浦沢直樹の漫勉neoで感じる「キャリアがあっても進化する」という底力
Eテレで放送中の「浦沢直樹の漫勉neo」という番組をご存知じでしょうか。
浦沢先生が同業のマンガ家さんに自ら声をかけ、その方の『マンガ制作現場』にカメラを入れ、その様子を覗き見しながら対談を通して魅力を伝えるドキュメンタリーなのです。
これがもう本当に×100、面白いんです!!
(もっと早くから知っていればと後悔するほど)。
小さなペン先から壮大なドラマを生む漫画家たち、その創作の秘密に迫る!
日本を代表する漫画家・浦沢直樹が、漫画家たちの創作の秘密に迫る異色のドキュメンタリー「浦沢直樹の漫勉 neo」
ー公式ホームページより
この番組のすごいポイントはもう山ほどあって、その全ては伝えきれないほど。とにかくすごい。
浦沢直樹先生の洞察力がすごい
具体的に一体なにが凄いのか?
1つ目の凄いところは、このドキュメンタリーのなかで、浦沢先生が対談をしていくときの会話にみられる洞察力の鋭さです。
「マンガ家さんの制作現場」を覗いているだけでも、その技術に圧巻され面白いのですが、浦沢先生の語り口にこそ、このドキュメンタリーの魅力が詰まっているのです。
例えば……
頭のなかに面白い画面が浮かぶかどうか。それを損なうことなく描けるかが漫画家の第一条件な気がする……ニュアンスをそのまま出す、その感覚。
そういったことを、相手の漫画家さんのよさを褒めながら語っていきます。
こういうことをぱっと言語化できてしまうのがすごい!
いかにものごとの細部まで着目して、考えるクセをもっているかを感じることができます。
描いて描いて描きまくっていないと、深い洞察力までは到達できないんだろうなぁ。いや、本当にすごいんですよ。
キャリアの浅い人からも学ぶことができる
2つ目は自分よりキャリアの浅い漫画家さんからも積極的に学べる姿勢です。
岩本ナオ先生の回で、とにかく良い部分をキャッチして褒めまくる浦沢先生。若い先生であってもリスペクトを忘れず、学ぶところを探しているような感じがします。
それを裏付けるかのように番組の公式インタビューでもこのようなことを仰っています。
何を隠そう僕自身が、この番組を通じて描き方が相当変わりましたから。
皆さんの技を、僕がいちばん盗んでますね(笑)。
ー公式ホームページより
『YAWARA!』や『MONSTER』や『20世紀少年』など、錚々たる受賞歴をもっている漫画家さんが、、、まだ技を盗むと言っている……!
すごくないですか?これぞまさにUnlearnの姿勢ではないですか!
そういうことができちゃうから一流なんですね。
失敗を楽しいと思える柔らかさ
3つめに凄いのは「失敗も楽しい」といえる柔らかい考え方です。
諸星大二郎先生の回。
アナログで原稿を仕上げる際に諸星先生が「なんか変!最初から描きなおすかな。。」と言いながら、コマをカッターで切り抜いて、原稿を切りはりし、最初から描き直す様子を観察しながら浦沢先生が呟いた言葉がこちら。
僕もこれしょっちゅうやっていますよ。
「ったくもう」と思いますけど、楽しいですよ。
うまくはまらなくて失敗したり。
でも、こういうことの積み重ねなんですよ。
こんなすごい漫画家さんから失敗とか上手くいかないとか、積み重ねという言葉が出てくるのが意外でした。
うまくいかないことを積み重ねて、楽しみながら継続して。
そういうプロセスをもってして、鍛え上げられていくんですね。
失敗すら楽しめる。
そういった心の柔らかさ、凄いなぁ。。
UXの学びにも活かせる部分が多い
漫勉neoをみながら思うのは、こういったプロの姿勢はなにか新しい思考を身につける際のヒントになるということです。
日頃訓練していないとできない。
練習しないとプロにはなれない。
これは、Xデザイン学校でUXを学びはじめるときに先生から言われたことです。
最初は学校にいくことが学びだと勘違いしていた自分ですが、漫勉neoをみているとそういうことではないと気付きます。
浦沢先生の言葉の端々から継続で生まれる鍛錬の必要性といったようなものをひしひしと感じます。
浦沢直樹先生の語る姿をみていると、あれだけのキャリアがあっても、まだ進化していける底力のようなものを感じることができると思います。
そういった“何かの学びに悩んだときに、ちょっとしたヒントを与えてくれる力”が、漫勉neoにはあるような気がします。
長々と語ってしまいましたが、めちゃくちゃ良いドキュメンタリーなので、ぜひ興味を持たれたら番組をみて欲しいです!
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