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書評│80/100 「フェイク・マッスル」★★★★



あらすじ

たった3ヵ月のトレーニング期間で、人気アイドル大峰颯太がボディービル大会の上位入賞を果たした。SNS上では「そんな短期間であの筋肉ができるわけがない、あれは偽りの筋肉だ」と、ドーピングを指摘する声が持ち上がり、炎上状態となってしまう。当の大峰は疑惑を完全否定し、騒動を嘲笑うかのように、「会いに行けるパーソナルジム」を六本木にオープンさせるのだった。文芸編集者を志しながら、『週刊鶏鳴』に配属された新人記者・松村健太郎は、この疑惑についての潜入取材を命じられ、ジムへ入会する。馬場智則というベテラン会員の助力を得て、大峰のパーソナルトレーニングを受講できるまでに成長。ついに得た大峰との一対一のトレーニングの場で、ドーピングを認める発言を引き出そうとするが、のらりくらりと躱されてしまう。あの筋肉は本物か偽物か。松村は、ある大胆な方法で大峰をドーピング検査にかけることを考え付くのだが――?フェイクが氾濫する時代の、「真実の物語」が始まった。

Amazonより
Amazon フェイク・マッスル 単行本 – 2024/8/21 >>

評価

総じて「良い読書体験だった」と言える本だったと思います。私もトレーニー(筋トレをする人)なので、それによって総合評価の素点はドーピングされていると思います。

作品のイメージとしては「片平なぎさの2時間ドラマ」もの。多少奇想天外だったり、時系列に不自然な部分があったり、考証が甘かったり、等があっても、しっかり起承転結つけて完結させるエンタメです。

故に、評価でも触れた「良い作品だが、数日経つと全部忘れる」「血肉にはならない」が発生します。

どんな人におすすめ?

  • 筋トレをしている人、したいと思っている人

  • 頭空っぽにして物語を追いかけたい人

  • ガチ読書に疲れている人

おすすめできない人

  • トレーニングについての科学的な知識を、本書を通じて取り入れようと思っている人

  • 作品に向けて、本格的な推理をしたいと思っている人


下記から、少しスペース空けてネタバレ感想述べます。ご注意下さい。












ネタバレ感想

雑多に述べる

20kgのバー挙上も苦労するガリガリ状態から、2ヶ月でベンチプレス80kgは無理だよ!日野(作者)さん!

まぁ、考証しっかりやったとしてもエンタメ小説だからそのリアリティは不要なんだけれども。トレーニーとしては気になっちゃいます。

「ベスト・マッスル・フェスティバル」は「ベストボディ・ジャパン」が元ネタかな。ざっくり言うと登竜門的な大会ですね。

ボディビルとは異なる肉体の美しさ」というのがコンセプトなので、実はボディビルとは一線を画している団体・大会。

「JBBA」は「JBBF」がネタ元ですね。アンチ・ドーピング機構の「JADA」と「WADA」は実在する機関です。なぜここだけ実名。

総論、本作はB級です!!

梶永正史著の「警視庁捜査二課 郷間彩香シリーズ」というのがありまして。私はこれが大好物です。

それに近いものを感じるんですよね。あともう一歩。下記、私の作成した「B級ミステリーを構成する定義」によれば恋愛要素が足りなかったです。

同僚の年上女性と作中でなんだかんだトラブって欲しかった。

オッグスのB級ミステリ十戒

1. 登場人物の誰かが、明らかに優れた能力を持っていてそれが作品に深く関わる

2. 組織より個人に力点が置かれている

3. 謎解きよりはストーリーに力点が置かれている

4. 読書対象者をマスに設定している(読みやすい、話の展開が分かりやすい)

5. 主人公と誰かが恋仲になる、なりそうな状態が描写される

6. 一定のご都合主義的なヤマ・タニが存在する

7. ハッピーエンドである(多少の含みや犠牲があっても良い)

8. 犯人は物語の序盤で登場しなくても良い

9. 超常の力、偶然がストーリーの根幹部分に関与しても良い

10. 主人公や探偵が犯人であっても良い

面白かった、またいつか

作者の日野さんのことは憶えました。ぜひ、今後も良質なB級ミステリを書いて私を救って欲しいです。

(梶永正史さんが全然新作出してくれないのでB級欠乏症)

同作読んだ方、ぜひあなたの意見も聞かせて下さい。
そう!読後の爽快感やモヤモヤも、誰かに伝えることでスッキリするのです。人間は共有する生き物です。

さあ、早速この記事に気軽にコメントしてみましょう!「スキ」もお待ちしてます!信じるものは救われます

私の近況、「完全教祖マニュアル」が面白すぎて2周目に入っています。

では、またnoteでお会いしましょう。

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