詩のご紹介247 ふるさとは多摩川(小黒恵子作)
こんにちは。小黒恵子童謡記念館です。
今日は、合唱組曲「草笛のうた」~ふるさとは多摩川~ という合唱曲集の中から、第4作目の「ふるさとは多摩川」をご紹介します。
小黒さんは、今までの詩からもわかるように大の動物好きとして知られています。また、自宅(小黒恵子童謡記念館)が多摩川のすぐそばにある、ということもあり、多摩川の自然をこよなく愛されていました。「東京の多摩川に鮭よ帰れ」という願いをこめて、「ふるさとは多摩川」という副題をつけられています。
組曲の副題でもある“ふるさとは多摩川”--その多摩川の辺りで、クラウンの少女たちがこの歌を高らかに歌ったあの雪降りしきる日を、私はこれからも忘れないでしょう。1984年2月26日、“東京にサケを呼ぶ会”が鮭の稚魚30万匹を多摩川に放流して、自然への回帰を願ったあの日の思い出は、凍(い)てつく寒さとはうらはらに、心暖まるかけがえのない思い出として、私の心のなかにこれからもずっと生きつづけていくにちがいありません。
と、作曲者の湯山昭さんは、書かれています。
ふるさとは多摩川
小黒恵子作詞/湯山 昭作曲
手のひらの小さな池に 生きている
小鮒(こぶな)のような 鮭(さけ)たちよ
小さな体に 大きい夢をのせて
さあ元気で 行っておいで
たとえ波間(なみま)に はぐれても
未来(あした)にかける 希望を抱いて
大きく育って 帰っておいで
あたらしい生命(いのち)の 誕生のために
きみたちのふるさとは 多摩川
東京と神奈川の 握手するところ
川原(かわら)にそよぐ みどりとみどり
遙(はる)かな夕映え(ゆうばえ)の 富士山が美しい
忘れないで 母なる川
きみたちのふるさとは 多摩川
手のひらの小さな池に 泳いでる
小鮒のような 鮭たちよ
冷たい流れに 勇気の炎(ほのほ)燃やし
さあ仲よく 行っておいで
生きるよろこび 背にのせて
波また波の 果(は)てない海へ
遙かな旅して 帰っておいで
あたらしい歴史の 誕生のために
最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。
次回は、「草原のうた」~ふるさとは多摩川~ の中より「風が薫る日」をご紹介いたします。(S)