後発商品の商品コンセプトの考え方とは?
以前のノートで、マーケティング理論を実践することの難しさを書きました。企業ごとに異なる環境、条件設定で戦っているため、自社の置かれている状況をきちんと理解しないといけない、という内容です。
商品コンセプト理論についても同じです。
とてもシンプルな理論ですが、使いこなすには市場環境と自社商品の位置づけを理解しておく必要があります。
今回は、これの応用編で、より実践的な商品コンセプトの考え方について書きたいと思います。想定しているのは、すでに(複数の)競合商品が存在するカテゴリーに差別化された商品を発売したい、というシチュエーションです。いわゆるチャレンジャーの取るべき「差別化集中化戦略」で、基本的にシェアNo1企業以外の全ての企業に当てはまるシチュエーションです。
狙うカテゴリーにはすでに競合商品とそのユーザーが存在します。そこに後から自社商品を発売し、競合商品のユーザーを奪うのではなく、新しいユーザーを獲得して競合商品と住み分けるという戦略です。これまで画一的だったカテゴリーに、自社商品を発売することで、これまでになかったサブカテゴリーを作ることになります。
このようなシチュエーションでの商品コンセプトの考え方がこちらです。
1.ターゲットは競合商品ユーザーとは異なるセグメントを考えます。競合商品が取れていないユーザーをターゲットにすることが重要です。
2.参入するカテゴリーと、そのベネフィットを押さえます。これを外しては、そのカテゴリーに参入することになりません。※ここは、競合商品と同じレベルであることが望ましいです。
3.競合商品にはない自社商品ならではのスペックから提供される独自のベネフィットを考えます。これは、競合商品では提供できないベネフィットであること、かつターゲットのニーズに応えられることが条件になります。
4.独自ベネフィットが見つかったら、それを使って新しいサブカテゴリー名を作ります。
このような手順で考えてみると、差別化された後発商品のコンセプト開発が進めやすくなると思います。これが成立すると、このような形でそのままSTPを作ることも可能です。
ターゲットの頭の中に、競合商品とは差別化されたポジショニングが成立しています。この場合、右上の象限が「新サブカテゴリー」としてターゲットに認知されます。ターゲットは、独自Bを求めているので、競合商品ではなく自社商品を選んで買ってくれます。
※今回はベネフィットとスペックで軸を切っていますが、独自Bが2種類ある場合は、それぞれの独自Bで軸を切っても構いません。ただ、後発商品の差別化戦略の場合、競合商品との差別化ポイントは複数組み合わせるよりも、強力なもの1つにした方が望ましいと思います。
後発で商品を発売するからには、競合商品とはしっかり差別化されたポジショニングを実現させたいですね。そうすれば、競合商品では取れない顧客を獲得することでカテゴリー全体の売上UPに貢献することができますし、ファンに長く愛される強い商品を作ることができます。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。