#0142 新入社員から学んだ「未来の常識」
こんにちは。新幹線で大阪に移動中のおだわらです。
皆さんの会社や組織では、新入社員の配属はありましたか?
私の部署はここ3年ほど連続して新入社員が配属されています。
近年は、ハラスメントを意識して、人事から新入社員教育に対する配慮を求める通達が多くなり、私も含めて、部署のメンバーはコミュニケーションに悩むことが多くなりました。
私自身も、新入社員に対して「まだまだだな」とか「この子大丈夫かな?」と心の中で思ってしまうことがあるのですが、新入社員が電話応対で戸惑ったときにフォローすると、電話応対に対する本人の率直な思いが返ってきて、自分よりも彼の感覚の方が正しい!君の感覚の方が未来のスタンダードだ!と思った出来事がありました。
人は自分の「普通」を「普通」と思いがちです。
しかし、世の中の「普通」は世代とともに変化します。
自分の「普通」を押し付けたり、相手の「普通」を否定したりしたとき、ハラスメントや摩擦が生じます。
世代を隔てると、生きてきた時代が異なるため、どうしても違和感が伴うのですが、そうした違和感もいったん受け止めて、相手の「普通」から学びを得ることは超大事なことだと思ったので、今日はその出来事をシェアしたいと思います。
○着任挨拶
まずは、会社組織の新入社員に対する接し方について、どうなの?と思ったことから。
6月。新人が私の部署に配属された。
最近はすぐに辞めてしまう新入社員が多いからか、新人に対して過度にお客様扱いしているのではと感じる側面がある。
例えば、着任初日の朝礼での挨拶。
4月からリモートワーク併用となったことで、部門メンバーが全員揃わないからという建前で朝礼が見送られた。
新人配属の通達文書の添付資料として、顔写真とともに簡単なプロフィールとあいさつ文が掲載されたPDFが人事から配信されて、それで彼の人となりを知るという、何とも無機質な感じの着任初日であった。
いろいろなことを教えたいし、教えなければならない。
能力や性格は十人十色。
頭で覚えるタイプと体で覚えるタイプ、とにかく量をこなしたいと思う者もいるはずだ。
しかし、残業を1分もしてはいけないという。
これも所謂「大人の事情」というやつだろう。
こうした振る舞いには、とても違和感を感じる。
相当気を遣っているということなのだろうが、なにか腫れ物にでも触るかのような扱いは、当人にとってはどうなのだろうか。
今度、話をしていたいと思うのだが、自分なら仲間外れにされているように思ってしまうのではないかと思う。
○重量化する若手にかかる負荷
メンターに就任した2年目の子の負荷が重くなっているように感じる。
というのも、30代以上の昭和生まれ世代の人たちは、○○ハラスメントになるのではと直接指導しようとしない。
自分が良かれと思ってしたことでもハラスメントとされる恐れがあるためだ。
だから、必然的に2年目の子にコミュニケーションが集中する。
2年目の子が質問を全受けし、自分で答えることができるものは即答するのだが、そうではないものは自分が先輩社員や担当部署に照会して対応している。
自分の仕事もあるのに、これは結構な負荷だと思う。
これでは、新入社員の人脈や人間関係作りにもつながらないし、どこでどのような仕事を担っているかという組織もわからない。
私自身は2年目の子の話を聞くことでガス抜きをしたり、キャパオーバーになっていないかタスクを肩代わりしたりといった形でフォローしているのだが、心配でもあり、成長も感じている。
○新入社員「人の電話って取っていいんですか?」
新入社員は、自席でPCに向かって言われたことをやり、メンターに教えてもらい、メモを取り、またPCに向かうといったことを繰り返していて、会社という名の学校?に通っているような状態に見える。
あるとき、新人が電話応対に戸惑っていたので、声をかけた。
どうやら「どの電話を取って良いのかわからない」という。
私は「間違えても助けてあげるから、これと思ったら取っちゃって良いよ!」
と言った。
すると「え?人の電話も勝手に取って良いのですか?」
と返していた。
「いいよ。むしろ迷わずにワンコールで取ってくれたほうが、社内も社外も好感度増すよ。毎回、ワンコールで取ってたら、お客さんが案外覚えていて、ほめてくれた経験もあるし。躊躇せずに取るんだ!」と発破をかけた。
めちゃくちゃ驚いた表情をしている。
聞くと
「実家には固定電話がないので、正直いって電話の扱いがわからない。」
「物心ついた時から、親は携帯電話を持ち歩いていて、人の電話を取るということをしたことがない。」
「人の電話を取るという行為は、人の手紙やメールを勝手にみることと等しい行為に感じてしまう」
とのこと。
私はハッとした。彼は正しい。
新人のプライバシー保護に対する意識は、昭和生まれの私をはるかに凌駕している。
おそらく彼のこの感覚は未来の常識になっているだろう。
いつまでも自分の「普通」を「普通」と思っていてはならない。
新たな「普通」を受け入れ、学ぶ姿勢が大事。
自分の「普通」を相手に押し付けようとすることはあってはならない。
新しい「普通」に対して最初は違和感を持つ。しかし否定してはならない。
まずはその存在を認めるということ。
それが老害にならずに若い人から学ぶ姿勢であり、
相手との距離を縮めて、理解しあうことの第一歩なのではないだろうかと
電話応対をきっかけにしたやりとりで思いました。
そもそも会社の固定電話がその内なくなり、電話を取り継ぐ行為もなくなっていくのでしょうね。
新入社員が電話を取り継いで応対するのは当たり前は、もう古いなと思いました。
対話って大事ですね。