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地産地消や産地の見える化は、効率わるくてもやる意義が大きいねって話。
エフライフの事業では、「生産者の顔が見えること」や「地産地消」にこだわっている。
これらは、「他者への思いやり」や「持続可能性」に寄与すると思ってやっているが、慎泰俊さんの説明がとてもスッキリとして分かりやすい内容だったのでメモしておく。
市場経済における分業は効率という観点からすれば望ましいのだけれども、間に入る人が増えれば増えるほど、その取引においては、市場経済内において評価されるもの、すなわちお金で測定できる経済合理性が重視されるようになり、その外にあるもの、たとえば人情とか長期的な持続可能性は無視されるようになる。あくまで肌感覚なのだけれども、関係者が4〜5になったあたりから、強烈にその傾向が加速する。
結果として、分業が進んだ経済において、他者への配慮(たとえば工場での人道的な労働環境の整備とか)や、持続可能性を実現するのは、人間の認知的にすごく難しくなる。
(中略)
今ほどに取引のサプライチェーンが長くなった現代において、何らかの介入をしないと、取引参加当事者に悪い意図がなくても、社会・環境への悪影響というのは避けがたい。弱い立場にある人や地球からの収奪は起き続ける。
それを仕組みとして是正する方法としては、こういった外部性といわれてきたものに経済的な価値を付与すること(排出権取引とかがそれ)と、サプライチェーンを短くすること(地産地消や産地直送を増やすこと、P2Pの金融取引を増やす)、サプライチェーン上にいる人々の様子をより見える化することなどが必要なんだろうと思う。これを真剣にやろうとすると、効率性はかなり失われるけれども、人類が種として詰むよりはずっといい。
小売業者である自分たちができることは、引用部分の最後に書かれている「サプライチェーンを短くすること」と「サプライチェーン上にいる人々の様子をより見える化すること」だ。
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働く仲間にも見える化をしていくことがたいせつ
見える化は、お客様に対してもやっていくが、一緒に働く仲間に対しても工夫が必要と思う。
効率・生産性を追求すると、会社内でも分業が進み、自社が関わるサプライチェーン全体は見えにくくなるし、関心を持ちにくくなる。
例えば、「うちで扱っている日本酒は、こんな地域で作られていて、農家さんは●●さんという人なんだ。日本酒をより理解するために、一度、みんなで田んぼに行って話を聞いてみようよ!」と誘ったところで、なかなかうまくいかないだろう。
そもそもみんな忙しい中で、直接の繋がりがない領域への理解を深めても、短期的には仕事の効率がアップするわけでもない。「なんでそんなことしなきゃならんの」と、負担感を感じる人もいる。休みの日に突然そんなお誘いがあったら、ブラック企業と思われるかもしれない。
でも、自分と離れたところにいる存在を知ることはたいせつにしたい。
効率化・生産性向上を進めながら、自身と直接の関係がない領域に関心を持つためにはどうすれば良いか。
「自分たちの仕事の意義の深い理解」と「エンターテイメント(ワクワク)の視点」と「経済的なメリットが生まれる仕組み」を取り入れることが重要と思う。
意義深くて、楽しくて、経済的なメリットもある事例
先週、訪問したSHIROの「みんなの工場」などは良い例だが、消費者にとっても、そこで働く人にとっても、最終製品になる前のサプライチェーン(使っている原材料や製造工程など)を見えやすくすることで、様々なメリットが生まれるようになっている。単純に楽しいしワクワクするし、購買意欲が高まる。
食の分野だと、やはりポケマルは、産地の見える化を通して「思いやり」が持てる社会を本気で目指していると思う。なんとなく「親子で楽しい思い出をつくりたいなー」くらいのモチベーションでも、結果的に、自然や生産者の恩恵を感じる原体験を持ち帰ることができる。
動画とかいろいろとやれるところをやっていこう
自分で書いていて思うが、「サプライチェーン」みたいなカタカナが出てくる時点で、そっとページを閉じる人が大半。意義を伝えるなら、もっと多くの人が分かりやすい言葉、ワクワクする表現で、熱量を持って伝えないといけない。(このnoteのメモ書きは、熱量はあっても、分かりやすさはあまりない。舞台裏のメモ書きだから良いけど)
fukunomoのYouTube動画は、けっこう分かりやすいし、こういうやり方を活用して、もっと良くできるかもしれない。
(追記)
podcastでも話しました。
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