銃・病原菌・鉄
この本はアメリカ人の著者と、ニューギニアの政治家「ヤリ」が、海岸を歩きながら会話をするシーンから始まる。
その中でヤリが著者に投げかけた疑問がこの本の大きなテーマとなる。
歴史的に、ヨーロッパ人が経済や科学技術を発展させ、その結果南北アメリカやオーストラリア、東南アジアなど、いわゆる「新世界」を征服してきた。
その直接の原因としては、ヨーロッパ人が銃や鉄製の防具を作ることができ、また「新世界」の人々が経験したことのなかった病原菌に対する免疫を一足先に獲得していたことが大きかった。
ではなぜヨーロッパ人が「銃・病原菌・鉄」を新世界の人々より先に獲得できたのはなぜなのか?という疑問への答えについて、上下巻に渡って解説されている。
この疑問に対しての答えは本の中に詳しく書いてあるし、内容を丸々解説したyoutubeの動画などもあるのでここでは省略する。
本筋とは直接関係ないもののどうしても気になった部分があった。
「必要は発明の母」という諺があるが、歴史的には発明が先にあって後から用途が開発されることが多い、という論の一例として挙げられていた内容。
つまり、エジソンは蓄音機で音楽を録音している人たちを見て、
「そんな低俗な使い方じゃなくて、もっと語学の研究とかに使うべきなのになあ……」と感じていた、とのこと。
身近なところで思いつく似た話として、製紙業界で話題のCNF(セルロースナノファイバー)も、「プラスチックにかわる新素材!」と期待されているのに、実際に使われているところを見ると、「ソフトクリームが溶けにくくなりました!」とか、「どら焼きに入れると美味しくなりました!」とかそういう用途が目立つ。
TEMPO酸化を開発した磯貝先生も「どら焼きかあ…」と思っているのだろうか?