尾木グランマ

視点の共有とショートショート

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最近の記事

自転車で20分

久しぶりに母校に行ったんです。高三の時の先生とお話をさせていただく予定がありまして。僕は高校時代と同じく、自転車で向かいました。自転車で行けば20分ほどで着くということくらいは流石に覚えていて、約束の25分前に家を出ました。毎日のように通っていた懐かしい道をペダル越しに踏みしめながら向かいました。学校近くの信号で足止めを食らい、ふと時計を見ると、なんとすでに約束の時間になっていました。余裕を持って出たはずなのに!と戸惑いながら、急いで先生のもとへ向かい、遅刻をお詫び致しました

    • 『家族サービス』

      待ち合わせは上野公園。今日は家族とお出かけ。妻と二人の子供を連れ、上野動物園に向かう。 『家族サービス』というやつだ。日曜くらいはゆったり過ごしたいが、仕方がない。今はこれが私の仕事なのだから。日曜の動物園は流石に家族連れでいっぱいで、たまの休日に家族サービスで駆り出された、くたびれつつも幸せそうな父親たちと、目が合うような、合わないような、そんな感覚を覚える。テナガザルを指差し、屈託のない笑顔を向けてくる4歳の息子と対照的に、9歳になる娘は妻にピッタリとくっつき、私と目も合

      • 全部夢叶えた

        全部夢叶えた 意識が朦朧としている こんなに早く死が来るとは だが後悔はない 太く短い人生だった 走馬灯を見ている 小さい頃から憧れだった甲子園 高三の夏、エースとしてそのマウンドに立った 大学ではバンドを始めた 才能と時代に恵まれ、すぐに国民的バンドになった コツコツ描き続けていた漫画も評価された 漫画を好きになるきっかけをくれた人達に認められた 掲げた目標は全て成し遂げた 達成するまでやった 妥協はしなかった 簡単ではなかった だからこそ価値があった 良い人生だった

        • 世界一の自信家

          話は変わるけど、「これに関しては自分が世界一だ」と思うことはあるかい? 世界一?流石にないかな。この広い世界、何に関しても誰かしら上がいるだろう そうかそうか そういう君は? 僕は一つあるよ ほう、なんだ? 僕は世界一の自信家だ 世界一の自信家?勘弁してくれよ、この世には何人の人間がいると思っているんだ その中で一番だと言っている。実際君は僕の質問に「我こそが世界一の自信家だ」と答える自信がなかった。その時点で君より自信家だろう 僕より自信家だというのは認め

          ある人がビールで優勝するとき、優勝を逃している人がいる

          「今日は〇〇で優勝していく!」というツイートの構文。〇〇には食べ物や飲み物が入り、ここでの「優勝」とは「美味しい食事でテンションをあげること」を指す。個人的に一番よく見かけるのが「今日はビールと焼き鳥で優勝していく!」という文面だ。 忘れてはいけないのが、「優勝した人間が存在するならば、同時に敗者も存在する」という事実である。ビールと焼き鳥で優勝している人がいれば、残業とパワハラで予選敗退している人がいるのだ。そんな予選敗退の人々は今日も苦汁を嘗め肝を嘗め、復讐を誓っているの

          ある人がビールで優勝するとき、優勝を逃している人がいる

          じゃがりこのじゃがバター味ってバター味だよね

          じゃがりこのじゃがバター味ってバター味じゃない? だって「じゃが」味は、味付け前のじゃがりこが担当しているものだよね。 もしもじゃがバター味が正しいなら、チーズ味はじゃがチーズ味であるべきだし、サラダ味はポテトサラダ味であるべきだと思う。 こういうの俺が言っていかないと。

          じゃがりこのじゃがバター味ってバター味だよね