ひとりでさみしい/家族のような関係がほしい(1)【ぷろおご伊予柑の大預言】
対談:ぷろおご伊予柑の大預言をアーカイブしています。
収録は2024年4月です。
自由のつぎに欲するのは、家族のような関係だった
伊予柑:久々の収録です。今回は聴衆として、22歳以下の若者が8人ほど集まって、収録を眺めています。みなさんぷろおご図書館のメンバーです。
今回のテーマはこちら。
【ひとりでさみしい/家族のような関係がほしい】です。
伊予柑:大学生たちに切実な悩みを聞いたところ、すごくストレートな「ひとりでさみしい」というのをもらいました。大学生たち、とくに地方出身の人は地方から上京して、ひとり暮らしをはじめるわけです。家族がゼロになるじゃないですか。
そういう人たちの「大学で友達がほしい!」というのは、実は友達でなくて、「ひとりでさみしい」と「家族のような関係がほしい」ということでは?みたいな議論になったんです。
つまり、友達でも彼女でもなく、家族がほしいんじゃないの?っていうところがはじまりです。ぷろおごさんだと地方から上京してきた人がよく奢りにくるのでは?
ぷろおご:そうですね。東京って地方出身の人が多いですもんね
伊予柑:そういう人たちって「家族がほしい」って思ってますか?
ぷろおご:東京の人もおもってますよ
伊予柑:でも、東京の人は家族がいるんじゃない?
ぷろおご:家族が成立しているなら、ね
伊予柑:なるほど
家族との関係が拗れると、家庭は壊れてしまうのか
伊予柑:「家族が成立してる」とはなにか
ぷろおご:家族が成立してる家ってめずらしいですよ
伊予柑:あなたの家は?
ぷろおご:うちは核家族じゃなかったので
伊予柑:ひとつの家に何人もいた
ぷろおご:古典的な家なので、むしろ家族として成立しなくてよくなるというか
伊予柑:それって逆に成立しているんじゃないですか?
ぷろおご:そう。核家族は成立しないと機能しないけど、核家族じゃなかった場合に「これは家族として成立してるのか?」って状態でも機能はするんですよ。人が多いからね。
構成員が少なかったら、システムがすごいきっちりしてないとまわらないじゃないですか。飲食店とかもそう。でも、人がたくさんいたらなんかわかんないけど勝手にまわるよね。システムはそんなにきっちりしてないけど、人数が多いからなんか大丈夫になる
伊予柑:どれくらいの人がいたんですか?
ぷろおご:うちは血が繋がっている人なら十数人いた。で、その知り合いとかもいて
伊予柑:じゃあ店ですね。20人くらいいらっしゃる
ぷろおご:20はいないくらいですかね。犬が3、4匹いるからそれくらい迫力はある
伊予柑:犬込みで20
ぷろおご:普通の家なので。リビングはちょうどこのくらいで、それ以外はこれに2階があるぐらいですね
ぷろおご:2階建てのこれくらいの広さに3世代と来客がいて、自分の部屋とかもない。そういうかんじだったから、あんまり機能しなくてもへいきっていうか、家族として成立してなくてもへいきでしたね
伊予柑:なんとなくビッグダディ的なイメージです。いわゆる核家族って2人の親がいて、子どもが1、2人以上の3、4人の家族なわけですけど、これの成立してる状態としてない状態ってなんじゃろう、という
なぜ核家族で育った子どもは健康を損ねやすいのか
ぷろおご:聞いてるかんじだと、だいたいの人は成立してないですよ。核家族で成立してる家をあんまり見たことがないですね。ギリ成立してるなっておもうのは、じいちゃんばあちゃんが近くに住んでるとかで、それは核家族だけど核家族じゃないというか。ほぼ核家族ぐらいで、なんかわかんないけどいけてるとかはある
伊予柑:あなたの過去の発言に、「母親のご機嫌度により家族がきまる」みたいなのがあったと思うんですけど、成立してない家族はご機嫌度が低いってこと?
ぷろおご:そうですね。まずご機嫌であったとしても、家にいる人間が母親だけっていうのはそもそも不健全だよね
伊予柑:たしかに
ぷろおご:学校だって、大人と2人きりになる瞬間は用意されてないじゃないですか。そのうえ、それよりもずっと長い時間を過ごす、生活するっていうのは厳しいものがあるんじゃないかな
伊予柑:お父さんが会社にいて、家のなかにはお母さんがいる。自分が学校から帰ってきたら、2人きりになるわけですよね。そのとき、相手の機嫌がご機嫌ならいいんだけど、ご機嫌じゃない瞬間があったときなら、もろ引きずられますよね。そうするとたしかに、安全度は下がってしまうのかもしれない
ぷろおご:予算がある家だったら個室が用意されてて、一応セパレートされるんだろうけど、そうすると、こんどは孤独な人になるよね。孤独な子どもになるか相手と2人きりになるか、どちらかですよね。
ずっとあてられて、母親とおなじようなかたちになるか、母親の凹凸の反対の人間になるか。ご機嫌だったらあんまり影響を受けないという意味で、よりフラット近いんですけどね。
そういう意味では、東京より地方のほうがマシな気がする。東京には家がないけど、地方にはあるじゃないですか。東京の人って、東京にも家がないし、どこにもない
伊予柑:逃げ場がない
ぷろおご:そう。逃げ場がないし、知らない。地方の人は家があった状態からなくなったから、「家」を感じられるわけじゃないですか。東京の人って最初から家がなくて、ずっとないんだよね。
なおかつ、まわりもないから気づかないというか、それをどうこうとおもわないだけで、機能としては東京も地方もおなじように失われてる気がする。とくに今の世代ですよね
伊予柑:ひとり暮らしではなく、セパレートされてない部屋のルームシェアだったらどうだったんだろうって考えてたんですけど、友達と2人で住んでも、やっぱりセパレートされてないルームシェアだと相手の感情にかなり引きずられますよね。
たとえば3人でのルームシェアで1人がバイトがめっちゃ遅い子で、あとの2人は大学から帰ったときにずっとおもに2人、みたいなルームシェアだったら、どうやっても相手の感情に左右されてしまう。そうすると親度はより強いですね
ぷろおご:未成年だし
伊予柑:けっこうしんどいですね
家族との関係を維持するために、なにができるのか
ぷろおご:理由というか構造としてはちょっとちがうけど、東京も地方もそんなにさみしさは変わらない印象ですね。出身問わずみんなだめというか
伊予柑:どうしたらいいんですかね
ぷろおご:たまたま友達ができたとか、たまたまのめり込んだ趣味があるとかで、そこのコミュニティにあずかって、実家のような場所を実家とはべつで持ってて、そこと実家のあわせでギリ機能するってパターンがほとんどなんじゃないですかね。
家が単体でワークすることは核家族だとほとんどないようにかんじる。だって、見たことあります?「素晴らしい核家族で育ったんですね」みたいなさ
伊予柑:俺は地方なので、おばあちゃんがいた
ぷろおご:東京のほうが絶対、家が狭いじゃないですか。土地も持ってないし、なんなら賃貸とか、そもそも物理的に実家がなかったりするわけじゃないですか。ということは、じいちゃんばあちゃんも一緒に住めないし、ほぼほぼ核家族なわけですよ
伊予柑:逃げ場がない家はよくないって話ですよね
ぷろおご:家に逃げ場がなかったけど外にはあって、そのバランスにによって、たまたま核家族成分を浴びすぎずに済んで、うまいこと成人した人はいますけど、家庭単体だと基本みんなさみしいとかストレスがすごいな、という印象ですね。よく「家族のような関係」とかっていうんですけど、たぶんみんなが想像してる家族ではないんですよ
伊予柑:みんなが持ってる核家族ではなく、本にでてくる核家族。サザエさん
ぷろおご:サザエさんの話です。3、4人じゃないんですよ。もっといる。おじいちゃんおばあちゃんとかいとこ、ノリスケがいるとか、魚屋さんがくるとか、酒屋さんと仲がいいとか、そういうの含めてサザエさんなんで
伊予柑:むりだよ〜
コロナ禍に学生時代を過ごした人々に共通する幻想について
伊予柑:しかもここにいる大学生は、入学したらコロナで「家にいろ!」「zoomだ」って言われて、「オレ、なんのために上京してきたの?家賃7万払ってzoom見てるんだよ。」みたいな世代なんですよ。サークルは崩壊しており、友達ってどうやってつくるの?って状態で、ずっとひろゆきを見ながら育ってきた
ぷろおご:飲み会に行くしかないですよね
伊予柑:20歳になってもコロナだから飲み会がなかったんですよ
ぷろおご:今から飲み会行くしかないですね
伊予柑:どうやって友達つくればいいの・・・
ぷろおご:「友達をつくる」と「さみしい、家族みたいな関係がほしい」っていうのは、ちょっとちがう議論になるんですよ。「家族のようなって」いうのがたんにファンタジーで、少女漫画的であり、白馬の王子様みたいな話でしょ
伊予柑:そうですね。「いつか埼玉の一軒家で、白い犬がいる結婚」みたいなのがファンタジーなのととおなじようにね
ぷろおご:だからまあ、「家族のような関係がほしい」はファンタジー。人はときどき、ファンタジーをおもうよね
伊予柑:必要です
伊予柑:年収1000万で身長170CM以上で家事を手伝ってくれる男性だ
ぷろおご:「家族のような関係がほしい」はたんにファンタジー気質で、「ひとりでさみしい」っていうのは、複合的なニュアンスですよね
だから、「ひとりでさみしい。家族のような関係がほしい」っていうのは、家や実家が成立してない、機能してない、かつ、友人関係とか学校みたいな、物理的な社会との接点がない。で、それをごまかす趣味がないとか、そういう状態
地元の友達のような関係性は、求めても手に入らない
伊予柑:「よっ友」って言うらしいんですけど、大学で「よっ」て言うだけの友達はみんな頑張ってつくるんですよ。でも、「よっ」から先に進まない。飲み会に行っても、「なんかちゃうな」ってなって、終わり
ぷろおご:なんていうんだろう。それも同級生概念に毒されてるとおもう
伊予柑:同級生概念・・・同級生では?
ぷろおご:地元の小学生からの同級生、幼馴染みたいな概念に毒されてるとおもってて、
伊予柑:それしか知らんもん
ぷろおご:そう、あれが特殊すぎるじゃないですか
伊予柑:「小学校の頃からずっと一緒」
ぷろおご:ガキって友達作る天才なんで。天才同士がくっついたらそれは友達ができる
伊予柑:ドッジボール4年くらいやってきたからね
ぷろおご:意味わかんないけど仲いいじゃないですか。そういう付き合いがはじまるッ!とおもって友達をつくろうとしてる。でもそれってファンタジーなんじゃないかな
伊予柑:じゃあどうしたらいいんだよ・・・
ぷろおご:100回飲みに行かないとわからないんじゃないですか?
伊予柑:100回!金もないし時間もない・・・お前じゃないんだよ!!!
ぷろおご:飲みっていう概念をどんどん縮小していかないといけないんでしょうね。飲み会に行ってどうやって友達をつくるのか、その飲み会に行って友達ができるのかなんて、わかんないんですよ。だってわかんなくないですか?
伊予柑:わからない
伊予柑:じゃあ大学以上の友達ってなんですか?ドッジボールしないんですよね?
ぷろおご:就職するしかないんじゃない?
伊予柑:えーっ!!すっ飛ばして?
ぷろおご:就職したら通わなきゃいけないから実質、学校じゃないですか
伊予柑:会社じゃ、友達はできないですよ
(下へつづく)
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