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台所短歌

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2024年5月の記事一覧

細き枝で上下左右に伸びをして機嫌不機嫌知らせて寄越す

声帯を持たないゆえに白き花言葉の代わりに開く君たち

ひとひらを一文字なんだと眺めれば近頃君はすごくお喋り

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液肥をあげたからか花がたくさん咲きだしたブライダルベール。水遣りと花殻詰みが毎朝の日課になった。

苧環
5か月前
16

雨のシェード

音という音のすべてを飲み込んで雨のシェードが降ろされたまま

跳ね返す力無くした街並みが雨のシェードのグレーに沈む

たぷたぷと雨を湛えた生垣に明日はアメンボみえるだろうか

苧環
5か月前
23

ガタガタと風に鳴いてた硝子さえ仕舞われていく懐かしさの果て

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風にも鳴かず雨音も通さずの窓や戸はたぶん優れているんだろうけど、なんだか世界から取り残されているようで心許なくなる。閉じこもってしまうと何もわからないのは怖くはないか?と。

苧環
5か月前
24

「楓やな」青葉紅葉に告げてまた舗道こつこつ鳴かせ行くひと

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たまには地面以外も見て歩いてくれと思いつつ掛けた言葉への母の返事。まぁ、「綺麗やなぁ」と杖を支えにしばし眺めてたのでヨシとする。

苧環
5か月前
21

ひとつずつ忘れたふりを繰り返し手放しゆかん君への仕え

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仕えてるつもりなんか毛頭ないし対等だと思ってはいるけど、「いつまで母さんに甘えてるん?」と成人した子にも言われてたことだし。今のバタバタに紛れて些細なモノから忘れて(笑)いこう。

苧環
5か月前
18

朝陽さえ越えれぬ雲を眺めつつ右手に掴む赤いヘアゴム

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明るくなってはいくけれど厚い雲は染まらなかった。今日は伸び切ったグレーではなくて避けてきた赤いヘアゴムを使おうと思う。頸辺りにちょんとある真紅になんてきっと誰も気にしないから。

苧環
5か月前
17

力むのはやめにしようと手に入れた手付き脚立と電動ドリル **** 年に何回使う?と見送ってきたモノを今回やっと手元に。業者の若さに驚きつつ我が身の立ち位置を少し理解。小さな無理が効かなくなって大きな怪我を招くんだと同居人にこんこんと。未使用の3段の脚立が鎮座する生活もいいものだ

ササクレた髪爪肌に手を掛ける朝陽がのぼるこの街のもと

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朝焼けが見え風が入り陽が入る新居。それだけで身体の中が潤う。すぐにネットが繋がらなかったのが良かったのかもしれない。リベンジをしようと手に入れたブライダルベールも順調に毎日花を咲かせてくれてる。今年は株分けしたいな

苧環
6か月前
20