見出し画像

書籍【WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か】読了


https://booklog.jp/users/ogawakoichi/archives/1/4478111073

◎タイトル:WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か
◎著者:ポール・ナース、竹内薫(訳)
◎出版社:ダイヤモンド社


生命とはなにか?この壮大なテーマに対し、科学の歴史ではこう考えたというアプローチ方法で説明を試みる。
本当に自分自身のことを不思議に思ってしまう。
この「生きている」という感覚は、本当に何なのだろうか?
その根源は何で、一体どう説明したらよいのだろうか?
分子、細胞から始まり、遺伝子を通じての情報の伝達へとつながっている。
理科の授業で習った、アデニン(A)・チミン(T)・グワニン(G)・シトシン(C)も懐かしさを感じてしまった。
もちろん細かくは覚えていないが、遺伝子の中にはDNAが組み込まれており、その配列がATGCの4種だけで構成されているということを思い出した。
結局のところ、生命とは情報なのではないか?という考えはある意味で的を射ていると思う。
コンピューターは「0・1」ですべてを制御している。
あらゆる生物にも遺伝子があり、その構成は4種の記号だけというのも、ロマンを感じる話である。
コンピューターは2種の記号。人間(というか生物)は4種の記号。
所詮はその程度の違いしかないということだ。
奇跡の地球という中で偶然に生まれた生命。
その悠久の旅の中で、我々は何故か変化を繰り返し、自然淘汰されていく中で生き残り、そして今に至っている。
これを旅と表現すれば、本当に不思議な道程である。
この旅に終わりがあるのかも分からないが、今現時点を考えると、まだまだ先は長いだろうと感じてしまう。
つまり人類はまだまだ変化していくし、ある意味で進化していくはずだ。
もちろん人類以外の生命についても、変化を繰り返し、適者生存の論理によって、絶滅したり生き残ったりしていくのだろう。
そういう視点でこれらを見ていくと、生命とはなにか?人間とはなにか?意識とはなにか?などと連続して思いを巡らせてしまう。
人類は、未知なるものを解明しようと、懸命の努力を重ねている。
しかし、未だに解明できていない課題は多い。
むしろあらゆる事象の数%しか解明できていないとも言われている。
そんな巨大な壁を前にして、我々は立ち竦んでしまう。
しかし、そんな大きな壁に対しめげずに挑んで来たのが、人類の歴史なのである。
すべての謎を解明できなくても、ほんの少しずつでも進展していることが、我々にとって大事なことなのではないだろうか。
無知の知を説いたのはソクラテスか。
人類の歴史が記録として残されているものは、ほんの数千年にも満たない。
遺跡や土器などを含めても、数万年前まで遡ることが限界だろう。
人類の中で未知のものを解明しようと挑んだ軌跡を追うことは難しい。
しかしながら、我々の細胞の中には、確実にその軌跡の情報がすべて刻まれている。
そう考えると、我々人類含めてあらゆる生物は、ものすごいことをしているじゃないか。
生命が誕生して何十億年か分からないが、そのすべてがこの小さな細胞の中の遺伝子の中のDNAに刻まれているのだから。
人類のような複雑な生物ですら、最初は数十億年前の小さな細胞から始まったと考えると、本当に感慨深い。
一体我々の細胞は何度コピーされ、変異して、今に至っているのだろう。
生命とは何か。
それを定義することは永遠の課題だと思うが、本書では「進化する能力を有するもの」という説を最有力としている。
この言葉も深いし、面白い!
本書では化学的アプローチで、生命とは何かを解き明かしているが、最終章で語った言葉が非常に印象的だ。
【今日地球上にある生命の始まりは、「たった1回」だけだったのだ】
生命は何度も何種類も生まれた訳ではない。
本当にたった1回生まれただけなのだ。
それが増殖を繰り返して今に至っている。
悠久の旅とは、まさにその通りなのだと思う。
(2023/6/10)



いいなと思ったら応援しよう!