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大量リストラと金メダリストの言葉
朝起きてスマホを開くと、
「ついにリストラ始めるってよ!」
昔いた会社のOB・OGたちが集まるLINEグループに送られてきたメッセージだ。
どうやら、その会社が100人規模の希望退職者を募るらしい。
一瞬で目が覚め、
不謹慎かもしれないが、興奮してしまった。
育休中でしばらく仕事をしていないので、そういったお金がらみの生々しい話は久しぶりだった。
また、いつもは子育て支援センターなどの安心が約束された「やさしい世界」にいることが多いせいか、そういう現実をつきつけられる感じのネタに飢えていたのかもしれない。
時代が変わる
さっそく、会社のホームページにアクセスし、過去数年間の決算書(有価証券報告書)を、チェックしてみた。
このところ毎年業績が右肩下がりで、今年度の業績予想も、かんばしいものではなかった。
不採算事業や子会社、不動産などを売却し続けていて、経営のスリム化を急ピッチで進めているようだ。
そこにきて、100人規模のリストラ。
元同僚にも連絡してみた。
希望退職の細かい条件は聞き出せなかったが、電卓を叩くと、おそらく数十億円レベルで人件費の削減を見込んでいることが見えてきた。
会社の本気度がうかがえた。
ついに時代が変わる。
今の時代にそぐわないビジネスモデルや組織運営。
そして、経営陣も見直されて、私が憎んでいたあの会社はようやく変わるだろう。
私の憎しみも、やっと「清算」できる気がした。
過去の自分
私はその会社に勤めているときに、うつ病になった。
そして、会社に愛想をつかして退職し、九州にUターンした。
その会社のことは、もう考えたくなかった。
でも、決算書を読みながら過去のことが自然と思い出された。
尊敬する先輩や仕事仲間に恵まれて、仕事が楽しかったこと。
その会社にいたからこそ、できたこともたくさんあったこと。
そんなわけで、輝いていた自分がいたこと。
当時は、残業や休日出勤なんかも当たり前で多くの時間を仕事に割いていたので、学んだことや、身に付いたこともたくさんある。いまのサラリーマンとしての原点になっているといってもいいかもしれない。
金メダリストの言葉
うつ病になると、元の自分には戻れないと言われることも多い。
新しい自分を生きましょう
と。
私は、新しい自分になるために、当時の記憶や過去の自分には極力ふたをして過ごしてきた。苦しくなるから、思い出したくなかった。
でも、仕事に全身全霊を傾けていたことや、病気でツラい思いをしたことも含めて、すべて自分が頑張ってきたことだ。
東京オリンピック 競泳の金メダリスト大橋悠依選手が、なにかのインタビューで、こんなことを言っていたのを思い出した。
「過去の自分がやってきたことをぜんぶ認めてあげたいと思うようになった。じゃないと、過去の自分がかわいそう」
オリンピック前、彼女は不調にあえいでいた。でも、そんな心境になれたことで自分を信じることができ、五輪という大舞台で結果を残した。
自分も今なら、過去の自分にもう少し目を向けて、認めてあげられる気がする。