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ターゲットを絞らないという大間違い

メーカーあるあるだと思うのですが、ターゲットを絞り込むことに反対する人たちがいます。ターゲットを絞ったらその人たちにしか売れなくなる、ターゲットを広く設定しておけば、いろんな人に売れる可能性がある、というのが彼らの感覚です。
もちろん、その気持ちはわかるんですが、長年マーケティングをやってきた経験上、それは間違っています。今回は、その理由について書いてみます。

1.商品コンセプトが伝わりづらくなる

お客様は、商品にそれほど関心がありません。つまり、わざわざ商品のことを理解しようとはしてくれないものなんです。
ターゲットを絞ると、その人に向けたベネフィット、メッセージ、デザインなどを作りこみ、伝わりやすい商品にできます。しかし、ターゲットを絞らないと、いろんな人に伝えなければならないため、無難で特徴のない商品になりがちです。言いたいことも絞れず、あれも、これも伝えようとして、結果的に何が言いたいかよくわからなくなるものです。もし魅力的な商品コンセプトだったとしても、きちんと伝われなければ意味がありません。
商品コンセプトは尖っているほど刺さるものです。

2.専用品にはかなわない

幅広いターゲットを狙う商品は、ターゲットを特化した専用品にはかないません。専用品は、ターゲットに伝わりやすいだけでなく、専門性を打ち出すことで、特定のシーンで圧倒的に選ばれやすくなります。
普段はショッピングセンターで買い物する人も、何を買いたいか決まっている時は専門店に行くものです。汎用品では専門品にかないません。

3.結果、ターゲットが狭くなる

たとえば、この図のようにAとB、2つのターゲットに応えらるような商品を考えてみます。

どちらも取りたい

ターゲットを広くすると、このようにA、Bどちらも取れるようなイメージを持ちます。(青い大きな枠のイメージです)

広くターゲットを設定

ただ、実際にこの商品は、Aのターゲットから見ると、こう見えます。

ターゲット目線

AのターゲットがほしいのはAの範囲だけですので、Bの部分は、Aのターゲットには余計で、不要な要素です。Aのターゲットは、Aのベネフィットにしかお金を払いたくありませんから、不要なBの要素がついてきても嬉しくはなく、むしろ余分なものにお金を払わなければいけないことを不満に感じます。
この商品を嬉しく思うのは、AもBもどちらのベネフィットも同時にほしいと思っている人たちだけになります。どちらも取れるのではなく、どちらも同時にほしい人だけしかとれないというのが現実です。

ターゲット範囲

このように、ターゲットを広く設定したつもりが、実際にはターゲットは狭くなります。結果的に、Aのターゲットにも、Bのターゲットにも支持されないニッチな商品となってしまいます。

ターゲットを絞らない間違い

このように、ターゲットを絞らないことは、商品力を下げると同時に、よりターゲットを狭める結果になってしまいます。こういう間違いを犯さないよう、しっかりターゲットを絞り込んだ商品開発が重要です。
A、B、どちらも取ろうとするのではなく、Aを狙う商品、Bを狙う商品、どちらも作って発売することが正解なんです。

ターゲットを絞ることに対して、抵抗する人がいたら、このような説明をしてターゲットを絞ることの重要性を理解してもらいましょう。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。


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