ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~
モンスターの住む魔界を舞台としたファンタジー漫画。人間が異世界を冒険する漫画は数多くあるが、この作品の面白い点は、「人間とモンスターのコミュニケーションはどのようにして成り立つか?」をテーマとしている点。
主人公は魔界の言語とコミュニケーションを研究する教授のもとで助手をしている「ハカバ君」。怪我をした教授の代わりに魔界に行き、現地の言語や文化を調査するため、ワーウルフ族の女の子、「ススキ」と一緒に魔界を旅をしながら各地で色々な魔物と出会い、現地の言葉や生き方を少しずつ学んでいく。
この漫画の魅力の一つが旅の途中で出会うキャラクターたち。現実世界の動物に似ているものもいれば、RPGの世界に出てくるスライムのようなモンスターもいる。
この世界では色々なモンスターが集まって暮らしているため、旅をする中で次々と新しいモンスターに出会う。その度に手探りで言語の調査をしなければならない主人公は大変そうだが、見ている分には飽きることなく面白い。
さらに面白いのは、モンスターたちの種族によって、嗅覚が鋭い、視力が良いなど認知特性に違いがあり、それによって扱える言語が異なることだ。
序盤に出会うワーウルフ族は、主人公から見ると言葉数が少なく愛想もないように見えるが、実はお互いの匂いを嗅ぐことで色々な情報を交換している。その代わり、色の違いを見分けることが苦手なため、クラーケンが意思を伝えようと体の色を変えてもわからない。
モンスターたちはお互いに、自分と相手が共通して使える五感を見つけ、工夫しながら種族間の共通言語を作り生活している。
元々、この漫画の1巻はだいぶ前に読んでおり、そのまま読むのをやめてしまっていたが、ある本がきっかけで今月続きを一気に読んだ。
それがこの「言葉を使う動物たち」。
この本によると、現実世界の動物たちも声やジェスチャー、匂いなどを使ってお互いにコミュニケーションをとっているらしい。
詳細は別の記事で書きたいが、この本を読んでから、ヘテロゲニアリンギスティコの世界観が一気に身近なものに感じられ、「実際に動物と話ができるとしたらこんな感じだろうか」と楽しい想像をしながら読めた。