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秋にふさわしいと思った場所

複合ビルのターミナルで
迷って困ってやっと出て
そこから10分歩くと
こんな風景があるのです

キラキラとはしていない
とりつくろったような
澄まし顔ではない
「どうだ」と誇らしげでもない

音もない 忘れられたような景色です
でも ばったり出くわしたこの場所に
とてもホッとします

よりそっていたい 口笛を吹いて
10月の 風もそっと消えた午後
かなうのならば あなたといっしょに

ー能のふるさと
新熊野(いまくまの)神社への途上でー

※この神社で観阿弥が将軍・足利義満の前で申楽を演じたのが能楽の発祥といわれています。


南を遥かに詠むれば
大悲擁護の薄霞
熊野権現の移ります、
御名も同じ新熊野、
稲荷の山の薄紅葉の、
青かりし葉の秋、
又春の花は清水の、
ただ頼め頼もしき、
春も千々の花盛り

『熊野(ゆや)』
『謡曲百番』(岩波書店)より引用

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