反映されています。
日本人は休んでいないは本当?日本は祝祭日数がダントツ多い!
但し、日本の有給消化率は高くないものの、祝祭日はダントツ多い国でもあります。
プレジデントオンラインさんの記事によると、フランスやスペインの祝祭日が9日に対して日本は17日。 約2倍以上の祝祭日があるため、「日本は休みが多い国だね」と言われることもあります。
さて、意外なのが米国の休暇事情です。
日本と比べると有給休暇の取得率は高いですが、祝祭日は決して多くありません。米国の有給休暇取得率は約74%(14日)、祝祭日は10日です。つまり、データ上では、休暇日数(有給取得日数+祝祭日)が日本は合計27日に対して米国は合計24日と、実はあまり変わらないのです。
ここまで見てきた通り、国によって違いはありますが、国際労働機関の条約や各種データを見る限り、1カ月と言わないまでも、2~3週間の長期休暇を取得することはありえるのです。
では、なぜ諸外国ではこうした長期休暇を取得できるのでしょうか?
なぜ、欧州は1ヵ月休みが取れるのか?
これは仮説に過ぎませんが、"労働者の権利"や"お客様との関係性"の違いが影響している可能性があります。
フランスやドイツなどでは、契約書に明記されていない業務は受けないという意識が強く、時にはストライキも起こることもあります。労働者の権利を大切にする風潮が根付いているのです。
また、ビジネスにおいても、日本と比べて、こうした国々ではお客様との関係性が違っています。例えば、あるときそのお店が2週間お店が閉まっていても、「仕方ないですね」と受け入れる文化があるようです。
休み方は国によって異なり、一概に「日本は働き過ぎ」とは言い切れないでしょう。ただ、少なくとも日本は長期休暇を取得するのは難しい側面があると言えます。
今後、働き方改革とともに休み方改革も進んでいくかどうか、注目です。
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