「ジョブ・クラフティング」とは?仕事にやりがいを見出せないあなたへ
最近、「自律せよ!」と言われる機会が増えました。一方で、職場では「これお願い!」と組織の方針に合わせて働くことも求められます。
「え、どっちなの?」
こう迷われる方も多いはず。
もちろんケースバイケースですが、出来ればどんな仕事でも自分なりの意味を見出し、取り組みたいですよね。
今日はこうした状況で役立つ「ジョブ・クラフティング」という考え方をご紹介します。
ジョブ・クラフティングは、自分の仕事をより楽しく、充実感を感じられるように改善する方法
「ジョブ・クラフティング」(Job Crafting)とは、一人ひとりが仕事に対して自分なりの工夫を行い、その認知や行動を調整することで、退屈ややらされ感を「やりがいあるもの」に変える手法のことを言います。
この概念は、米経営学者、エイミー・レズネスキー氏とジェーン・E・ダットン氏によって2001年に提唱されました。これをきっかけに、世界中でジョブ・クラフティングに関する研究が増え、ビジネスにも浸透し始めました。こうした動きを見ると、これまでのアプローチでは限界が見えてきたことがわかります。
ジョブ・クラフティングを職場で活用することで、多くのメリットを得ることができます。たとえば、離職率の低下です。ジョブ・クラフティングによって従業員は仕事に魅力を見出すことができ、やりがいを感じやすくなります。モチベーションも向上するでしょう。
また、新しいアイデアの創出にも効くと言われています。仕事への向き合い方が変われば、仕事そのものへの理解も深まり、自発的に取り組むことができます。これによって新しい発想も得られるのではないかという考えです。
そのほか、社内コミュニケーションの活性化や生産性の向上なども見込めると言われています。まさに良いこと尽くめなのです。
ジョブ・クラフティング実践で大切なのは、日常的な工夫や小さな変化の積み重ね
さて、気になるのはジョブ・クラフティングの実践方法です。現在、さまざまなメソッドが開発されています。
まず押さえていただいた方が良いのが、国内ジョブ・クラフティング研究での第一人者、高尾 義明さん(2023年現在、東京都立大学大学院教授)です。
高尾さんはジョブ・クラフティング関連の著作物を多く出されていますが、『「ジョブ・クラフティング」で始めよう 働きがい改革・自分発!』(日本生産性本部 生産性労働情報センター、2021年)は全体像をつかむのに非常に良い書籍です。
次いでオススメしたいのが慶應義塾大学教授 島津 明人さん考案のアプローチです。島津さんは、ワーク・エンゲージメントの国内研究第一人者ですが、次のステップで取り組むことを提案しています。
1) どの業務にジョブ・クラフティングを実施するか考える
2) 業務に対してできる工夫をやり方・周りの人・考え方の観点から考える
3) 計画カードを作り、実行する意識を高める
4) 実行したことを振り返り、上記手順を繰り返す
研修として実施するときのマニュアルも公開されていますので、まずは施行したい企業にとっては取り組みやすいと思います。
ジョブ・クラフティングの実践アプローチはさまざまな視点で提案されていますが、重要なのは、大きな変化を求めるのではなく、日常的な工夫や小さな変化の積み重ねを通じて、仕事の意義や満足感を見つけることです。
急激な変革を求めるのではなく、少しずつ前進し、自分の仕事に対する新たな視点を持つことを心掛けましょう。小さな調整や試行錯誤が、仕事への新たな価値を発見する手助けとなると思います。
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