秘密の本棚を覗きに(軽食おやつ付)
良書に出会えたことを皮切りに、ここのところ私の中で読書熱がカムバックしています。
そんな中、「読書室 ポワロ」という素敵なカフェがここ札幌にオープンしたと耳にし、地下鉄を乗り継いで訪ねました。
地下鉄東豊線「豊平公園」から徒歩1分。
幹線道路から一本入った住宅街を進むと見つかる一軒家。
ありました、ひっそり控えめな看板が。
私にしか見えていないんじゃないか、と思ってしまうほどさりげない佇まいです。
思わず呼び鈴を鳴らしたくなる外観ですが、そのまま入店を。
靴のまま上がると、柔和な笑顔のお姉さんが出迎えてくれます。
こちらのカフェ、1階は喫茶室・2階は私語禁止の読書室といった造りで、1人または2人席のみです。
日差しが気持ちよさそうな1階も魅力的でしたが、今回は2階の読書室へ。やや急な階段を上った先には魅惑の空間が広がっていました。
アンティーク家具とそこここに配置された本が芳しい。
どの席も絶妙に他の席から見えないような配置やつい立てがあり、目線が気にならない配慮が嬉しいです。
まさに読書するための場所。
(ちなみに2階には読書室の他に和室もありました。チラッと覗かせてもらうと、畳×絨毯×アンティーク家具が絶妙で、次はぜひ座ってみたいものです。)
しばしどこに腰掛けようかとうろうろした末に選んだ席は、
ロッキングチェアと毛皮が印象的な席に。
こちらの読書室でも読書を楽しみながら軽食がいただけるとのことで、オーダーを。
お姉さんが1階キッチンにて準備されている間、何を読もうか本選びに移ります。
小説やエッセイ、漫画も用意されていました。
心なしかミステリーのラインナップが多いような。
どこか秘密めいた空間で謎解きに没頭するのも良いかもしれません。
今回は、以前から気になっていた連作短編集『マカン・マラン』をお供に。
店員のお姉さんのように柔和で心がぽかぽかしてくるお話たちです。
そうこうしていると頼んでいたナポリタンのお出ましです。
ツヤツヤ赤色が眩しいウインナーが3本も!
レトロな銀のトレーに映えています。
ケチャップの甘み酸味がしっかり効いたソースにアルデンテの麺。
セットのサラダのドレッシングは砕かれたピーナッツ入りで香ばしい。
愛らしい見栄え負けせず、味わいは本格的です。
あのお姉さんはどこか飲食店で修行されていたのだろうか?
食事を終えた絶妙なタイミングでデザートにお願いしていたプリンとポワロブレンドが到着。
卵の優しさとカラメルの甘さがマッチした柔らかプリンでした。
ポワロブレンドは浅煎りかな?飲み疲れせず、読書に夢中になって冷めても美味しさが続いていました。
いつもなら小1時間程度でお店を後にする私ですが、この日はじっくり2時間以上もお邪魔してしまいました。
隣の席からは私と同じくページを捲る音。
外からは家を建設中なのか、大工仕事のトンテンカンテンが遠くに響き、
階下からは静かに流れるノラ・ジョーンズ。
お姉さんが階段を上り下りして運んでくれる食器の音。
音とはこんなにもはっきりと聞こえるものなのかと思う、静かな空間。
普段、良いお店に伺えた時はお会計時に「おいしかったです」とお伝えするのですが、この日ばかりは「とても良い居心地でした」を加えてしまうほどでした。
なんだかご近所の憧れのお姉さんに「今日、うちで読書しない?」と誘われ、お姉さんの秘密の本棚を覗かせてもらった気分。
さらにはお手製の美味しいナポリタンにプリンとコーヒーまでいただいちゃって。
そんなちょっとした特別感を楽しめたひとときでした。