#0180 鈍臭い自分の営業力を支える「記録化」の習慣とその効用
こんにちは。釧路人おだわらです。
家族の体調悪化や佳境の仕事があったり、贔屓球団が7年ぶりに日本シリーズに進出し、まさかまさかの日本一になる等、公私とも目が飛び出る程、忙しくなったことを言い訳にnoteやSNSの頻度が激減しておりました。。。
ちょっと気力と体力が戻ってきたので再開します!
voicyパーソナリティ木下斉さんの「ジブン株式会社ビジネススクール」10月3時限目の「(読解力+言語化力)×スピード=営業力の基礎」をテーマに書きたいと思います。
私は銀行員としてキャリアをスタートしましたが、一貫して営業職として歩んできました。
正直、お金にがめつい方でもなければ、鈍臭い性格で、営業トークが得意という訳でもない自分が、どうしてここまで長く続けられるかということを3時限目の講義を聴きながら考えてみました。
○「記録化」という支え
私は支店の中小企業営業担当としてキャリアをスタートしました。
当時は「とにかくお客さんに会いに行け!」が合言葉で、実績も経験もない新人が、何も提案や用事もないのにアポイントを取って(或いはノンアポ)客先を回っていました。
客先に到着するまでの道中は、社長や経理部長などと何を話せば良いか不安で仕方がありませんでしたが、研修でグループワークで行ったことを思い出しながら、まずはアイスブレイクをして…と面談を重ねていると、訳もわからない宿題をたくさん抱えて帰社します。帰りの道中は、お客様からいただいた宿題をどうしたら良いか不安で不安で仕方なくなります。
当時の銀行は、指導担当の先輩行員がいたものの、一年目のペーペーのことなんか相手にしてくれません。わからないことがあっても、超絶聞きにくい雰囲気です。相談もできずに何時間も何日もかかってしまったということもありました。不健全ですが。
いつものように宿題を抱えて帰社して、思い切って先輩行員にどのように宿題を打ち返したらよいか根掘り葉掘り聞いて、後日、お客様にお返事を持っていくと、「ありがとう。」と言われたんですよね。
このときに若いなりに、何もない自分でも貢献できることがあるんだと思ったんです。
感謝されると嬉しいですし、次からは、もっとお話しがしやすくなる感じもしました。もしかすると、これがリレーションシップか?と思いました。当時、法人営業担当のことをRM(リレーションシップ・マネージャー)と呼んでいたので、どうして営業なのにリレーションシップで、平なのにマネージャーなんだ?と思っていたのですが、その意味が身体知っぽく取得していきました。
そういった日々の営業活動を通じて、現在でも顧客との信頼関係を築くことが、営業として最も重要なミッションのひとつであると感じています。
その信頼関係を支える基盤として、私が長年にわたって取り組んできたのが「記録化」です。
お客様とのやり取りをその日のうちに記録し、上席やチームメンバーと共有する。
このシンプルな習慣が、営業力を磨き上げる上で非常に有効であることを実感しています。とくに日々noteを更新されている人は、インプットした情報をテキストでアウトプットすることができる人が多いと思うので、その強みを生かした営業活動ができるのではと思いシェアをさせていただきます!
○新人時代に定着した「記録化」の習慣
私がこの「記録化」の習慣を身につけたのは、新人の頃です。
当時の支店長が、毎日の訪問ノルマを課し、面談記録を必ず専用のシステムに入力しなければならないという厳しいルールを設定していました。
記録を残すのは面談実施の翌日までで、それを過ぎると未達成としてカウントされ、さらにその課にはペナルティが課せられるというものでした。そのため、私は17時から17時半の時間を「記録化タイム」として、訪問内容を短文や箇条書きで記録することを日課とするようになりました。
当時はノートPCを持ち運ぶことができなかったため、メモした手帳をPCの前に広げ、手作業で記録を入力していました。正直なところ、面談では分からない単語が飛び交ったり、受けた依頼や相談の意味もよくわからなくて、それを自分のなかで理解できずにとにかく記録化していました。
当時の自分には非常に面倒に感じる習慣ではありましたが、この「記録化タイム」をしっかり守ることで、自然と習慣が身についていったのです。
この記録化タイムの前後で、分からない言葉を調べたり、訪問記録を読んで切れた先輩が、次のアクションを指導してくれたりもしました。
現在はノートPCを携帯しているため、面談しながらリアルタイムで記録ができるようになりましたが、あの時に身につけた「即日記録化」の習慣が、今も私の営業スタイルの土台を支えています。
記録化の効用1:情報の鮮度を保つ
この記録化の最大のメリットは、情報の鮮度を保てる点にあります。
記憶は時間とともに薄れていき、重要な要点やニュアンスが失われやすいため、取引先からの情報や要望をその日のうちに記録することで、正確な記録を残すことができます。
特に、顧客から「何を求めているか」「なぜそれを必要としているのか」という具体的な要望や背景情報は、貰った宿題が何かであるかということであり、顧客が発する言葉や行間から意図を読解しなければなりません。とくに金融関係の情報は、会社の経営に直結する情報ですので、ストレートな表現はあまり用いられません。ときには嘘を話されることもあります。
ですが、顧客が発するメッセージを正確に受け取ることは、営業担当者としての信頼構築に欠かせません。これらを速やかに記録し、上席やチームメンバーと共有することで、ミスを未然に防ぎ、迅速かつ的確に対応することが可能になります。
例えば、ある顧客から「1か月以内に●●●百万円の資金調達が必要だ」という要望を受けた場合、なぜその資金調達が必要なのか、何が課題となるのかを聞き出し、次回の面談やフォローアップに反映させていく必要があります。このように記録化が徹底されていると、顧客からの信頼も自然と高まり、営業としての基礎力を磨いていくことができます。
記録化の効用2:チーム内での透明性と信頼の構築
記録をチーム内で共有することは、上席や同僚との情報連携をスムーズにするだけでなく、組織内での透明性と信頼関係の構築にも繋がります。
特に、営業の現場では「俺は聞いていない」という上席の言葉がトラブルの原因になることが少なくありません。記録を共有することで、「聞いていない」という言い逃れができなくなり、万が一トラブルが発生した場合にも上席やチームが迅速にサポートに入れる体制を整えられます。
また、共有した記録があることで、事実関係を時系列で整理しやすく、トラブルの原因究明や再発防止策の検討も効果的に行うことができます。チーム内での透明性が高まると、トラブル発生時にも冷静に対応でき、解決策を見つけ出すための協力体制が自然と生まれます。こうした取り組みは、営業担当者としての自分を守るだけでなく、組織全体の効率を高めるものでもあるのです。
実際、私が新人の頃は、めちゃくちゃ周りに聞きにくい雰囲気だったので、所定のシステムに記録化すると、所属課と部長、支店長が閲覧できるようになっていたので、誰かが拾ってランチの時間などに指導してくれました。当時、こうしたシステムが存在していたことは、私にとって大きな救いとなりました。現在の会社では、面談記録を残すCRMに関係者にメールで飛ばす機能があるので、重要な情報はメール配信機能を使ってスピーディーにシェアをしています。
記録化の効用3:仮説提案力とリレーションシップの強化
記録を続けることは、単なる情報の蓄積以上の効果をもたらします。
長期間にわたって顧客の情報を蓄積することで、相手の趣味や関心事、具体的なビジネス上のニーズなどを深く理解し、それをもとに仮説を立てて提案を行う力が養われます。この「仮説提案力」が磨かれると、単なるサービス提案以上に、顧客にとって価値あるアドバイザーとしての存在感が増してきます。
記録化を継続していくと、脳内にも情報が溜まっていきます。面談中に相手から放たれた情報に、脳内に溜まっていた情報にフックするときがあります。このときに、複数の情報を掛け合わせて、更に自分の知識や経験ともミックスさせると新たな情報のメッセージ(仮説)が生成されます。
その仮説を基に提案を行ったり、相手も気付いていないような潜在的な課題を提示してみたりといった「仮説提案」は、信頼関係を深めるための強力なツールだと思います。
さらに、記録化を続けることで顧客の言葉や行間を読む力が高まり、次に何が求められるか、相手が何を伝えようとしているかを類推する精度が自然と向上していきます。長年の取り組みが進むと、顧客と主語や細かい説明を省略しても意図が伝わる「二人だけの会話」が成立するようになります。この段階まで来ると、顧客にとって私は単なる営業担当ではなく、なくてはならないパートナーのような存在になり、リレーションシップがさらに強化されるのです。
鈍臭い自分でも続けられる営業力向上の道
ここまでお話ししてきた「記録化の効用」は、単なる情報管理や業務効率化以上の意味を持っています。
私のような金融の仕事は、目に見える商品を扱っていないうえに、金利以外に差別化を図りにくい概念の仕事です。なので、金利などの経済条件以外で私を選んでもらわなければなりません。
私は明石家さんまさんのように話が上手いわけではありません。
しかし、こうした記録化の取り組みを地道に続けることで、少しずつですが「相手に響く営業」ができるようになったと感じています。
営業には華やかなプレゼン力も大事かもしれませんが、地道な記録化によって蓄えられた情報と、自身の知識・経験が結び付くとき、自分にしか生成できない新たなメッセージ(仮説)を導き出すことができるのです。
仮説提案の殆どは、だいたい外れていることが多いですが、それを繰り返していくことで、「刺さる提案」に近付いていったり、顧客の「潜在ニーズ」を突き止めて独占的に交渉ができたりします。
新人時代に身につけた記録化の習慣が、今では私の強みとなり、私の営業活動を支えてくれています。
華やかな話術ではなくても、確かな記録を通じて顧客を理解し、適切に対応できる力が身につけば、顧客にとって「なくてはならない存在」として営業の道を歩んでいけると信じています。
情報は資産です。
これからもこの記録化の習慣を大切に、さらなる営業力向上を目指して努力を続けていきたいと思います。
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