#0203 【釧路】九州から来釧された精神科医の先生に感銘を受けて
こんにちは!釧路人おだわらです!
昨日、とあるnote記事を読みました。
その内容は、九州から釧路市に移り住み、新たに精神科クリニックを開業される精神科医の先生がいらっしゃるというものです。
このニュースを知ったとき、私は驚きとともに、その先生の熱意と地域医療に対する強い使命感に感銘を受けました。
釧路という最果ての地にわざわざ九州から移り住み、新しい医療の場を作ることは、なかなかできることではありません。
先日、noteに書いた「気持ちを行動で示す」をまさに体現されていて、テキストを通してですが、気持ちが伝わってきました。
その感動をTwitterでシェアしたところ、ものすごい勢いで反響がありました。
釧路の方を中心に多くのイイネやコメントが寄せられ、精神科クリニックの開業を心待ちにしていた人々の思いが、痛いほど伝わってきました。
Twitter上での釧路の精神科医療を巡るコメントとしては「本当に待っていました」という声を多く目にしました。
釧路市における精神科医療がどれほど求められているのか、そして地域の人々がどれほど精神科クリニックの開業を期待しているのかを、改めて実感しました。
昨日はこの感動をきっかけに、釧路市の精神科医療の現状についてリサーチをし、更に日本の医療の持続可能性について考えてみました。
釧路市の精神科医療の現状
釧路市の精神科医療の現状を調べてみました。
状況はかなり深刻であることがわかりました。
まず、釧路市では精神科を謳う医療機関が6件(病院ナビより)ほど存在していますが、それでも地域全体の需要には応えきれていません。
市立釧路総合病院では精神科の新規外来予約が3カ月待ちという状況が報じられており、医療提供体制が逼迫していることが明らかです。
このような背景には、地域全体での精神科医の数が絶対的に不足していることが挙げられます。釧路市における精神科医の具体的な人数に関する統計データを見つけることができませんでしたが、(どなたか分かる方がいらっしゃいましたらコメント欄で教えてください!)市内の精神科数6件や予約待ち状況から判断すると、医療提供体制が極めて厳しいことがうかがえます。
※仮に釧路市の人口が15万人、1つの医療機関に1名の精神科医がいると仮定すると、10万人あたり精神科医4人 となります。この数値は全国平均(最大約32.65人沖縄県・最少11.75人茨城県)と比較すると非常に少ない水準です。
さらに、これは知り合いから釧路市では地域特有の課題として医師の高齢化が進んでいることも挙げられます。これは釧路市に限らず、全国の地方都市に共通する課題です。高齢の医師が多い現場では、新しい診療技術やリモート診療の導入が遅れることが多く、結果的に患者が適切な医療を受ける機会を減らしてしまいます。
また、釧路市は釧路・根室エリアの広大な土地の医療をカバーしており、遠く弟子屈や根室から車で通院する人もいらっしゃいます。このため、周辺の町村で診てもらえない、或いは精神科がないところに住む患者さんが、釧路市の専門医療機関に集中するのではと推察します。釧路市に限らず、エリア広域での医療体制を考えていかなくてはならないのではと思います。
全国的な精神科医療の課題
釧路市だけでなく、日本全体の精神科医療にも共通する課題があります。
厚生労働省が公表した「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、2020年12月31日時点で医療施設に従事する医師の総数は約344,000人。
そのうち、主たる診療科が「精神科」とされる医師は約16,000人で、全体の5.19%に過ぎません。この数字は、精神科医が日本全体の医師数に対して少数であることを示しています。
また、精神科医の分布には地域差があり、都道府県別で見ると、人口10万人あたりの精神科医数は最も多い沖縄県で32.65人、最も少ない茨城県では11.75人と大きな開きがあります。北海道も全国平均を下回る医師数であり、釧路市のような地方都市では、さらに厳しい状況であることが想像できます。
さらに、精神科医療の需要は年々増加しているようです。
これはカスタマーハラスメント(カスハラ)などの社会全体のストレス要因の増加などによる精神疾患の発症率の上昇が背景にあります。その一方で、医療現場が疲弊している現状も見逃せません。
また、精神科医療はオンライン診療と比較的親和性が高いにもかかわらず、その普及が進んでいないのも課題です。初診時の対面診療原則や、高齢医師のデジタル技術への抵抗感など、さまざまな要因が障壁となっているものと推察されます。
持続可能な医療を考える
釧路市の事例や全国的な精神科医療の課題を踏まえ、以下のような改善策が必要と考えました。
1. リモート診療の推進
精神科は比較的オンライン診療に適している分野と言われています。初診時の制度的な制約を緩和し、リモート診療を活用して地域外の医師とも連携できる仕組みを構築することが必要だと思います。
2. 医師偏在の是正
地域医療に従事する医師への経済的インセンティブや、不足する診療科への医師配置を進めるべきです。この問題は、医療現場の働き方改革やDXなど様々な要因が複合的に絡み合っているので、より具体的な議論が必要と思います。
3. 予防医療の推進
生活習慣病や心の健康に関する教育・啓蒙を強化し、早期の疾患発見や介入を可能にする仕組みを構築します。
4. 医療費の適正化
自己負担割合を引き上げることで、軽症患者のコンビニ受診などのモラルハザードを抑制し、本当に必要な医療資源を必要な人に届ける仕組みを整えるべきです。これにより少しでも医療現場の負担が軽減できると思います。
5. 医療従事者の労働環境改善
長時間労働の是正とタスクシフトによる負担軽減を進めることが直接的アプローチになりますが、DXなど様々なことを同時にやっていかないと解決できないのではないかと考えています。
6. 地域住民の健康意識向上
健康維持の重要性を地域住民に啓発し、医療費の削減につなげ、そもそも病院にかかる人を減らして現場の混乱を防ぐ。これも人々の行動変容が求められるので難易度が高いですが、重要な課題です。
釧路から医療の未来を考える
九州から釧路に移り住み、地域医療に貢献しようとする精神科医の先生の熱意に感銘を受けたと同時に、釧路市の精神科医療が抱える現状の厳しさを知ることができました。このような現場の課題をクリアするための正解は誰も持っていませんが、オンライン診療などできるところから着手しなければ、深刻な状況を変えられないように思いました。
持続可能な医療体制を構築するために、私たち一人ひとりが何ができるかを考え、行動することが求められています。精神科に限らず、内科など風邪で診てもらうクリニックの使用頻度なども、まだまだ元気な現役世代は、コンビニ受診を控えて感染症検査キットを使って検査をし、市販薬で対応するなど、医療現場の負担、医療費の負担を考えて行動しなければならないと思います。
これからの縮小社会では、今までの当たり前が当たり前でなくなることを前提に社会を構築していかなければなりませんね!