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警察の犬か?一人の苦悩する警察官か? 映画『正体』

本記事は、『正体』のネタバレが含みますので、ご注意ください。


 ブログ主は、映画を見てから小説を読んだ口で、小説読解後の余韻そのままに今書いています。

日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。潜伏し逃走を続ける鏑木と日本各地で出会った沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)そして彼を追う刑事・又貫(山田孝之)。又貫は沙耶香らを取り調べるが、それぞれ出会った鏑木はまったく別人のような姿だった。間一髪の逃走を繰り返す343日間。彼の正体とは?そして顔を変えながら日本を縦断する鏑木の【真の目的】とは。その真相が明らかになったとき、信じる想いに心震える、感動のサスペンス。

松竹「映画『正体』公式サイト」(https://movies.shochiku.co.jp/shotai-movie/)より引用。


 映画では、本作のもっとも重要なキーパーソンである、鏑木慶一は生き残ります。しかし、原作である小説では、映画と同じく冤罪は晴らせたたものの、警察に射殺されました。

 この結末の違いに注目した時、なぜそうなったのかには様々な事情があるでしょう。その数多ある事情の中から、私はあえて又貫征吾刑事を選ぼうと思います。

松竹チャンネル/SHOCHIKUch 「映画『正体』本予告【11.29(Fri)全国公開 】」(https://www.youtube.com/watch?v=WOTyCcO1MZU)より引用


 又貫刑事は、鏑木慶一を追う刑事で、作中に登場する警察官の中で唯一のネームドキャラです。

 映画では視点人物の一人として、彼の様子が描かれます。彼と鏑木の因縁も描写されました。

 鏑木慶一を追う又貫は、鏑木の関係者からの証言を通して、鏑木が本当にやったのか疑問を持ちます。
 しかし、上官からは圧力をかけられ、マスコミや世間からも非難を浴びせられます。

 鏑木慶一を有罪にした捜査の責任者であることから、又貫は苦悩します。
 本当に鏑木慶一が殺人者なのか、と。

 こうした又貫の姿もまた、映画『正体』の見どころの一つでしょう。

松竹チャンネル/SHOCHIKUch「映画『正体』本予告【11.29(Fri)全国公開 】」(https://www.youtube.com/watch?v=WOTyCcO1MZU)より引用


 対して、小説では又貫の描写は少ないです。又貫が視点人物となることはなく、視点人物からのごく少ない描写があるのみです。

 原作での又貫は、鏑木慶一を捕まえることに心血を注いでいる姿のみ描かれています。沙耶香はその形相を怖がり、異常と感じました。

 又貫が鏑木の罪状に疑問を持っている様子はありませんでした。

松竹チャンネル/SHOCHIKUch 「映画『正体』本予告【11.29(Fri)全国公開 】」(https://www.youtube.com/watch?v=WOTyCcO1MZU)より引用


 ブログ主は、映画と小説の違いを見た時、次のように考えました。

 映画では、又貫刑事を視点人物の一人として据え、自分の判断に時に迷う、一人の人間。
 対して、小説では、冤罪という作品テーマを表すための、物語上の機構として描いているように感じました。

 鏑木慶一という人間に対して、人間として向き合ったのか、物語上の役割から対峙したのか、この違いがラストの違いにつながったのではないでしょうか。


※表紙は、シネマトゥデイ『正体』(https://www.cinematoday.jp/movie/T0030081)より引用。


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