
書籍【数値化の鬼~「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法】読了

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◎タイトル:数値化の鬼~「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法
◎著者:安藤広大
◎出版社:ダイヤモンド社
タイトルが分かりやすい。「鬼になった気持ちで、あらゆる事柄を数値化して見よ」ということ。意識すべし。
私自身はド文系であるが、ここでいう「数値化の鬼」は、理系だから達成できる訳ではないだろう。
これは経験則になるが、理系出身だから、ビジネスを数値化することが得意、という訳でもないと思っている。
もしかすると計算は得意かもしれない。
しかし、目の前の事象を数値に置き換えるのは、別の感覚が働く気がするのだ。
何でもかんでも数値に置き換えればよい訳でもない。
数値を道具として扱うと考えた場合、結局は「使いよう」ということになってしまう。
この手触り感を、数字が苦手な人に伝えようと試みたのが、本書の主旨である。
過去にも、ビジネスを数字で見ることの重要性を説いた書籍は星の数ほどある。
その中でも、本書がこれだけ売れていることを思えば、数値化が比較的苦手な人に対し、内容が刺さったのだろうと思う。
おそらく私は数値に対しては強い方だと思う。(しかしド文系だ)
複雑な計算はできないが、四則演算ができれば、ビジネスの最低限のことは分かるだろう。
むしろ、基本に立ち返って、加減乗除のそれぞれで自分の目の前の仕事を見てみればよい。
●今日の売上はいくらだったのだろう
●お客様の総数は何名だったのだろう
●お客様1人当たり、いくら購入してくれたのだろう
●何の商品が一番売れたのだろう
●その商品は全体の中で、何割を占めるのだろう
●お客様の来店人数は何時が一番多いだろう
●来店したお客様の、何割が購入まで至っているだろう
●購入されるのが一番多い時間帯は何時頃だろう
●購入してくれるお客様の何割が新規なのだろう
商売の基本とも言えるが、これらを問い続け、自分で計算して答えを出すだけで、ビジネス感覚は研ぎ澄まされていく。
それぞれ出てきた数値から、さらに先に進めて仮説を立てられるところまで行ければいい。
後は試行錯誤を繰り返すだけだ。
「どうすれば、無駄を省いて効率よく売上を伸ばせるだろうか」と考え続けることで、おのずと様々な角度から数値を分析することになる。
これをセンスと言ってしまうのは、間違っている気がする。
単なる四則演算なのだから、身に付けられる「スキル」だと思うのだ。
本書の意図も同じだ。
「スキル」だからこそ、早めに身に付けた方がいい。
もし身に付けば、ビジネスとは無縁のことも数値化することが当たり前に見えてくる。
●スポーツする際も、どういう練習をどれぐらい行えば、上手になれるのか
●料理はまさに数値化。材料を量って、時間を計って、調理する
●資格の試験勉強だって、実は数値化して考えられる
このように物事の見方を変えるだけで、本質に気付くことができるようになる。
逆に言えば、数値化できない人は、どこまで行っても無駄な努力をしがちだし、根性論で物事を解決しようとしてしまう。
鬼の気持ちで、数値化を試みる。
まずはここから始めてみることが大事だ。
そして、本書を読んで改めて納得した部分は、「変数」についての箇所。
とにかく「変数」を意識すべきだと説いている。
「変数」とは、変わる数字のこと。自分たちで変えられる数字のこと。
逆に「定数」とは、変えられない数字のことだ。
そもそもこの「変数」「定数」の見極めが間違っているケースが多いという。
変えられないはずの「定数」を変えようと思って努力してしまうミスが第一。
第二は、「変数」を「変えられないもの」と勘違いして放置してしまうミス。
「変数」は自分たちの努力で変えられるのだから、そこを正しく見極めろという。
そして、「最も良い変数は何か、を見つけ出せ」とも説いている。
その「変数」を変えることで、未来に最も大きな影響を与える数値。
それを見つけ出すことがメチャクチャ重要だ。
この数値を見つけ出す能力は、決してセンスだけで片づけてはいけない。
これこそ、前述した「スキル」のことだと思う。
数字を見ながら問い続け、仮説を立てて、検証してみる。
これを愚直に繰り返せば、ポイントとなる「変数」は見えてくるはずなのだ。
●新規顧客が重要なのか、リピート客が重要なのか
●売れ筋商品以外にどんなラインナップを揃える必要があるのか
●どの時間帯に、何名のスタッフを配置すればよいのか
「変数」を見極めるというのは、本当に大切だ。
●迷ったら「変数」で考えてみろ
●「変数」を見極めたら、短期よりも長期視点で考えてみろ
私自身は数字と格闘し続けている社会人人生だと思っているが、まだまだ見えていない数値があるのかもしれない。
基本に立ち返って、自分の数字の見方を、見直してみるのも有効だ。
良い機会なので、試してみたいと思った。
(2025/1/7火)