飛べない自覚
鳥人間コンテストの話ではなく、霊長類ヒト科ヒト属(だっけ?)は、自力では飛べない。鳥類だってペンギンやダチョウは飛べない、いや飛ばない方を選んでる。ヒトも飛ぶことを選ばなかったというか、どちらかというとそっち側へはいけなかった種。飛ぶためには脳みそ重いしね。仕方ない。
なんて話ではなくて
アタシは飛べない、飛ばせないんだとわかった。いや、わかってたんだけど、わかってたんだけど、今までは認めてこなかっただけ。
やれば出来るんじゃね?
今までずっとこれでやってきた。生業には絶対ならないクオリティだけど、とりあえずの使用目的は果たせてた。
洋服だって自分が着る分には誰にも文句を言われない。少々縫い目が不揃いだろうが、左右で数ミリの誤差があろうが、ぱっと見じゃ分からない。モデルみたいにじっと立ち尽くしているわけじゃあないんだから。究極、何かの拍子にバラバラになってしまわなければ、それでいい。
片袖だけ違うそれもぶかぶかのカーディガン、V字の切り替えが逆になったワンピースや巻きスカートに子供服。すべて体を覆う布としての役割は果たしてくれてたし、何より着ている着せているアタシは満足だった。
料理だって好きじゃない。けど、生きてくためには作らなきゃなんない。毎度外食出来るほど裕福じゃない。家事全般はそんな感じ。
幾つかやったバイトやパートでも、なんとなく雇用主には気に入られて優遇されてた方だと思う。が、それがイジメに繋がるんだわな。なんでも同じじゃないと気に食わない人が一人いるだけで狂う職場の空気。「同じ」を主張するなら「同じ」仕事を「同じ」ようにこなしてから言え!と何度思ったか。(もちろん言わないけど。だから標的にされるんだが)
結局、これがアタシの特性なんだと。
言われたことは出来る。想定内の行動を想定内でこなすことは。けど、そこから先がない。
ポンと自力で飛べない。
うんうん唸っても、なーんにも出てこない。ちょこっとした変更や移動では無理な発想の飛躍ってのがない。
とっくの昔にわかってた。けど、やれば出来るで生きてきた人間はそれを今更認めたくない。
アタシだって環境さえ整ってれば
アタシだって時間があれば
アタシだって集中力を発揮すれば
そ、ぜーんぶ、レバレバの世界。
レバは所詮レバだと自分できちんと認めると、可能性をひとつ消せることになる。
消える じゃなくて 消せる 。
レバレバは何にも変化しない。レバはずっとレバのまま。
出来ないままのレバは、早めに手放した方がいい。
あやふやなまま放って置いた色んなレバを整理して、手放して行けたらいいなと。
レバーあんまり好きじゃないし
最初から風切り羽根がないのなら歩けばいいさとぼとぼとでも
森全体見渡せないなら一枚の木の葉をじっと見つめればいい