読書感想文:「流浪の月」凪良ゆう
とても読みやすく、わかりやすく、すいすいさくっと読めるが、ちょうどいい温度の表現が散りばめられていてドライな印象はない。
ページをめくる手は止まらず、そして読後はじめて、この物語が語っていたこと、何があったか考えた。
この世は、「普通」の「レール」を外れた人に、あまりにも不寛容だよね。
そもそも、「普通」って誰が決めたんだ?「レール」って誰が敷いたんだ?仮にそれを決めたのが、社会だったり、どこかの偉い人だとして、
なぜその奴隷になる必要があるのか?
というより、「普通」の「レール」を敷いたのは、
外れた人を指さす「あなた」じゃないのか?
そして、「あなた」は、自らが敷いた「普通」の「レール」をはみ出すのが怖くて、
人を指さして糾弾するのではないか?
「あなた」の心はどこにあるのか?
答えのない疑問はふくらんで、連なっていく。
疑問をもつことは、けして見えない他人の心を想像することと近い。
そしてときには見えなくなる自分の心を。
正しいこと、悪いこと、好き、嫌い、
やさしくすること、やさしくされること
愛すること、愛されること、ときには憎むこと。
自分が感じたことを侵す権利は誰にもないのに、
「それはおかしい」と指をさす人っているよね。
お互いを尊重して、赦しあうこと、生きあうこと
難しいことなのかな?
個人的にはものすごく好きな作品ではなかったけれど、
わたしはそんなことを思いました。
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