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廃墟に乞う
今週の思い出の一冊!
佐々木譲の「廃墟の乞う」、直木賞受賞作。
主人公がメンタルヘルスの問題を抱えているというのが斬新な発想。
佐々木譲の中では、「警官の血」が一番好きだが、確かその次の作品で、やっと直木賞受賞となった。賞に関しては、いろいろ意見があると思うが、私は、直木賞に関しては信頼している。だいたい受賞作で外れはない。さすがと思わせる作品が多い。
舞台はこれも北海道、もう北海道に住んでいたのは、40年前の話だけど、北海道は小説の舞台が良く似合う場所である。
読んでいると、雪の中を歩いている気持ちになれるくらい、北海道がしみ込んだ一冊だ。
メンタルヘルスに問題を抱えながら、生きていく姿、生きようと思う姿勢、社会に戻りたいと願う思いと、体がおいついていかない葛藤等を、一級品のミステリーを読みながら考えることが出来る良書である。