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言葉を使う動物たち
前回のヘテロゲニアリンギスティコの記事でも少しだけ紹介した本。
現実世界の動物も、それぞれの種に特有の「言葉」を使ってコミュニケーションをとっており、さまざまな研究例が紹介されている。
この本だけでも面白いが、ヘテロゲニアリンギスティコと合わせて読むことによって面白さが何倍にも増している気がした。
例えば、本書ではイヌやヘビが匂いを使ってお互いの情報を交換している例が挙げられるが、文字だけではどういうことかピンとこない。しかし、ヘテロゲニアリンギスティコを読んでいればワーウルフ族のような感じかと直感的に納得できる。
一緒に食べると栄養の吸収が良くなる食材を「食べ合わせが良い」と表現するが、こんなに食べ合わせの良い本に出会ったのは初めてかもしれない。
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本書「言葉を使う動物たち」のメインテーマは、動物たちの知性が多様であること、それぞれの動物が意思を持ち種族内でコミュニケーションをとっていること、そして動物たちの権利(アニマルライツ)に対する問題提起だ。しかし、その中で挙げられる動物たちの生態や知性のあり方を示すエピソードのインパクトが強すぎて話の流れが入ってこないことがしばしばあった。
研究は六ヶ月にわたり続けられた。そのあいだにリリーはイルカたちにLSDを用いる実験を始めた。その結果として、また、ピーター(研究所で飼育されているイルカ)とロヴァット(研究員)のあいだの性的行為にまつわる風評が原因で、プロジェクトは資金提供先を失った。
本文では3行ほどの文章の中に、あまりに情報量が多すぎる。イルカに覚醒剤を与えようとするのもヤバすぎるし、性的行為に関するスキャンダルもサラッと書くようなことではない。
この前後でイルカの言語能力に関する説明がなされているが、この情報が凄すぎて何も頭に残っていない。
ロブスター(エビ目アカザエビ科ロブスター属)は目の下に尿で満たされた小さな管を持ち、その尿をほかのロブスターの顔へ向けて発射する。
意味がわからなすぎる。尿で満たされた管というのは尿道みたいなことなのか?他のロブスターの顔へ尿をかけるという謎の行動も嫌すぎる。
ちなみにこのエピソードは、動物たちも自分の名前を持っていたり、アイデンティティを示すための特有の音を持っていたり、匂いを自分という個体のシグナルとして使用することがあることを例示するために紹介されていた。
主張に対するエピソードのインパクトがデカすぎる。
正直、個々のエピソードに圧倒されて読者の主張がいまいち理解し切れていない部分はあるが、それでも「動物うんちく本」として十分に楽しめた。
面白いエピソードは他にもたくさんあるのでぜひ読んでみてほしい。