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【事例あり】会社のビジョンを実現させる、経営理念の作り方

あなたの会社には経営理念がありますか?
どのような思いや考えを持って経営理念を策定しましたか?
その経営理念を作成した意味や目的を、従業員は把握できていますか?

経営理念を策定していたとしても、従業員に経営理念の意図・意味を理解されていなければ、策定した意味がありません。

「額縁にかけられているだけで、どういう目的でつくられたか分からない」
「そもそも、自社に経営理念があるのかどうかすら知らない」

このような声が従業員から挙がっていたら、かなり要注意です。
今回は、経営理念を策定する重要性事業成長の関係性について、深く掘り下げていきます。

経営理念とは

そもそも経営理念とは、会社の存在意義目指すべき未来像を言語化したものです。
なぜこの会社は社会に存在しているのか。何を目指しているのか、社会にどう貢献していきたいのか、などを明確化したものです。
経営理念はいわゆる会社の「軸」となりますので、会社を設立している以上、この「軸」は必ず創業者や経営者の頭の中にあるはずです。
その軸を第三者にも分かるように明文化することが、経営理念の策定だと捉えることができます。

経営理念の明確化はなぜ必要なのか

では、経営理念を明確化することの必要性について具体的に整理していきます。

1. 会社の「軸」が明確になる
先述したとおり、経営理念は会社の軸です。経営理念を策定することでその企業が目指すべき方向性大切にしている価値観が整理され、会社としての軸が明確になります。
会社として目指すべき軸がぶれていては、メンバーが目指す方向もバラバラになってしまい企業としての力が分散してしまいます。会社の軸を明確にすることは、組織力の向上に大きく貢献するといっても過言ではありません

2. メンバーの一体感や人財育成につながる
自分が働く会社の方向性や価値観を理解することは、経営側にとっても現場側にとっても非常に重要です。
経営理念という軸があれば、会社がどういった考えや方針をもっているのかについて発信することができます。メンバーがその内容を把握できれば、目指すべき方向性がはっきりと分かり、そして各メンバー同じ方向を向いて業務にあたることができます。

独自調査によると、経営理念を明確化し、従業員にきちんと共有できている企業は4割以下という結果になりました。この結果は、6割以上の企業では従業員が、何の目的をもって働いているのかがわかっていない状況ともとらえることができます。


(下図)経営陣から経営理念の共有がされていますか?
※2020年株式会社エックスラボによるインターネット調査結果

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経営理念は経営者の心の中だけでとどまっていても意味がありません。きちんと各メンバーへの共有を行い、明確にしておくことで意味を成します。

経営理念という共通の価値観や方向性を各メンバーが持ててれば、組織としての一体感も強まりますし、同じ方向を向いて業務に取り組んでくれるメンバーの育成にもつながります。
経営理念に沿って成長するメンバーが増えることで個の力が強くなり、結果として強固な組織づくりに繋がるのです。

3. 採用活動に生かせる
経営理念の明確化は、既存メンバーだけでなく求職者にも大きな影響を与えます。
求職者は、その企業を調べる際に、どのような価値観や考えをもっている会社なのかを調べることがほとんどです。経営理念を公にしておくことで、求職者は自分自身と会社との価値観や方針が合うかどうかを判断した上で応募してくれるようになります。

経営理念がしっかりと明示できていれば、求職者も自分の仕事に対する考え方価値観とその企業とがマッチするかどうかを判断する指標にもなりますので、仕事に対する価値観が違う求職者からの応募は減少するでしょう。

どれだけスキルや経験値があっても、そもそも目指したい方向性が求職者と会社との間で大きく違っていては、お互いの成長を阻害してしまいかねません。
入社前後での認識ギャップを防ぐためにも、経営理念は有効な力を発揮してくれるのです。

※人財採用時のマネジメントの詳細についてはこちらの記事をご覧ください。

経営理念の作り方 押さえるべきポイント

では、実際に経営理念を策定していくにあたり、特に重視していただきたいポイントについてご紹介していきます。

ポイント1. ミッション・ビジョン・バリューの関係性を理解する

経営理念は、企業によって「ミッション」「ビジョン」「バリュー」として示すこともあります。
このミッション・ビジョン・バリューの考え方は、もともと「マネジメントの父」とも呼ばれる経営学者のピーター F. ドラッカーが提唱したものとされています。

ドラッカーは、企業としての使命や実現したいことをミッションそのミッションが実現した時の状態(未来の状態)をビジョンそしてそれらを果たすために必要な価値基準としてバリューを定めています。

ミッション:企業の存在意義や使命を明確にするもの
ビジョン:企業としての未来像や目標を明確にするもの
バリュー:時間軸にとらわれず、企業としての在り方や行動で永続的に意識し続けるべき価値観を明確にするもの

要するに、ミッション・ビジョン・バリューは全て同じ意味を持つものではなく、それぞれがもつ役割や時系列も異なるのです。

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時系列で分けると、ミッションは「現在果たすべき使命」、ビジョンは「実現したい未来像」、そしてバリューは「過去から未来に向けた永続的な指針」となります。

それぞれの言語がどの時系列を示し、どういった意味を持つのかを正しく理解した上で経営理念を策定していきましょう。


ポイント2. 自社理解を深める

経営理念は、その会社の考え方や価値観を示すものですので、会社の数だけ経営理念は存在するとも言えます。
経営理念を作る際には、ぜひ他社の策定事例も参考にしていただきたいのですが「他社の使っている理念が良さそうだから、うちも同じような理念にしよう」という安易な真似は、会社の軸を大きくブレさせてしまう恐れもあるので気をつけましょう。

あなたが経営者であれば、ご自身が今の会社を創業した理由やきっかけ、当時の思いなどを今一度洗い出してみてください。
会社の存在意義や目的、この先実現させたいことなどをどんどん書き出していき、軸となる本質的な部分は何かを探し出します。
そして書き出した内容をもとに、ざっくりとで結構ですので経営理念の方向性をまとめてみてください。

今一度、原点に立ち返って自社のことを理解し直し、本質と向き合う時間をつくることは、経営理念の策定には非常に重要なプロセスとなります。


ポイント3. 策定時は他のメンバーも巻き込んでみる

経営理念は必ずしも経営者1人だけで作りあげなければいけないものではありません。先述した通り、そもそも経営理念自体は全メンバーが把握・理解しておかなければいけない指標ですので、各メンバーが経営理念を「自分ごと」としてとらえられる環境をつくることも大切です。

先ほどの「ポイント2」では、経営者が経営理念の土台となる部分を整理しました。その上で、さらにプラスすべき要素はないか、どういった未来像を一緒に描きたいかといった部分については従業員サーベイ(アンケート)などを用いながら意見を吸い上げていくこともおすすめです。


ポイント4. 経営理念に関して項目ごとに質問を投げかける

経営理念を作り上げていくにあたって、正しく経営理念を策定できているかどうか、軸が正しいかどうかを見直すことために、OGSでは以下のような質問項目を投げかけることを推奨しています。
これらの質問項目に答えられる経営理念になっていれば、正しく経営理念を策定できていると考えられます。

■ミッションに対する質問項目
・何によって世界をより良くするのか?
・持続可能な使命になっているか?
・事業に独創性はあるか?
・社会のどんな課題や需要に対して、どんな価値を持続的に想像するのか?
■ビジョンに対する質問項目
・どんな会社、組織になりたいのか?
・独りよがりではなく、四方良しになっているか?
・実行可能性を感じる未来像か?
・夢を感じ、共に歩みたいと心から願う未来像か?
■バリューに対する質問項目
・使命遂行における独自の価値はあるか?
・メンバーの行動を導く内容になっているか?
・メンバーを幸せにできるか?
・メンバーの創造性や共創を促進し、独自の価値創造に繋がる必要十分な内容か?

メンバーの意見を踏まえて最終調整をかけ、これらの質問に答えられる内容の経営理念を作り上げていきます。
経営理念を正しく策定することができれば、全メンバーが経営理念に対して納得感を持ったり団結力が高まることに繋がり、組織の方向性が整備されていきます。

経営理念の事例紹介

実際に経営理念を策定するにあたり、他社の事例も参考にしてみてください。
ただし、ここで注意すべきなのは、単に気に入った文言を自社に流用するといったことは絶対に控えることです。
自社と向き合い、自社ならではの経営理念を策定しなければ、どれだけ素敵な文言が並んでいてもその経営理念は効果を発揮しません。

他社事例を把握することを目的として、ぜひご覧ください。

バリューマネジメント株式会社の事例

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【ミッション】
歴史的資源を活用した
「観光まちづくり」

【ビジョン】

日本の文化を紡ぐ。
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参照:バリューマネジメント株式会社

当社の社外取締役でもある他力野淳 氏が代表取締役を務めるバリューマネジメント株式会社では、国家課題にも挙げられている空き家や空きビル問題に目を向け、建造物の利活用を行っています。歴史的建造物や資源を生かすことで、日本の文化を継承していくということを軸とし、ビジョンとミッションを策定しています。
また、これらとは別に「目指す組織」についても言語化しているのが特徴です。

キリンホールディングス株式会社の事例

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【ミッション】
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します

【ビジョン】
食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる

【バリュー】
熱意・誠意・多様性〈Passion. Integrity. Diversity.〉
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参照:キリンホールディングス株式会社

キリンホールディングス株式会社では「食・健康」を軸にしたミッション・ビジョンを掲げ、それを実現するための考え方の指針として3つのバリューを策定しています。ミッションとビジョンに関しては文章で表現している一方、バリューは認知しやすい単語で端的に表現しています。

楽天グループ株式会社の事例

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【ミッション】
イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする

【ビジョン】
グローバル イノベーション カンパニー

【バリュー】
楽天主義
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参照:楽天グループ株式会社

楽天グループ株式会社では「イノベーション」を軸としたミッションとビジョンを策定しています。ビジョンに「グローバル」という単語が入っていることや、英単語を用いた表現が多いことから、視点が世界にあることが伺えます。
また、バリューは「楽天主義」という楽天ならではの造語で表しています。

当社の事例について(ミッション・ビジョン・バリュー)

実際に当社、株式会社エックスラボではMISSION(ミッション)VISION(ビジョン)VALUES(バリュー)を約2年前にブラッシュアップしました。

以前からミッション・ビジョン・バリューは存在していましたが、時代の流れやニーズにあわせて会社が目指すべき方向性や指針について見直していくことも必要になります。
当時は組織づくりに大きく舵を切っていくタイミングでした。その変化に合わせ、経営理念も見直そうと決断をしたのです。

ブラッシュアップ時には、役員だけでなくマネージャー以上のメンバーを集めて、各項目の文言を最終調整しました。議論は何時間にも及びましたが、結果として納得感のある自社らしい経営理念を定めることができたと感じています。
策定後は全メンバーに策定の意図・意味を伝える場を設け、全社的に経営理念に対する認識やベクトルを揃えました

また、当社では策定した経営理念(MISSION・VISION・VALUES)は採用活動時にも活用しています。
求職者が見る各種求人サイトや公式サイトに掲載をしたり、新卒採用時の会社説明会で理念に関する話も積極的に行っています。

同じ価値観をもつ求職者からたくさんご応募をいただけているので、採用面でもとても有効だと実感しています。

株式会社エックスラボ MISSION VISION VALUES

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会社の成長につながる経営理念を

まだ経営理念を作成していない会社は、ぜひこの機会に経営理念を策定して、会社の軸を定めてみてください。
すでに経営理念を策定している会社でも、ブラッシュアップをしていく企業は非常に多いです。時代の変化や所属しているメンバーの移り変わりなどに合わせながら、会社も変化していかないといけません。
従業員も巻き込みながら経営理念を見直す機会を作るのも良いですし「この理念は良いね」「この理念は変えたいね」などといった、フラットな意見交換の場もつくってみてはいかがでしょうか。


OGSでは、具体的に経営理念を策定するためのコツがわかるシートを、無料ダウンロードいただけるようにご用意しています。
ぜひこちらを参考にしながら、経営理念と向き合う時間をつくってみてください。その時間こそが、必ず会社として成長の近道になります!


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