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#1299 固定化された関係を変える発想~「問題社員」どうする~

おはようございます。
小田木朝子です。
このチャンネルは、チームワーキングで私たちの仕事の景色を変えるためのの日々に役立つヒントをお届けします。

今日は水曜日の放送です。
だんだん寒さの深まりを感じつつある今日この頃ですよね。
私は朝の放送収録時間は、早速足元に電気ストーブをつけております。

「アドバイスには聞く耳を持ってもらえず、改善が見込めない」相手にイライラするというお悩み

今日の放送は、このチャンネルの質問ボックスにいただいたご質問を取り上げてお届けしたいと思います。
昨日に引き続きご質問へのお応え放送デーって感じですね。
今日のご質問は、ゆかさんからいただいてます。
ゆかさん、ご質問ありがとうございます。
読ませていただきますね。

【小田木さん、こんにちは。いつも楽しく聴いています。
早速ですが、相談させてください。
私は新卒入社し、営業で6年目になります。
4月に部署異動があり、全く違う商材の営業になり、日々、分からないことだらけですが頑張っています。
営業所は5名。課長と、昨年中途入社した年上の主任、そして主任の私、そして2年目と1年目の2人の構成です。
先週、中途入社した年上の方のToDo管理を課長から任されました
その人は、見積の期日や社内会議の議事録の記述などまったく守りません
またお客様からも対応が遅い、電話がつながらないなど、クレームをもらう始末です。
もともとそういった問題が増えて課長が管理を行っていましたが、課長の一日がつぶれてしまい、他の社員の見積もり確認が時間後になることが続き、私に任せたそうです。
そしてそのクレームのお客様は、私と課長で巻き取ります。
本人いわく、作成しているが課長が承認してくれないから終わらないとのこと。
ただ、見ていると根拠のない見積もり内容を記載して、課長に説明できずに返されていたり、一日議事録を作成する日を設けた際には1ページしか進んでおらず、やる気がないから今日は進まなかったとのこと。
私からのアドバイスには全く聞く耳を持たず、「そんなのは分かっている。トータルで利益が出ているから、一つの項目赤字でも問題ない。」など、私が後から入ってきているのと、年下だからなのか言い返されたりします
また、課長に残業できないと言っており、何も終わっていなくても必ず定時で帰ります。
なお、精算や出勤簿などは誰よりも速く期日前に提出しており、私に「まだ終わってないの?」と馬鹿にする始末です。
そういう人に対して、どのように教えてタスクをこなしてもらうべきか分かりません。また、イライラせずに接したいです。
小田木さん、教えてください。】

というご質問です。
ゆかさん、状況の共有をありがとうございます。
改めてご質問の概要ですが、5人の営業チームで仕事をし、昨年中途入社した年上メンバーのフォローを任されたが、ここに苦労している。期限を守れない、見積もりを正しく作成できない等により、顧客からクレームを受けることが多い。自分からのアドバイスには聞く耳を持ってもらえず、改善が見込めない。イライラせずに接したい。何かヒントはありませんか?
こんなご質問です。
小田木所感ですが、一緒に考えてみたいと思います。

チーム全体に影響が大きい問題

これは、なかなかしんどい問題ですよね。
何がしんどいって、チーム全体に影響が大きいことだと思います。
チーム全体として見ていただければと思うんですけど、本来一名として発揮されるパフォーマンスが、今は残念ながら発揮されてない状態じゃないですか。それに加えて、その管理やフォローに、リーダーやゆかさんの膨大なリソースが使われている。
ということは、本来一人一人が使うべきことに時間が使われていないということで、結果的にたぶん今は生産性が大幅に低下している状況だと言えるんじゃないかなと思います。
あと、期限や見積もりを守らないという問題、要は顧客の不満というのは、顧客にとっては、誰かの問題以上にその会社の問題だと見えるんですよね。
ということは、顧客からの会社やサービスへの信頼低下、この辺の影響も全く見過ごせない問題だなと思います。
さらに、例えば、期限を守らない行動を取る人、反発的な姿勢をとる人がチームに一人いると、その雰囲気というのは、他のメンバーのモチベーションも著しく下げちゃうんですよね。現にゆかさんのモチベーションもちょっと下がってきているんじゃないかなと思いまして、こういった問題が長期にわたって改善されないと、頑張る人材から辞めてしまうという最悪のシナリオも想定されてしまう。
なので、とてもしんどい。チーム全体に影響が大きな問題に今は向き合っているんだなと感じます。

年上メンバーさんの心境を考えてみる

この問題をどこから考えるのかというところですけれども、今、全体を俯瞰してみましたけれども、中途入社の方を今回はAさんと呼ばせていただきますけれども、Aさんにフォーカスをして考えてみたいと思います。
グググと視点を変えて、この渦中のAさんは今はどんな心境だったり、Aさんがどんな構図にはまっているのかをちょっと考えてみましょう。客観的に。
ぜひぐっと解像度を上げて一緒に想像してみていただきたいと思うんですけれども、転職しますってなるじゃないですか。そうすると、ほとんどの方が「新しい場所でがんばるぞ」「貢献して認められたい」「これまでの経験を生かしたい」「ここならやれる」「ここでやりたい」という期待を持って転職してきますよね。
もしもその思いが強かった時に、いざやってみて、もしも想像したようにできなかったとか、思ったよりも難しいとか、活躍していたはずの自分と現実の自分にギャップが広がっていったらどんなことを考えますか?
自信があればあっただけ、クレームを受ける自分とか、誰かにタスク管理されなきゃ仕事ができないと思われてる自分とか、年下にいろいろ指摘されちゃう自分とか、まったくもって受け入れがたいと思うんですよね。なんなら受け入れたくない
そうするとどうなるかというと、周囲を責める。上司が悪いとか、顧客が悪いとか、環境が悪い、自分には問題ないといって、受け入れたくないし、自分を守りたくなると思いますし、もしもそれを認めてしまったら、自分は仕事ができないということになってしまう。それだけは耐えがたい。
こういう構図に今はあるんじゃないかなと思うんですよね。
これって、大なり小なり私たちも似たような構図にはまることってよくあると思います。
この構図に一度はまってしまうと、この構図の中で直接利害関係のある人が正しいことをいくら言っても聞けないという状況になっちゃいまして、今はおそらくAさんはこういう状況にドはまりをしているんじゃないかなと思います。

固定化された関係を解消する

じゃあ、どうするかですけれども、固定化された関係を解消するしかないと私は思います。
今の関係者って課長とゆかさんじゃないですか。このお二人はたぶんAさんの構造の中で固定化された利害関係者になっちゃっていると思うんですよね。例えば、課長は自分を評価して今の自分を問題だと思っている上司だというAさんの認識が出来上がっちゃっていて、ゆかさんに対しても、年下で後から異動してきたんだけれども、自分の管理役になっている後輩だとたぶん認識がされていて、この固定化された関係の中でだけなんとかしようとしても、なかなか難しい状況になっちゃっているんじゃないかなと思います。

もちろんその関係を変えていくというアプローチもありますが、例えば、話を聞いて支援してくれる伴走者的な立場に、例えば課長がなっていくとか、そういう手段もありますけれども、これって誰が悪いとかじゃなくて、いったん固定化されちゃうと本当に難しいんですよね。
じゃあ、このような状況になったときによく取られる手段は何かというと、課長とゆかさんだけでなんとかしない。こういう発想になると思います。

直接利害関係にない斜めの相談者や支援者をおく

よく取られる手段その一は、Aさんに対して斜めの相談者・支援者をおくって感じですね。
例えば、直接の利害関係にない、フラットにAさんの話が聞けて、Aさんも困っていることを正直に開示できるような、直接利害関係にない斜めの相談者や支援者をおく。
例えば、別の営業拠点にいても転職してきて慣れていくという過程を経験している人とか、Aさんが年上か年下かを気にするタイプであれば、年上で営業上のオンボードに対して話が聞けたり、アドバイスができるような人ですね。もちろん実際に現場で起こってる業務上のコミュニケーションは、課長とゆかさんが取っていく必要があると思うんですけれども、ただ課長やゆかさんはAさんのいろんなことにも業務上の利害関係があるので、話を聞き続けるというのは難しいじゃないですか。
なので、そういった部分を支援してくれる斜めの相談者や支援者をおく。
こういう感じですね。

活躍する場所を変えてあげる

さらに踏み込んでいけるのであれば、活躍する場所を変えてあげる
これはお互いにとってとてもいい手段だと思います。
要は、ここでだめだからどこでやってもだめだということはないじゃないですか。
意外と環境や役割が変わると花開くというケースもあるし、そもそも関係をリセットしてやり直すことができるので、再チャレンジもできるし、お互いにいいということって結構あるんじゃないかなと思います。

自分たちだけでなんとかしない

いろいろ言いましたけれども、たぶんこの5人の営業所の中でだけなんとかするのは難しい状態になっているんじゃないかなと思いますので、チームのためにも、そして何よりもAさんのためにも、中だけでなんとかする以外の選択肢がとれる、もしくは誰かの力を外から借りるということができるといいんじゃないかなと思います。

ちなみに、私たちのチームは問題対処という観点ではなくて、誰もが斜めの相談者や支援者、なんなら社外のメンターなんかも、業務を推進する上でつけてもらって、とにかく固定化しない関係の中で誰もが相談できるし、支援を受けられるし、業務を進められるということを割りとスタンダードにしています。
そこまでの手段が日常的に取れるということはなかなか難しいかもしれないですけれども、ただ直接の利害関係者だけでは難しいこととか、直接の利害関係者だけではなんとかならない状況にはまっているということもありますので、そんなときにいろいろ手を変え品を変えの手段が取れるといいんじゃないかなと思って共有させていただきました。

年上メンバーさんは何が得意で本来はどんな人なのか、知るところからはじめてみる

最後に感想ですけれども、可能性があるとしたらどんなところにあるかですけど、まず質問者のゆかさん自身もまったく違う部署から異動してきて仕事に慣れていったというステップが踏めているという事実がありますので、ゆかさんは何をどういうステップでクリアしたのか、何から順番に覚えていくとこの営業チームでの仕事でうまくオンボードをすることができたのか、ここに何かもしかしたらヒントがあるかもしれないですよね。
経験者採用みたいな形になると、「当然知ってるからできるよね」みたいな形で、丁寧には支援をされないとか、教えられないとか、本人も経験者のプライドがあるから分からないってなかなか言えないみたいな構図って、結構起こりがちだと思うんですよね。
なので、お互いにゼロからスタートだよねというところで、何をどういう順番でクリアしていくとうまくオンボードができるのかということは、実はゆかさん自身の事実体験の中にもあるんじゃないかなと思いますので、この辺にもしかしたらヒントがあるかもしれないなと思いました。

そしてもう一つはAさんですけれども、ちゃんとできることもあるんですよね。勤怠だとか精算だとか、期日よりもだいぶ前にやりきることもあるということは、そういうのばっかりじゃなくて本来は期限通りにきっちりやりたいタイプかもしれない
そういう意味で、改めてAさんは何が得意なのか、前職ではどんなことをやってきたのかとか、なんでこの会社を選んで転職してきたのか、本来のAさんはどんな人なのか、ここを知るところから始めても、もしかしたら何か発見やヒントがあるんじゃないかなと思いました。

いずれにしても当事者間ではすでに難しいこともあると思いますので、ぜひ抱え込まずに、選択肢を多めに広げてうまく前進していくといいなと思いました。
ゆかさん、ご質問ありがとうございます。
本当に心から応援しております。

ちょっと長めになりましたが、最後までお聴きいただきありがとうございます。

今日も一日良い日にしましょう。

小田木朝子(おだぎともこ)プロフィール

人材育成・組織開発を行う株式会社NOKIOOの役員をしています。
“気合・根性・長時間労働の働き方を変えるヒント”をnoteとVoicyで毎日配信中。
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