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書籍【宇宙は数式でできている】読了

https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/4022951605

◎タイトル:宇宙は数式でできている
◎著者:須藤 靖
◎出版社:朝日新書


もし機会があるならば、何の役に立つのかは分からないけど、深淵なる「数学」を学び直したいと思っている。
難しいことは理解できないが、たまに数学パズル的なものをやったり、中学受験の図形の問題を解きたくなったりして、取り組んだりしている。
(それでも当然、解けない問題が多いのだが)
論理立てて考えるという思考そのものが面白いし、その過程の中で発想力を駆使しないと解けない問題もあったりして、そこが非常に奥深いと感じている。
私自身は高校1年の「数I」で挫折した人間だし、結局大学も文系に進んだので、決して数学が得意とは言えない。
しかしながら「数」というものに対して、すごく不思議な気持ちが沸き上がるのはどういうことかと思ってしまう。
正直「よく分からないけど、熱くなる」という感情が存在している。
そしてそれが自分でも心地よい。
本書では数式をほとんど出さずに数学の楽しさ美しさを説いている訳であるが、これは本当にありがたい。
数学というのは、存在そのものが本当に不思議だと思う。
数学の新しい定理や数々の理論は、あくまでも「発見」であって、「発明」では無いという。
こういう考え方も実は気に入っている。
数学とは「地球に(宇宙に?)最初からすでにあるもの」だから、人間が発明するものではなく、存在を発見されるものなのだという。
これだけでも文系であろうがなかろうが、十分に熱くなる。
そして、数学と宇宙とは密接につながっているという。
宇宙の秘密を解こうとすれば、それは数学という技術を使用しなければ決して解けないだろう。
それでも、宇宙の95%がいまだ解明されていないのだという。
数学と物理を厳密に分ける必要があるのかどうかは、私には理解できない所であるが、とにかく奥深くて神秘的だ。
数々の物理法則が、なぜシンプルな数式の記述だけで表現できてしまうのか。
(本書ではできるだけ数式での説明を省略するとしているが)
私に理解できる頭脳があるならば、本当に知りたいと思う。
ニュートンはリンゴが木から落ちるのを見て、それが「天体が地球を回っている(落ちている)」と同じことだと気が付いた。
ケプラーは、惑星が太陽の周囲を回るのは、正円ではなく、楕円だと気が付いた。
アインシュタインは、時間と空間が重力によって相対的に変化することに気が付いた。
数々の天才たちがとんでもない発想力で、宇宙の理を解いていく訳であるが、数学を理解していない私でもワクワクしてしまう。
物理学は量子力学に発展して、超ミクロの世界と超マクロの世界が同じ法則で成り立っていることの証明を試みているのだという。
宇宙がほんの1点(超弦)から始まったとすれば、確かに始まりは同じなのだから、現在のミクロとマクロも元は同じとなる。
そもそも極小の世界と極大の世界が同じだなんて、普通に日常生活を送っている凡人には考えつかないだろう。
ニュースで見たり、勉強したりしたから「宇宙は極小の点からビックバンで始まった」と知識として知っているが、当然その内容を理解している訳ではない。
普段我々は、目の前の仕事をこなすだけで精一杯だ。
そんな中で、宇宙の始まりについて思いを馳せてみると、自分の悩みも小さなものに感じてしまう。
しかもそれが、なぜなのかは理解できないが、すべて数学(数式)という技術を使って説明が出来てしまう。
(当然、まだまだ説明できない未解明なことも多い)
これを神秘的と言わずして、何に神秘を感じるのかと思ってしまう。
数字が永遠に続くという「無限」という概念もよく分からないし、「素数」だって考え出したら不思議でしょうがない。
なぜ正円の直径と円周の比は割り切れないのだろうか。
その他にも様々な不思議な数学の世界が、我々が気が付いていないだけで、この宇宙に広がっている。
それらが時代も宇宙も超えて、ある一つの正しさを証明しようとしている点にとてもロマンを感じてしまう。
もし宇宙の片隅に文明を持った宇宙人が存在していたとしたら、人間(地球人)と同じようにこの宇宙の問いに対して、同じように数学を使って説明するのだろうか。
そんなどうでもいいことまで想像してしまう。
未来を考えると、人類は地球を飛び出して、活動の範囲を宇宙に広げていくのだろうか。
活動領域を広げるため、冒険の旅に出ることが遺伝的にプログラムされているならば、人類が地球を飛び出すことは必然なのだろう。
現実的に考えると人類が月まで行くこともやっとである。
イーロン・マスクは本気で火星まで行こうとしているが、実現するかどうかは分からない。
その先を超えていくのは更に大変ということであるが、人間の際限のない好奇心はきっと、壁を超えていくのだろう。
こういうことを考えるだけで面白い。
普段はどっぷりと仕事に毒されているが、こうして数学や宇宙に思いを馳せることは無駄ではない。
心を豊かにするためにも、必要なことなのだと思う。
(2024/4/29月)



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