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小椋 杏
2015年2月26日 03:24
身体の自由が奪われれば奪われるほど、心は自由に大空を翔けた。 私はそんな時、声を限りに歌い続けた。朝も、昼も、夜も。 私の歌声は格子のはめられた窓を通り抜け、高く響き、低く唸り、多くの人の耳に届いたという。ある人はぼうっとした様子で私の歌声に耳を傾け、またある人は落涙とともに私の歌声を聴くという。だが私には、そんなことは関係なかった。心が自由に求めるままに、歌って、歌って、歌った。
2015年2月26日 03:18
大きな木に身体をもたせかけて、生い茂る茨の隙間からわずかに覗く青い空を、ラナは見るともなく見ていた。ここに来てからもうどれくらい日が経ったのか、それすらラナには解らない。空腹も度を越して、何も欲しいとは思わなくなった。ただ、ひどく喉が渇いていた。 ぼんやりとした頭で、ここに来てから何度となく考えていたことを、ラナはまた考えだした。考えたからとて答えが与えられるわけでもないのに。それでもラナは