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人事評価、何を基準にする?ーー3つの評価基準
「社員の評価を決めるとき、どこを見ればいいんだろう?」
人事評価を担当すると、こんな悩みに直面することがあるかもしれません。
評価を適切に行うためには、あらかじめ決められた評価項目に沿って、従業員の成果や成長を正しく評価することが大切です。
とはいえ、「具体的にどんな項目を設定すればいいのか?」と迷うこともあるでしょう。
人事評価を行う際に大切な3つの基準を見てみましょう。
■「評価の基準って、どう決めるの?」― 業績・能力・情意のバランスが鍵
「この人、すごく頑張ってるけど、成果がまだ出ていないんだよな…」
「チームを支えてくれているけど、数字には表れにくいし…どう評価すればいいんだろう?」
人事評価をする際、こんな悩みに直面することはありませんか?
評価の基準として重要なのは、 「業績基準」「能力基準」「情意基準」 の3つです。
業績基準:目標の達成度や成果を評価する
能力基準:仕事を遂行するためのスキルや知識を評価する
情意基準:仕事への姿勢や態度などを評価する
この3つのバランスを考えながら、職種や経験年数、役職に応じて評価項目を設定することが、適切な人事評価につながります。
たとえば、新入社員は「能力基準」や「情意基準」を重視し、まずは成長を促すことが大切です。一方で、管理職であれば「業績基準」の比重を大きくし、組織全体への影響を評価することが求められます。
さらに理解を深めるために、一つずつ基準の内容も見てみましょう。
■「頑張っているのに結果が出ない…それって評価される?」― 業績基準の考え方
「毎日何十社も回ってるのに、なかなか契約が取れない…」
「努力してるのは分かるけど、成果が出ていないと評価は難しいのでは?」
業績基準とは、一定期間内の業務成績を数値で表し、その結果に基づいて評価するものです。
しかし、単に「業績結果」だけを見るのではなく、「目標達成率」や「業績プロセス」 も評価項目に含めることが重要です。
成果だけで評価すると、努力しているのに結果が出ない人の評価が低くなり、モチベーションの低下につながる可能性があります。
たとえば、「契約はまだ取れていないが、毎日一定数の企業にアプローチしている」といった行動を評価することで、継続的な努力を促し、最終的な成果につなげることができます。
ただし、業績基準の評価項目は、客観的に評価できること が前提です。「頑張っているが結果が出ない」という抽象的な評価では、公平性を欠いてしまいます。
そこで、「1日に何社にアプローチした」「何回プレゼンを行った」など、具体的なプロセスを設定することが大切です。明確な行動指標を持たない場合、評価項目として扱わない方が適切でしょう。
業績評価は、「結果」と「プロセス」の両面をバランスよく組み込むことで、従業員の成長を支え、組織全体の成果向上につなげることができます。
■「スキルがある=評価される?」― 能力基準の考え方
能力基準とは、業務に必要なスキルや知識を評価する基準です。具体的には、思考力、企画力、プログラミング能力など、職種や役職によって求められる能力は異なります。
さて、ここで大事なのは必ずしも「能力がある=評価される」 というわけではないということです。
「資格は持っているけど、実際の業務にはあまり活かせていない…」
「アイデアは出すけど、形になっていない…どう評価すればいい?」
実際に能力基準で評価し始めると、こんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
もちろん能力があるかどうかも大事ですが、その能力を実際の業務に活かせているかどうかも、あわせて見ることが重要です。
たとえば、企画力があっても、提案したアイデアが実際の商品やサービスに結びついていなければ、業務としての成果にはなりません。知識やスキルを持っているだけで評価するのではなく、どれだけ業務に活かしているか をしっかり見極めることが大切なのです。
また、制度設計においては、能力評価のバランスを意識することも重要です。
特に能力基準を設定する際には、上位グレード(管理職など)よりも、下位グレード(一般社員など)のウェイトを大きくする のがポイントです。
能力はもちろん大切ですが、評価をする際は、「活かしているか」「業務に貢献しているか」 までを総合的に判断するようにしましょう。
■「部下の頑張っている姿、見えてますか?」― 情意基準で評価するポイント
「結果は出ていないけど、真面目に頑張っている…」
「いつも周りを気にかけて、サポートしてくれるけど、それって評価できるの?」
情意基準は、仕事への姿勢や態度、例えば「やる気」や「組織人」としての姿勢を評価するための基準です。
ただこれは、一見すると、評価が難しいように感じるかもしれません。主観の割合が多いからです。
しかし、「真面目に頑張る従業員」や「モラルやルールを守れる従業員」は、会社にとって欠かせない大切な存在です。たとえ要領が悪く、結果を出せないことがあっても、会社や仕事のために頑張る姿勢を評価することで、未来を担う人材を育てることにつながります。
では、どんな項目で見るものなのでしょうか。代表的なのが、勤務態度や成長意欲、マナー、責任感、協調性、積極性などです。業務や役職に応じて適切な項目を設定するのがポイントです。
ただ、やはり悩ましいのは、情意基準はどうしても主観的になりがちな点です。そのため、評価者を決めて、普段から従業員の勤務態度や言動を観察し、客観的な視点を持って評価することが重要です。
特にマネジャーは「見えない努力」や「チームを支える力」も、しっかりと評価していくことで、社員のモチベーションを高め、組織全体の活力を引き出すことができます。
人事評価は、従業員の成長を促し、組織全体のパフォーマンスを向上させるための重要な手段です。評価項目は必ずしも一律ではなく、職種や役職に応じて柔軟に設定することが求められます。
各基準がうまく機能し、従業員が自身の成長を実感できる評価制度を作ることで、企業全体の活力が高まり、より良い成果を生み出すことができるでしょう。
評価を通じて、従業員がやる気を持ち続け、さらに成長していける環境を整えましょう。