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自転車で20分

久しぶりに母校に行ったんです。高三の時の先生とお話をさせていただく予定がありまして。僕は高校時代と同じく、自転車で向かいました。自転車で行けば20分ほどで着くということくらいは流石に覚えていて、約束の25分前に家を出ました。毎日のように通っていた懐かしい道をペダル越しに踏みしめながら向かいました。学校近くの信号で足止めを食らい、ふと時計を見ると、なんとすでに約束の時間になっていました。余裕を持って出たはずなのに!と戸惑いながら、急いで先生のもとへ向かい、遅刻をお詫び致しました。帰り道、遅れた理由を考察していると、あることに気づきます。当時の「自転車で20分」というのは、「睡眠時間を最大化するべく、信号待ちを考慮した上で最適化されたルートを、爆速の自転車でたどった場合の20分」だったのです。あぁ、本当に懐かしい。こういったリアルな生活に根差した何かに人の心は真に懐き、懐かしむのでしょう。「よく通っていた道」という過去の表層の部分を絡め取って、浅はかなノスタルジックに耽っていた自分が恥ずかしくなりました。


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