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【更新情報2024年5月26日】

「その決定に根拠はありますか?」

確率思考でビジネスの成果を確実化するエビデンス・ベースド・マーケティング

戦略を導く為の「エビデンスの作り方」をテーマに、これまで体系化してきたノウハウを紹介したマーケティング・インテリジェンスの書籍を出版致しました。5問の調査でTVCM(施策)→コンビニで商品を見た(要因)→売上がいくら増えたか?→年間16.67億円(効果)の様に経路ごとに構造的に効果を把握する国際特許(PCT)を出願した分析法など、確率モデルや因果推論をプロジェクトで実際に活用している方法を特典の動画講義も活用して実装レベルの知識まで提供しています。

本の出し方



はじめまして。小川貴史と申します。イベント会社や広告会社やデジタルマーケティングコンサル会社を経て、今はPR会社のデジタルマーケティング事業を担当しています。マーケティング業界のトレンドを見ながら営業やプランニングを中心にマーケティングコミュニケーション施策の支援に関して一通りのことをやってきました。ビジネスに費やした時間の1/3はテレアポ営業や飲み会を盛り上げたり、新規営業に付帯する泥臭いことに費やして来たコテコテの営業マンです。飲み会でたまに見るけど、本業を知らない業界の知人も多いかもしれません笑。

そんな私が2018年11月29日発行でマイナビ出版様から「Excelでできるデータドリブン・マーケティング」という書籍を出しました。

「統計学が最強の学問である」著者の西内啓様に推薦頂き、フルカラー352ページの大作となりました。株式会社ZOZO田端様の書籍に「ブランド人になれ!」というフレーズを含むタイトルのものがありますが

昨今のトレンドとして「自分ブランディング」を意識しているビジネスマンやマーケターの方は多いと思います。書籍を出すことは有益な手段の一つです。私がどの様にして書籍の出版を実現するに至ったか?そのポイントを共有します。

結論から言います。「ネタ」さえあれば、あとは書籍を提案する「行動力」です。その次に企画が決まる段階では本を売る側の論理と書く側の論理とのバランスをどう取るか?が重要になります。その為にはブラしてはいけない「軸」を持つことが重要です。

私の場合、出したかった書籍の「ネタ」はマーケティング予算投資の最適配分を目的として数理モデルによってその課題を解決するマーケティングミックスモデリング(以下MMM)のノウハウでした。それを広く浸透させることがブラしてはいけない「軸」でした。主に統計、因果推論などの知識とデータ分析のスキルです。今回は間口を広げる為Excelで実行できる内容にしました。私は全てゼロから独学してきたので「ネタ」を作る為に結構時間を食いましたが、世のビジネスマンやマーケターはすでに「ネタ」を持っている方も多いのではないでしょうか?ここでは「ネタ」がある場合、どの様にして出版を実現するか?というお話しをします。

私の書籍を出すのに重要なステークホルダーは4者でした。出版社、監修者、コラム協力各社、推薦者(西内啓様)です。マストは出版社です。企画を採用してもらい、ライター業務を委託してもらう契約を獲得しなければなりません。結構な費用を払う自費出版という方法もありますが、それはいったん横に置きます。私はマイナビ出版様への営業方法は「メールによる企画の投げ込み」でした。監修者もメールからの提案でした。書籍で最も紹介したい独自アイデア(VBAを組んで比較的簡単にExcelでMMMの予測モデルを作る方法)がありましたが、書籍として付帯する要素技術や知識としての統計などについて語れるか?そこに自信がない為、監修者の起用は必須でした。コラム協力各社はよりコンテンツを充実する為に、出版が決まった後の執筆段階でお声がけしました。また書籍のアイデアには自信がありましたが私がマーケティング業界で知られていなかったので、その内容を評価頂ける先人の推薦者を求めていました。そんな折、コラム掲載のご相談を機に西内様をご紹介頂き、お会いする機会を得て書籍の概要や私がこの本でマーケティング業界にどの様な影響をもたらしたいのか?変えたいのか?といった思いをプレゼンし、コラム掲載に加え、推薦までして頂けることとなりました。

監修者、コラム協力会社、推薦者は必要がない場合もありますが出版社との契約はマストです。出版社もリスクを負うわけなので良いセールスが見込めるものしか企画を採用しません。

その企画を担うのが編集者です。まずは編集者に会ってもらう為の提案が必要です。私の場合は、書籍

を出したことがある知人であった弊社代表(当時は違う会社の知人でしたが)に書籍企画の提案書を見せてもらいもらいました。書籍の提案書のスタンダードなフォーマットは企業がTV番組のディレクターなどに出すプレスリリースの様にワードで2、3枚程度作るものと似ていました。編集者には日々、何本も企画が持ち込まれます。良いネタは宝ですが会うまでもない企画も多く届くはずです。その中で埋めれない様に見出しで興味を引き、リード文で食いついてもらって、概要を整理して伝えるか?こうしたことが重要です。企業が広報する際のメディア向けのプレスリリースと似ているのも頷けます。私が書いた実際の提案書の項目を紹介します。

・書籍タイトル案(1行)
・書籍のリード文(2行)
・コンセプト (10行程度)
・対象読者ペルソナ(2パターン位)
・書籍が提供する読者へのベネフィット (10行程度)
・書籍が世の中に与えていくべきビジョンとミッション (20行程度)
・著書略歴
・想定書店売場カテゴリー (ビジネスマーケ・広告)
・初版部数/目標部数(想定)
・刊行時期目安と原稿完成度(%)
・想定の章、節の項目
・類 書 

※ワードを開いた際のデフォルト設定での行数をおおよその目安として記載しています。

こうした項目で提案書のひな型を作り、出版社ごとの特色を想定して、少しアレンジしてアプローチしていきました。全て投げ込みというわけではなく、知人に紹介してもらった出版社もいます。マイナビ出版様とお会いする前に人づてで3社の編集者とお会いしましたが、企画実現まで至らず。新たに3社に企画をメールで投げ込みました。そのうち1社がマイナビ出版様でした。メールで打ち合わせをした出版社が1社ありました。アイデアに独自性があったので、どの出版社もまずはお話しを聞いてみたいとおっしゃっていただけましたが、お会いしてからの対応や方針に違いがありました。経営MBAカテゴリー書を多く出している某社は「目標5万部のビジネス書にしてはどうか?」といった類のことを言われました。技術書が中心の某社では「統計専門書」として初版2,000部位ならOKと言われました。あとはやたらと「類書は?」と聞かれ、石橋を叩く印象が強いところもありました。各社お会いしながら提案をブラッシュアップした為、全ての出版社に同じ話方ができていたわけではないことは付け加えさせて頂きます。

「マーケター向けに、MMMを分かりやすく説明するが内容本格派」いわば、ビジネス本(マーケティング)と専門書(主に統計)の間という類書のない新しいものを作るチャレンジでした。そうしたものにチャレンジしていただいたのがマイナビ出版様です。企画持ち込み時の完成度は今思えば5%未満だったと思います。監修者もこれから捜す、コラム協力各社は書きながら増やし、推薦者に至っては想像すらしておらずでした。柔軟な編集方針の中でいろいろと甘えさせて頂いた結果、想定していた内容の倍以上のクオリティの書籍にできたと思っています。

編集側の意向で私が実現したい要点を多少曲げてならば出せるといった話もありましたが、妥協せず良かったと思います。私は広告時代バンドをしていました。当時の友人にはプロを目指し、そうなった方もいます。音楽業界ではレーベル(売り手)とミュージシャン(作り手)の方針のすり合わせが必要です。売る法を知っているプロとしての版元とクリエイターとして譲れないところとどう折り合いをつけるか?そのバランスは重要だと思いました。私はブラしてはいけない「軸」があったから良い結果になりました。

同書で提供する分析を皆が使える様にすることで日本のマーケティングの経験と勘による意思決定を減らすことが私のビジョンであり、その為の「軸」がMMMのノウハウを広く浸透させるための書籍であることでした。5万部のビジネス本が仮にできたとしても、分析ノウハウ提供にはならず軸を外しますし、専門書だと数が売れないのでマーケティング業界は変わらない気がしました。その間を取る様な企画にチャレンジする機会を頂いた私が出会った最高の編集者の方が誰なのかは、私の書籍に記載がありますので、ぜひお買い上げください笑

まとめると、「ネタ」を作ってから実際に書籍化を実現する為に編集者向けにシンプルに伝える提案書で提案する「行動力」と、売る側と作る側の想いを合意していくにあたって、しっかりとした「軸」をもつことで重要だというお話でした。

また、企画を構想してから、世に出るまで、私の場合は2年強かかっています。企画を構想するまでは更に追加で3年以上です。「軸」と背後にあるビジョンがあればこそです。ビジョンを作るきっかけを与えて頂いたのがこの方です。

「売り上げにつながらないブランディングは無意味」そんな主張で業界に突風を吹かせるダイレクトマーケティングのカリスマです。私は過去、電通グループのダイレクトマーケティング会社にいました。(主にダイレクト以外のクライアントの開拓を行っていましたが)この方の様に強烈な実績や得意分野を作りたいと思い、ブランディング施策も売上貢献て定量化するMMMを業界に浸透することで風を吹かせてやる!と思う様になりました。この方の存在が、ビジョンを作るきっかけでした。

MMMの書籍はマーケティング本としてはニッチで企画採用できないと初めのころにお会いした出版社から言われた為、「Excelでできるデータドリブン・マーケティング」というテーマに拡張してマイナビ出版様に提案しました。ビジネス書やマーケティング書は大きなテーマのタイトルだけれども、実際の中身はそのうちの一部分に特化されているものが多いです。出版社も売ってナンボです。書籍でいうカバー買い、音楽でいうジャケ買いを誘発する様な作り方をしますが、買う側はそれで失敗する場合もありますので気をつけたいところです。

最後に「Keepa」というツールを使って、自分の興味のある書籍のAmazonのランキング推移などを確認することをオススメします!

書籍をより楽しむ読者目線、またいつか本を書く「ネタ」を捜すための作者目線、双方に役立つ習慣です。私は自分の書籍を出してから日々変動するAmazonランキングが気になってからこのツールを知り使う様になりました。私が出した書籍も、日々買う書籍もビジネス書とマーケティング書です。自分が過去購入または欲しいと思った書籍の売上ランキング推移を見て気づいたことがありました。

マーケティング関連の書籍では売れる本は主に2つに分かれます。ひとつは〇〇〇億のビジネス貢献をしたなどの「超」有名人が出す自伝的なノウハウやフレームワークをまとめた本です。もう一つは、あまり著書は知られないがかなり実直なノウハウがあり、Amazonレビューの評価の良いレビューがたくさん書き込まており、ランキングがだんだん上がり、その後、ランキングが殆ど落ちずにロングテールで売れている本です。Excel、SEO、WEBデザインなどにそうした書籍が多いです。ランキング推移を見て「この地味な本こんなに売れているの?」という印象です。マイナビ出版様はそういう書籍が得意だと思います。私の書籍は、西内啓様の推薦を頂き、氏のバリューを借りてキャッチ―なものにしている部分もありますが、根っこは本当に使える技術が売りの後者です。反対に、読者が役に立つノウハウに落ちづらい話題作は、一時ランキングが上がっても、その後、失速し、レビューも低いものが数点ついて、ほとんど売れなくなる傾向が見受けられました。

売れるのは「派手またはマスなフレームワーク寄り」なものと「地味またはニッチなノウハウ寄り」なものですが、私の様に業界で無名の人間の場合は前者を目指すのが得策ではないでしょうか?後者の路線で売れるには「超」のつく実績を持つ人間になる必要があると思いますが、そういう人はそもそも、出版社のほうから話を持ち掛けられますよね。

「Keepa」を使って、興味のあるジャンルの売れ行き推移など研究すれことで自らが出版する際の「ネタ」を構想しながら、自らの学びを深めていくことで、キャリアストーリーを定義し、必要なスキルセットを定め、日々の業務における取捨選択や意思決定など、フォーカスを定めることができるのではないでしょうか?

長くなってしまいました。「Keepa」活用の話はまた別のnoteで書くことがあるかもしれません。

最後に、期間限定の告知ですが、出版セミナーやります。無料です。「濃い」お話ができる様に頑張らせて頂きます!

ありがとうございました!

【更新情報2024年5月26日】

「その決定に根拠はありますか?」

確率思考でビジネスの成果を確実化するエビデンス・ベースド・マーケティング

戦略を導く為の「エビデンスの作り方」をテーマに、これまで体系化してきたノウハウを紹介したマーケティング・インテリジェンスの書籍を出版致しました。5問の調査でTVCM(施策)→コンビニで商品を見た(要因)→売上がいくら増えたか?→年間16.67億円(効果)の様に経路ごとに構造的に効果を把握する国際特許(PCT)を出願した分析法など、確率モデルや因果推論をプロジェクトで実際に活用している方法を特典の動画講義も活用して実装レベルの知識まで提供しています。

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