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映画「ウォールフラワー」を観た
中学のときも高校のときも大学のときも、新しい世界に足を踏み入れる前は、そこに人生を変革させるような出会いがあってある日すべてが輝き出すのだと思っていた。
人生を変える出会いは確かにあった。
けれどそれは瞬間的に気付くものではなく、じわじわと指先までが温まっていくような、時間が経ったあるとき「そういえばこの出会いが」と理解するようなものだった。
人との出会いだけではない。
旅の経験、映画や音楽、住んだ街やことばも。
遅延性のあるものばかりで、出くわしたそのときにはそれがどれほど馴染みのあるものになるかなんてわからないことばかりだった。
けれど反して、これが人生の目的だと感じる瞬間や、ずっと続けばいいのにと思えるようなシーンを感じることもたしかにあった。
ヒーローの肩書きを背負った人物は登場しなくとも、運命の出会いとおもえるようなもの。
効果がいつ、どれぐらい発揮するものかなんていつでもわからないままに、大切なものを愛すしかできることはないのだと思う。
淡い感情ばかりではないながらに、透き通るような思い出、日常の延長線、そんなものが記憶を築き、人格を形作り、行動を生んでいくのかもしれない。