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ゆりかごから墓場までデザインしたい
僕の仕事は空間デザインで、主に飲食店などの設備重めで難易度高めの店舗設計が中心で、サービス店舗や物販店も作っています。独立前は高速道路のサービスエリアや商業ビルの環境設計などの大きめの仕事もしていました。
で、さすがに15年近くこの仕事をしているので、作ったものもそれなりの数になってきました。でもその時々で興味のある作りたい分野がちょっとずつ変わってきていて、これもしかしたら自分のライフステージと連動しているのでは?と思ったんですよ。
20代、おしゃれに憧れる
高校からデザイン系の学校へ進んだのもあり、デザイナーなんていう職業を目指してわざわざ試験のある難しめの専門学校(桑沢デザイン研究所)選んで3年も学んだら立派なデザインフリークが仕上がるわけです。
当然のようにスターデザイナーに憧れましたし、彼らの作品集をながめては「10年くらいで追い越してやる!」と息巻いていました。
やりたい仕事は花形でありメディアのトップを飾るような仕事がしたい!と思ってました。実際、それなりにメディアに載ったりもしましたが、さすがに10年で追いついて追い越すのは無理でした。。。
30代前半、原点回帰
29歳で独立。31歳の時に結婚して育児も始まったのですが、そのころはもっと原点回帰していました。要するに、どんな仕事であろうと本当に必要なものは何なのか?を考える感じです。
もう答えは埋まっていて、それを掘りおこして、彫刻刀でちょっとずつ彫り込んで削り出していくイメージ。
俺が俺が!だった20代に対して、ちょっと落ち着いたんですね。自分の個性や色なんてものはほっておいても出ちゃうから、こすりつけてマーキングするのはセクハラだよなと思い始めたんです。
30代中盤、育児目線と顧客視点
慣れない育児に奮闘しながらの日々で、完全に目線が変わりました。キッズコーナーとかフードコートとかに行く回数が増えて、誰でもトイレを使う回数も公共施設を使う回数も増えました。
独立前に大規模施設のトイレ改修や、キッズスペース付きのフードコート客席環境設計なんかもしていましたが、今ならもっときめ細かく丁寧にできる自信があります。
っていうか、もう手挟みとか頭ぶつけそうなコーナーとか気になって仕方ない!ちょっとの隙間に頭突っ込んで抜けなくなったり、手を突っ込んで指切ったりするしね。
飲食店さんの設計レイアウトでベンチシートを推進する気持ちも強まりました。僕がお客さんなら、汎用性の高いベンチシートは嬉しいから。幼児を隣に座らせたり寝かせたりも楽だし。
アラフォーは寿司屋と蕎麦屋と旅館がデザインしたい
ひるがえって現在。今まで以上に、というかデザイナー人生で初めて寿司屋と蕎麦屋と旅館がデザインしたい。
これ全部、和のデザインなんですね。なぜか自分が食べに行きたくなるお店もこういう和のお店が増え始めまして、趣向としてそっちに向かいつつあります。
でも実績ベースだと前職時代の東京スカイツリーのソラマチに入っているあんみつ店「浅草 梅園」さんや、ボスの設計を手伝っていた居酒屋「稲田屋」さんとかしかない。
ラーメン、蕎麦なんかはフードコートなら実績あるけど、圧倒的にカフェ、ビストロ、レストラン、バール、ワインショップなんかの実績のが出てます。
実績ないと仕事のオファーはほぼこないので、ここはなんとか目に見える実績を作らねばなりません。そんな思惑もあり、吉祥寺のお店は和のデザインの要素を多く取り入れています。
とはいえみなさんのイメージするど真ん中の和ではなく、オリエンタルという意味での和です。これは現時点の限られた予算の自腹出店としてはギリギリまでこだわって作れたので、ここをきっかけに仕事の依頼が来ることを信じています。
吉祥寺のお店で茶藝師で陶芸家の共同オーナー斎藤さんを撮影。今回はWebも撮影も白石くん @kohki_ss にお願いしました。
— ヤマシタ マサトシ(OFFRECO/吉祥寺 閒 -あわい-) (@OFFRECO1) May 28, 2019
内装撮影用に借りてきてくれたシフトレンズが深津さんのでウケた。 pic.twitter.com/iMCeG92ACa
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吉祥寺のお店、壁もカウンターも収納棚も全部DIYなんです。床の左官もDIYで、ドアとか建具もDIY。我ながら頭おかしい。
そして暗めトーンでめちゃくちゃ絵になります。
店内のどこを撮ってもいけるようにデザインしました。
いずれは斎場と墓場をデザイン
こうなって来るとはいずれは病院をデザインし、介護施設をデザインし、最後は斎場と墓場をデザインして埋もれたいですね。
半分ジョークですけど、実は結構的を得ているようにも思います。
当事者でなければ優れたデザインができないか?というとそんなことはないんですけどね。でも、当事者でない人が慎重さや丁寧さや利用者への愛情や敬意を欠いた仕事をすることで、上部だけの使いづらく不満や不安をばらまくものを作ってしまう場合が多いのも事実です。
その点では、自らがユーザーでありクリエーターである場合の方が、精度も上がりやすい。
もしかしたら、少子高齢化という意味ではこれからの日本ではすぐれた斎場や墓場のデザインが生まれて来るのかもしれません。
独立してからずっとビストロとかワインショップとかバルとかカフェとかやってたけど、今回自腹でようやく和のデザインの実績作れた。
— ヤマシタ マサトシ(OFFRECO/吉祥寺 閒 -あわい-) (@OFFRECO1) May 22, 2019
で、実績ベースでこれを足がかりに寿司屋と旅館の仕事をとりたい。カウンターで寿司食べて、旅館で温泉入りたい(煩悩)
ほんと加齢と共にやりたい仕事の好みが渋くなってきました。
— ヤマシタ マサトシ(OFFRECO/吉祥寺 閒 -あわい-) (@OFFRECO1) May 22, 2019
いずれは斎場と墓地を作って埋まろうと思います。
和食屋さん、蕎麦屋さん、お寿司屋さん、旅館のお仕事お待ちしてます!
(炉端とかホルモンとか鉄板焼きとかもいいなぁ。。。)
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