#0929 中村倫也生きてたってよ
舞台にかける想いとか、脚本の素晴らしさとか、繊細な演技の奥深さとか、いろいろ書きたいことはあるんだけども。
とりあえず抑えきれないこの熱量をどこかに残しておきたいので、こちらに。
今度、別途ちゃんと考察系のものとして投稿しようと思う。
はぁ。
中村倫也生きてた。中村倫也生きてたわ。
生きてるんだ、中村倫也って。
これは舞台に行く前の自分からの伝言。
2021年9月29日12:00、私はTBS赤坂ACTシアターにいた。
2021年劇団☆新感線41周年興行秋公演 いのうえ歌舞伎『狐晴明九尾狩』を観るために。
3日前くらいに突如自分を襲った酷い腰痛と坐骨神経痛によりうまく歩けない右脚を引きずりながら、えぇ、赤坂ってこんなに坂あるんだっけ、なんて心の中で嘆きながら。
でも何があっても、コロナにならない限り這いつくばってでも行くんだと決心していた私は2日前に整体に駆け込み、少しでも緩和して、ギリギリ3時間は座っていられるようにコンディションを整えた。
とてもハードな舞台をやりきる役者の方々とともに私も「ロキソニンvs中村倫也vs坐骨神経痛」の戦いだと思った。
三者三様、私への攻撃の種類が違う。
さて、誰が勝つのか。
そんなことを考えながら、会場にたどり着いた。
気になるこの戦いの結果は最後に発表しよう。
正直会場に着いて、席に着いてもなんだか実感は湧かなかった。
同じ建物の中に中村倫也がいて、自分の視界の中に中村倫也が現れるなんて。
座席は神席だった。
あれはきっと神席に値する。
今回は新型コロナウイルスの感染予防に伴い、舞台から観客の間にソーシャルディスタンスを確保できるように座席が調整されていた(たぶん理由はこれ)。
その結果、私は前から4列目の下手寄り。
左隣の席は潰されており、自分の真横に下手の舞台があった。
そして役者の皆さんが出入りする舞台袖の真横だった。
まさかこんな距離感だと思っておらず、戸惑ったが、せっかくこんな近くで、肉眼で、観られる環境なら、舞台の内容より倫也さんの一挙手一投足を逃さないようにしようと心に誓った。
本当に中村倫也ここに出てくるのかなぁ、なんて実感が湧かないまま、オンタイムで幕が開く。
あぁ、始まる、なんて思ったのも束の間。
舞台に立つ中村倫也がそこにはいた。
中村倫也だ、と思った。
私の目の前に立っているこの人は中村倫也だと思った。
いや、でも待て、中村倫也なのか?
私の中で中村倫也はずっと妖精だと思っていた。
この世に中村倫也は存在するけど、偶像というか、まるで羽が生えていて、私とは違う時空を生きてると思っていた。
でも私の目の前にいる中村倫也はちゃんと脚が生えていて、そこに存在していた。
あぁ、中村倫也って私と同じ時空を生きてるんだ、中村倫也って生きてた、そう実感した瞬間、ぶわぁっと込み上げるものがあった。
気付いたら、幕が開いたばかりなのに涙が出ていた。
ぎゅっと拳を握りしめ、自分の目の前に存在する倫也さんを目に焼き付けようとしたけど、でも涙で前が見えなかった。
セリフの後に少し息が上がり、呼吸に合わせて、胸が上下している姿に気付いた時、ずっとずっとテレビの中でしか観てこなかった倫也さんの演技が今の目の前で繰り広げられているんだと実感して、愛おしい気持ちが込み上げてきた。
そしていつも見ていた左眉の上のほくろや、少しささくれがある男らしい指、かわいらしい丸い爪。
あぁ、私、この人のこと毎日見て、こんな人なのかな?あんな人なのかなっていろいろ考えてたけど、考えるまでもなく目の前にいてくれることのありがたさがじわっと広がった。
はぁ、中村倫也がここに生きてる。
ここから先は少し舞台の内容に触れることもあるので、知りたくないという方はスクロールストップを。
物語の事前情報は正直そこまで頭には入れずに行った。
ただ稽古の状況等はいろんなインタビューで見ていた。
歌もダンスも殺陣もあり、歌舞伎の要素もちゃんとある、と。
歌はまさかあんな形だとは思わなかったが、とてもエンタテイメント性に富んだ舞台だった。
物語も盛り盛りで起承転転転結くらいあった。
「おっと、まだあんのかい!」と突っ込みたくなったのは心に留める。
個人的には倫也さんが狐達と群舞をしていた姿がすごく新鮮で、あの衣装でセンターに立って、キレキレに踊る姿、踊る時の妖艶な表情は忘れられない。
なんと魅力的な安倍晴明なんだ、と思った。
倫也さんの当て書き作品なだけあって、日頃の倫也さんのつかみどころのないふわふわとした晴明(作中の元方院の台詞でもいじられている)で。
でもとても情に溢れていて、寛容な心の持ち主である晴明を演じる演技力はもちろん、どこか倫也さんに通ずる部分もあると思った。
だからこそ細かい表情の変化、身振り手振りが見逃せなかった。
飲み物を飲むシーンできっと中身は空っぽなんだろうけど、猫舌でフーフーと冷ます姿や、利風が妖を殺そうとするのを止める姿や、タオフーリンを諭す姿等々。
どこをとっても、倫也さんらしい安倍晴明がそこにいた。
最後のご挨拶の時、あれだけたくさんの出演者が皆さん勢揃いでご挨拶をされ、吉岡里帆さんが出られた後、皆さんを舞台上に呼び、ズラッと整列。
その真ん中を出演者の皆さんがパッと開け、できた道を向井理さんが歩いてこられ、最後、倫也さんがその道を通って、男らしいお辞儀(まるで極道のお辞儀かと思う勢い)を見せた時、「あぁ、座長なんだ」って改めて実感してジーンと来てしまった。
劇団☆新感線といえば、俳優を志し、特に舞台での経験を積む人からすると、最高峰と言ってもいい憧れの場所である。
そこの座長を務める、その重みを倫也さんはいちばん感じていたはずだ。
演技力があることはもちろん、その劇団の名前を背負えるだけの知名度と、世の中からの信頼が求められる。
とうとう倫也さんはそこまでいったのだ。
下積み時代が長くて、売れたいけど王道のレールには乗っかりたくないと、もがき、苦しみ、腐ってた時代を経て。
舞台の経験を積み重ねることで培った確実で高い演技力がいろんな目に留まり、テレビの世界でやっと日の目を浴びて、そしてそこで得たものを自分を育ててくれた演劇の世界に返す。
舞台の真ん中に立つ倫也さんを見ながら、そんなことを思い返されて、また涙が出てきた。
私は家族でも育ての親でもなんでもない。
でもそんな私ですらジーンときた。
ファンになってからなんてたった少しの短い時間だけど、倫也さんと生きてきて良かったと心の底から思えた。
今この言葉を書きながら、所属事務所TOPCOATのマネージャーの連載の中であった、2016年劇団☆新感線夏秋興行SHINKANSEN☆RX『Vamp Bamboo Bum〜ヴァン!バン!バーン!』の初日を見た社長の言葉というのが、この間開幕の日に再掲されていたのを思い出す。
その言葉を今回の舞台を見てから読み返すと、また違う感動がある。
そして、中村倫也はまだまだ進化する、と思えるのだ。
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ちなみにカーテンコールは4回。
3回目のカーテンコールで捌ける時に、倫也さんの横にいた吉岡里帆さんと倫也さんがぶつかってしまって、吉岡里帆さんが倫也さんにごめんなさい!と両手を合わせて捌けようとしたら、倫也さんが真顔で走って追いかけていました。
あの時は紛れもなく“中村倫也”がそこにいました( ◠‿◠ )
とてもいい席で、肉眼で倫也さんの一挙手一投足を見れたのはもちろん、なんなら私の横の席が潰されていたのがソーシャルディスタンス確保のためなら倫也さんの飛沫を浴びたのではないかと信じています( ◠‿◠ )聖水( ◠‿◠ )
ちなみにこの感想をを舞台好きな母親と話していた時に、
「良いステージを見ると、また明日から生きていこうと思える。
舞台の上の人達程ではないにせよ、自分なりに精進していかないととも思う。」
という話になり、本当にその通りで、エンタテイメントは不要不急なんかではないと改めて思ったのでした。
私はまだあと数回行く予定ですが、こんなご時世です。
無事に走り切れることを心の底から願っております。
私がお邪魔した回ではマナー等気になることはありませんでしまが、引き続き倫也さんの晴れ姿が見れる舞台を守るためにも、注意しながら楽しめたらと思うのでした。
急急如律令!!!!
そういえば、「ロキソニンvs中村倫也vs坐骨神経痛」の戦いはもちろん中村倫也の勝利だったのですが、もしかしたら向井理の顔の小ささの衝撃が援護射撃したのかもと思うのであった。
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