コーヒーなのか、お金なのか。アテもコネもワザもない。
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https://note.com/of_mkd_jp/n/n2bdd77ec372e
フリーコーヒーをくれた人、間違いなくわたしのコーヒーとのつながりを強めてくれたのは彼だ。バリスタになりたいとか、コーヒーについてもっと知りたいとか、疑問とか色々感情が湧き起こった記憶がある。
友人に書き直してもらった”完璧そうな”レジュメを持ち一軒一軒に声をかけ、一日に歩いた距離は遊に20キロを超えていただろう。
レジュメの一番上の概要には大きく、「バリスタ」を目指していることを書いた。
どこでもいいからコーヒーを淹れたいのか、それとも誰かに飲んで欲しいのか、バリスタになるのがゴールじゃないと言いつつ、なった後の未来を想像できる余裕はなかった。そこまで考えはしていなかったけど、ひたすらに足を動かさなきゃそもそもレント(家賃)が払えない。
またドキドキしながらコーヒーショップに入る。「それなら淹れてみて!」と、あるカフェのオーナーにレジュメを渡すと言った。挑戦的な目。緊張で震えるピッチャーが、前に練習したよりも熱すぎると思ったときにはもう遅い。「ありがとう」と言って、手も洗わずに外に出た。
また別の店に、入るか入らないか、ドアの前をわざとらしく何度も通り過ぎ、ようやくドアを開ける。受け取ってもらったレジュメはすぐにレジの下の、2度と目が触れないような棚にしまわれる。苦しくなって、フラットホワイトを買った。やっぱり優しくて甘いんだ、と涙が溢れた。
せっかく初めて訪れた「可能性の街」が嫌いになったら、なんだか自分のチャレンジ失敗みたいで悔しい。なにより、家賃の支払いが迫り焦る。学生で、貯金もたいして持たずに来てしまったことを後悔する暇もなく、ひたすら仕事を探した。
もう少し効率的な方法を..と思い、歩いてレジュメ配りするのから、メールに切り替えた。まだ19歳で就活なんかしたことなかったから、ネットで「HOW TO WRITE カバーレター」を検索してほぼコピペ。50通以上は送ったが、返事が返ってきたのは片手で数えるほどだ。
Hi Mei!
(テキストが表示される。)
歩き回って渡したレジュメの1つがようやく、ボスに読まれてらしい。面接が決まった。お金が入ると思った。バリスタになれるのかも、というワクワク感は、その時には忘れていた。
to be continued…