海外アートニュース(2024年7月16日ー31日)
【不動産】
レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画「モナリザ」のモチーフとして有名な貴族の女性リザ・デル・ジョコンドの家族がかつて所有していた邸宅が1,960万ドル(約30億円)で売りに出された。この邸宅は、イタリアのフィレンツェ郊外のスカンディッチにある。1300年頃に建てられた4階建てのこのヴィラは約43,000平方フィートの広さで、何世紀にもわたって改修が行われてきたが、当時のディテールが数多く残っているという。-ARTnews
【美術館】
希少な中世初期のセイウチの象牙彫刻を、200万ポンド(約4億円)でヴィクトリア&アルバート博物館が取得した。高さ18センチの彫刻は800年以上前にヨークで彫られ、ヨセフがイエス・キリストの体を十字架から持ち上げる様子が描かれている。40年間ロンドンのV&Aに貸し出されていたが、所有者がメトロポリタン美術館に約200万ポンドで売却した。英国が一時的な輸出禁止措置を講じてV&Aが2月に取得を目指すと発表しており資金調達に成功したため、英国に残ることになった。-The Guardian
【盗難事件】
2002年7月にパラグアイのアスンシオン国立美術館で起きた強盗事件は未だ解決していない。失われた名作は約2億ドル相当(約306億4,000万円)、その中にはティントレットの自画像、アドルフ・ピオルの女の頭、ギュスターヴ・クールベの風景画、、作者不明の16世紀の聖ヒエロニムスの肖像画などが含まれていた。当時の情勢不安により美術館に防犯カメラが設置されておらず、捜査を困難なものにしているという。-artnet
【チャリティーオークション】
ニューヨークの非営利団体スイス研究所は、現代アートを支援する史上初かつ唯一のチャリティーウォッチオークション「TimeForArt」の第2回開催を発表した。オークションは2024年12月にフィリップスで開催されるフィリップスNYウォッチオークション一環として行われる。第1回では世界有数の時計メーカーによる17の時計が集められ、120万ドル(約1億8,000万円)が集まった。オークション収益の100%が様々な展示会、公開プログラム、教育およびワークショップを通じてアーティストを直接支援するために使われる。-WORLDTEMPUS.
【アートフェア】
写真、デジタルアート、ニューメディアに焦点を当てた現代アートフェアである「フォトフェア」は、2024年のニューヨークフェアを取りやめ、来年3月に香港版を立ち上げることを発表した。第1回は3月26日から3月30日までセントラルハーバーフロントイベントスペースで開催され、3月26日はVIPデーとなる予定だ。-ARTnews
【個人美術館】
フィラデルフィアのバーンズ財団は過去6か月間に12のフルタイム職を解雇した。対象となった職の中には財務部長やキュレーターも含まれる。財団は人員削減の理由を「さまざまな理由」と述べている。1億3090万ドル(約201億円)の基金を誇るバーンズ美術館は、19世紀と20世紀の美術品のコレクションで毎年数十万人の来館者を集めており、2023年下半期には2880万ドル(約44億2,000万円)を調達している。-ARTFORUM
【行政】
25か国の税関と法執行官の協力により、ヨーロッパ各地に散らばっていた6,400点以上の文化財が回収された。スペインが主導しユーロポールとインターポールが支援したこの作戦では、85人が逮捕されている。パンドラ作戦と名付けられたこの計画は、2016年以降毎年実施されており、当局は空路、陸路、海路の国境検問所で検査を実施し、美術機関、オークションハウス、インターネット関連の企業を調査している。-ARTFORUM
【オークションハウス】
サザビーズの2階建てのメゾンが7月27日、香港のランドマークチャターにオープンした。1階ではオークションに加えて、年間を通じて展示会やパフォーマンスが行われ、オープンに際しては2つの展示会が開幕する。“Bodhi: Masterpieces of Monumental Buddhist Art” (菩提: 記念碑的仏教芸術の傑作)では仏教芸術の発展を辿り、“Ice: Two Masterworks on Loan from the Long Museum” (氷: ロング美術館から貸し出された 2 つの傑作)では、何世紀にもわたる氷の驚異をゲルハルト・リヒターの「アイスベルク」などを交えて展示する。-South China Morning Post
【美術館】
イスラエルの美術館の一部が外国の美術館でコレクションが破壊されるのを防ぐため、新たな予防策を講じている。イスラエル美術館は、外国の美術館で展示される作品に添えるラベルに美術館の名前を印刷しないよう求めた。またハイファ大学のルーベン・アンド・エディス・ヘクト美術館など他の施設は、名前は公表するが、所在地は明記しないことを選んでいるという。これらの方針は公表されていないが、イスラエルの新聞ハアレツ紙が報じた。-artnet
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