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難しい定性的な職種を、公平・公正に評価するには?

OGSシニアコンサルタントの深石です。

人事評価のコンサルティングをするなかで、定性的な職種では評価項目・評価基準の作り方が難しいという声をよく聞きます。

保育士、看護師、事務職、専門職、技術職、管理部門など、定量化しにくい業務内容がメインの定性的な職種では、評価という数値に落とし込むことに悩まれることが多いです。

そうした定性的な職種であっても、段階を踏んで定量化することで、主観的な評価を抑制し、より公平・公正な評価をすることができます。

定性的な職種を公平・公正に評価する方法について、OGSとしてどのようなアプローチで最終的に評価項目・評価基準を見出していくのでしょうか。

今回は、保育士を例に説明・紹介していきます。

ステップ1:評価の目的を明確にする

まず、なんのために評価を公平・公正にするのかを明確にしましょう。

今回の例でいうと、保育現場で人事評価をする目的とは何かを考えます。それは「保育の質を上げるため」ではないでしょうか。

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保育の質、ひいては園児の健やかさ・豊かさのために、適切な評価の仕組み・制度が必要になってくるということになります。

ちなみに、国家資格である保育士には、国の定めるガイドラインがあります。

前提として、ガイドラインに沿って評価制度を設計していきましょう。

ステップ2:最終的な目標・ゴールを決める

保育士の評価においては、「保育の質を上げるため」に評価をします。

・保育の質を上げるとは、なんでしょうか?
・質が上がった状態とは、どういった状態でしょうか?

この「保育の質を上げるとは?」という問い自体が非常に定性的ですね。そこをもう少し定量的に、形にしていきます。

保育はどういう状態(数値)になれば、質が高い、質が向上した、と言えるのか、保育現場にとっての最終的な目標・ゴールであるKGI(※1)を決めていきましょう。

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(※1) KGIとは、Key Goal Indicatorの略。何をもって成果(ゴール)とみなすのか、という指標のことです。

ステップ3:目標達成のための観点を具体的に可視化する

では、ステップ2で掲げた目標を達成するために、どういった観点で保育の質を上げていけばいいのでしょうか?

最終的なゴールであるKGIを達成するための観点、KSF(※2)は何かということを、見える化していきます。

(※2)KSFとは、Key Success Factorの略。重要成功要因といい、経営戦略を達成するために何が必要かを定めることを言います。

保育の質に関して言えば、以下6つの観点が考えられるかもしれません。

① 親子の満足度
② 専門知識
③ 必要スキル
④ チームワーク
⑤ 業務マニュアル
⑥ 情報発信

これは一例ですが、このように最終的なゴールを達成するための観点を具体的に挙げていきます。

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ステップ4:定量的な目標値に置き換える

最終的なゴールを達成するための観点を見える化できたら、次にKPI(※3)を定めます。

つまり定量的な目標値に置き換えていくわけです。

(※3)KPIとは、Key Performance Indicatorの略。組織やチームで設定した最終的な目標を達成するための過程を、計測・評価する中間指標のことです。

ステップ3で考えた6つの観点を数値化するためには、例えば以下のような方法が考えられます。

親子の満足度
⇒保護者や園児にアンケート調査を行う。定量的な項目を盛り込み、数値化する。

専門知識
⇒テストを実施し、点数化する。

必要スキル
⇒スキルマップを作成して、スキルのレベルを測る。必要なスキルを10個の要素に分類し、10段階で評価するなど。

チームワーク
⇒職員間の連携を図る目的で360度評価(※4)を実施し、数値化する。

業務マニュアル
⇒マニュアル、フロー、ルールの作成に関する業務をポイントに変換する。

情報発信
⇒SNSへの投稿数や、投稿に対する反応数(いいね、の数)などを点数化する。

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(※4)360度評価とは、従業員の部下・同僚・上司からのフィードバックと、従業員自身による自己評価を収集するプロセスのことです。

OGSにおけるコンサルティングでは、このようにして定量化していくプロセスを経て、100%の状態を定めて振れ幅をつくります。

80%、90%、100%、110%、120%の5段階や、同じく10%間隔で50~140%の10段階 などが考えられます。

90%の状態がどういう状態なのか、定量化のプロセスを丁寧に行うことで、振れ幅を明確に作ることができます。

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例えば、各項目で3か月~6か月の目標をたてた際、設定した期間が過ぎ、ゴールを切ったとします。

その時、KSF項目ごとの達成度がわかり、①親子の満足度は110%、②専門知識は100%、③必要スキルは140%、④チームワークは80%、というように、評価の定量化につながるということです。

まとめ

これまでのご紹介した定量化のステップを振り返ってみましょう。

ステップ1:評価の目的を明確にする
ステップ2:最終的な目標・ゴールを決める
ステップ3:目標達成のための観点を具体的に可視化する
ステップ4:定量的な目標値に置き換える

このように、きちんと段階を踏んで工夫をすれば、より公平・公正な評価に近づけていくことができます。


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