小規模食品メーカー心が折れちゃうポイント①
おはこんばんにちは。
阿蘇小国郷ピクルス本店です。
私自身が小規模食品メーカーを立ち上げる時につまづいた場面は沢山ありました。
同じ時期に立ち上げを試みた友人もいましたがそのほとんどは途中でハードルを乗り越えられずに断念してしまっています。
私自身が小規模食品メーカーとして活動していると色々な方が自分もやってみたいと相談に来られて、部分的なアドバイスをしましたがやはり立ち上げ途中で心が折れて断念する人がほとんどでした。
小規模食品メーカーとして起業する時に、そんな途中で心が折れちゃうポイントについてお話します。
もしこれが参考になって、みなさんがハードルを乗り越えられるお手伝いができたらと思っています!!
分からずにぶつかるとただただ大きな壁ですが、分かっていれば大きくても戦略は立てられます!!!
心が折れちゃうポイント①は・・・
既に飲食店を経営されている方で、お店の味をご自宅でも楽しんでもらえるように瓶詰などの商品を開発・販売する企画を立てることがあります。
こういったプロの方でも加工品製造の許可を取る時に「嫌だった」とか「つまづいてやめっちゃった」というお話を聞くことがあります。
やりたいことはたくさんあっても、製品の製造基準や施設・設備の基準などいろんなハードルが出てきて心が折れちゃうんです。
心が折れちゃうポイント①は保健所対応です。
保健所対応で心が折れそう、折れちゃった例
これまで私がお聞きしたお話しを例に説明しますね。
まずは飲食店など既に食に関する事業をされている方の場合です。
1.試作もして許可を取りに行ったらだめだって言われた。
2.加工品専用の製造場所がないとだめだって言われた。
3.新たに製造場所も作って許可をもらいに行ったら基準に合わないって言われた。
次にこれまで食に関するお仕事の経験がなくて食品製造に取り組もうとしている方の場合。
4.何もわからないから相談に行ったらすごくお金がかかるみたいで諦めた。
5.長期保存のための殺菌方法や保存方法が分からない、教えてもらえない。
1.のお話しですが、加工食品で最も重要な長期保存の方法がはっきりと確立できていなかったようです。飲食店ではその場で提供されますが加工品は半年とか1年とか保存されます。例えばステーキも、焼きたてをその場で食べれば美味しそうですが焼いてからそのまま置いておいた物を半年後に食べようとすると・・・色々考えちゃいますよね。。
保健所が1番気にしているのは食中毒が起きる可能性の有無です。食中毒を防止する方法がしっかりと説明できて賞味期限検査などの客観的な資料を提示できなければ保健所としては良い返事ができないのだと思います。
こちらの場合、諦めそうになったのですが私から長期保存のためのアドバイスをさせて頂いて試作をやり直しました。その後賞味期限検査も行って無事製造許可の取得と販売を始めることができました。
2.のお話しですが、厚生労働省から各保健所への通達の中で「原則1施設1許可」が明記されています。様々な検討を保健所でしますが、こちらの場合は新たな製造許可の性質上、専用の製造場所の確保が必要だったようです。製造場所の確保と必要な設備をそろえるのにかなりの額がかかる試算だったようでこちらの場合はここで諦めたそうです。
3.のお話しですが、オーナーさん「これはかなりきついだろうな」と思ったものでした。結果を先にお伝えすると見事製造許可を取得されて商品の販売が開始できました。でも、追加の費用が結構掛かったそうです。
食品の製造許可の種類は多岐に渡ります。それぞれの製造許可に応じて施設の基準も異なりますし必要な設備も変わってきます。この辺の詳しい例は後程書きます。想定していた製造許可ではなく実は別の許可が必要で、作ったいた施設では本来必要な許可の基準を満たさなかったそうです。ついでに設備も追加でそろえる必要があったそうです。
「もうお金をかけていたから途中で引くに引けなかったのよ、やめれるならやめたかったけどね」と仰っていました。
4.のお話しですが、この様な内容は本当によく聞きます。今回はある農家さんが自分たちで育てた自慢のトマトをトマトソースにして販売したいと保健所に相談に行ったそうです。専用の加工場所を作る必要があることはご存じだったようですが、保健所で内容から「ソース類製造業の許可」に該当しそうですねと言われたようです(2021年6月以前の出来事)。さあ大変です、詳しく書くとものすごく長くなるのですが、簡単に言えば専用の機械が必要でかなり高額です。この農家さんはこの話を聞いてその場で販売を諦めたそうです。
5.のお話しですが、これは初めて加工食品を作る方なら誰もが引っかかるハードルです。加工食品を作れるかどうかはこの「長期保存のための殺菌方法や保存方法」にかかっていると言っても過言ではありません。加工食品メーカーにとってこの方法は企業秘密で教えられません。保健所でも教えてくれません。
ではなぜ保健所で教えてくれないのか?
「殺菌方法は使っている器具や環境、容器の種類や内容物によって変わってくるからです。決まった方法はないのでメーカーさんでしっかりと殺菌方法を確立して賞味期限検査でも問題のない数値が出るように方法や手順を構築して下さい」というのが保健所のスタンスだと思います。
こちらの場合は商品の作り方が分からないので諦めたそうです。
心が折れないように準備が必要です。
1.~3.は保健所とのコミュニケーション不足が問題だったと思います。事を起こす前に保健所に電話一本でいいので軽く相談しておけば回避できたんじゃないかなと思います。
4.はお金がかかると言われてその場で心が折れてしまった例です。せっかくやる気と良いトマトがあったのですから前もって保健所に電話で相談しておけば、トマトソース以外の商品作りの選択肢もあったかもしれません。
5.は作り方が分からないので手の出しようがないのかもしれません。「小規模食品メーカーの作り方、企画から販売開始までの実践講座」を受けてもらって商品の作り方や長期保存のための殺菌方法など一緒に学んで頂く他ないと思います。
製造許可の種類は作り方や内容物、保存方法によって変わる可能性があります。
例えばカレーについて説明します。
*ここから製造許可の種類について書きますが、あくまでも例として挙げます。管轄の保健所の判断や詳しい商品の内容によって製造許可の種類は変わります、必ず保健所に問い合わせて確認を取って下さい。
Ⅰ.カレー屋さんがご家庭でも楽しんで頂けるようにお店で出しているカレーをパウチなどに入れて冷凍した物を商品として販売する場合、保健所の判断にもよりますが「そうざい製造業の許可」が必要になるかもしれません。
Ⅱ.カレー屋さんがご家庭でも楽しんで頂けるようにお店で出しているカレーを瓶詰めした物を商品として販売する場合、保健所の判断にもよりますが「密封包装食品製造業の許可(2021年6月以降)」が必要かもしれません。
Ⅲ.カレー屋さんがご家庭でも楽しんで頂けるようにお店で出すカレーの素になるルーを商品として販売する場合、保健所の判断にもよりますが「調味料等製造業の許可」が必要かもしれません。
上記はあくまでも例として書いていますが、お分かりいただけたでしょうか?
似たようなものでも製造許可の種類は変わってくる可能性があります。
面倒だなと思うかもしれませんが、私の様に製造許可の種類とその要件を理解しているとこっちの製造許可の方が施設も設備も安くて簡単に作れるなと分かってきます。分かっていればハードルに引っかからないように作ろうとする商品自体を微妙に変えながら対応できます。
まとめ
加工食品事業を立ち上げる時、つまづいて心が折れるポイント①、保健所対応を書いてみました。
心が折れてしまうのは
・こんなはずじゃなかった!
・そんなにお金かかるの?
・どうやって作ればいいのよ?
な状況になったときだと思います。
「小規模食品メーカーの作り方、企画から販売開始までの実践講座」では保健所対応でつまづかないようにこれまでの経験や知識から対応方法や商品の作り方についても詳しく説明します。
実際に保健所とやり取りをする時にもオーナーさんに同行します。なぜそこまでするのか?私が同行して保健所の方とお話しすることで意図しない製造許可が必要ですねとならないようにお話しをまとめます。意図しない製造許可が必要となると販売を始めること自体が不可能となることもあります。保健所対応はそれほど慎重によく調べて、しっかりと準備しないと思わぬ方向に話が進んでしまうことがあります。今回の例はまさにそれで皆さん心が折れかけたり、折れてしまって諦める結果となっています。
せっかくやる気になったのならここは失敗しないように十分に準備をして下さいね。