ひるなかの流星と、マチアプ恋愛の話
※この先ネタバレがあります
一読した上でお読みください。
やまもり三香先生のひるなかの流星は、
私の人生のバイブルとも言っていい。
ひるなかの流星は、生徒と教師の禁断の恋をテーマにしている。人生で倫理観が思春期と変わった今の私だったら、きっと、絶対に手に取らない題材だし、多分ときめかないかもしれないけれど、当時の私にはとても親近感のあるテーマで、絵の綺麗さと、テーマの扱い方の繊細さやその角度、切り口に惹かれて、(その思いだけは今も変わらず)愛読していた。
恋愛のパターンを言語化することは難しいが、
現存する恋愛心理学というのに当てはめると、わたしは、本書の主人公すずめの教師獅子尾への恋愛感情を、本能的で情熱的な恋愛マニア型だと勝手に思っている。(やまもり先生、違ったらごめんなさい)
すずめの先生への想いはこう、眠っていた生理現象が、うごきだす、血が巡るみたいな。失恋は、はじめての自我のある強い気持ちを失って、空の色彩が、わからなくなる、ような。そんな感情だと思っている。
わたしの過去の恋愛も主に、この型であった。
正しくは、忘れられないと思っている、恋愛、のことかもしれない。直近、わたしは二人の男性のことで悩んでいた。一人は、私が、彼を直感で好きな人。二人は、彼が私を好きで、頭で考えて、私も、好きな人。すずめは、獅子尾と、別れて少女漫画の典型的なパターンの「当て馬」的ヒーローポジションだった同級生馬村を選ぶ。馬村はもちろん、すずめのために、優しいし選ばれて当然だと思うが、この漫画のすごいところはここで、このまっすぐさが、この展開がさいこう!他の漫画とは一味違うと少女漫画ファンに讃えられてきたストーリーなのだけど、当時の私はこの結末に心にしこりが残っていた。ここで私の恋愛の補足を挟むと、一人目は、歳が離れていて、深く知らなければ、選ばない人。勘違いされやすい人。家が遠い人。二人目は、同い年で、境遇が似ている人、わかりやすい、優しい人。であった。
心にしこりがあるのは今も変わらない。なんなら、さらにその気持ちというか強くなった。私が当時獅子尾先生への気持ちを尊重したかったのは感覚的なもので、激しい恋心への盲信なのだけれど、今は時を経てその感情の明確な説明ができる。
直近、私は数ヶ月真剣に複数の男性と恋愛しようとした。
いわゆる、恋活。不自然な恋、かつては出会い系とも言われた、マッチングアプリをただしく利用していた。もちろん、学生時代の経験を経て、自分に、自分の中に正しい異性への恋愛感情はあったが、マッチングアプリでの恋愛は、知り合って浅い分、どうしても、過去の恋愛感情を指標にするしかなかった。
私はちゅんちゅんになりたかったのかもしれない。私の取った選択もすずめと同じで、でも私は本当に私で、すずめにはなれなかった。どれだけ障がいがあっても、距離が遠くても、心の底から好きである人を選びたくて、結局、やっとの思いで成就させた相手と、別れた。
わたしのふらつきを知っている人からしたら綺麗事に聞こえるかもしれないけど、実際そうだ。ただ、あくまで愛読書をリスペクトしている上で、本書との違いは、私の中に一人の人と付き合う理由に、すこしでも相手が傷つかないために、という気持ちがあったことだと思う。
いわゆる、同情だ。
別れた本当の理由はそうだけど、
さらには、私たちは、お互いに変わりたくなくて、別れた
自分の心の余裕の上で恋愛が成り立つと考えている彼と、心の余裕を得るために恋愛するものだと考えている私。
わたしの一緒にがんばろう、という言葉掛けは、
本当のところ、私に寄り添って、すこし折れてほしい、という意訳だったのかもしれない。
賢い彼はそれを見抜いていたからこそ
まったく折れなかったのかもしれない。
優しいから、いろいろ自分(彼)にも理由はある、と伝えてくれた。
それでも、わたしたちは、恋愛ごっこでしかなかったのだと思う。恋愛がしたい彼と、恋愛がしたい私の思い描く、「恋愛」の型は、全く違った。
だから、恋愛"ごっこ"だった。結局わたしは、私が変わりたいと思えるほど、彼への気持ちが足りなかった。彼のことを知らなかった。知りたいと思う力が足りなかったのだと自分を責めている。
そんな気持ちで、付き合ったこと自体が自分のためすぎて、自分のエゴでしかなくて、後悔して嫌いな気持ちで溢れるが、それは自分への気持ちで彼のことは嫌いではなかった。
1ヶ月にも満たないコンパクトなお付き合いではあったが、
過去の恋愛、直近の恋愛、それはどちらも確かに輝いていて、どちらともそれは、逃げ道ではない。
みんな言わないだけだから。
いろいろな我慢をしてるし打算も持っていて、
素直でまっすぐなだけじゃないんだってわかった
正直に言うと、別れてわたし今特につらくない。
そのことが虚しくて
さらに消費されて、上書き、する。
こんなの、わかんない。
心と恋愛が繋がっている人じゃなきゃ。
そう思うだけで、彼も少しは、つらいのかも、しれない。私のためを思って、連絡しなくなったのかもしれない。
そばにいるのに、感情が、足りない、を知って最強になっちゃった。
ただいま、弊害があるならば出かけていない時は常に出かけたくて、これは、毎週会っていた充足感が、いまここにない寂しさからきてるとおもう、たとえ今すぐに誰かと付き合っててもおなじで。今回の恋愛は明らかな自分の汚い感情との清算の未処理で失敗したけれど、今そばにいない人離れている人を感じる方法はリスペクトしかないとおもう。
リスペクトできない都合のいい相手は寂しさを助長するだけ。と言い聞かせて、本を閉じた
ちゅんちゅんにとっての馬村は、きっと私の知らない感情でできているのだと思う。
それは、私の思い描くものなのかもしれないし、当事者にしかわからないことだ。
ただ、私はまっすぐに、向き合いたかった。
自分が他の人にされて嫌だったことを、付き合っていた恋人にしたくない、それだけだった。
彼がもし、この気持ちを知ったら。
どうか、最低な私のことは忘れて幸せになってほしい。誕生日プレゼント、大切にしてねってかけた意地悪な言葉を意地悪だとも思わない素直な君が、いつか同じベクトルで付き合える人と出会って幸せになれますように。祈っている。
一瞬だけ混じり合った彼と私の人生は、
私の関わりはここまで、だと思っています、
たとえこの先どんな相手と付き合ったって
一生独りだとしても
あなたがくれた不器用な愛情表現は、私を癒してくれて、きっとその事実は変わらない
嘘ついたな。実はちょっぴりつらいかも。
わたしについて⤵︎