見出し画像

6月18日 恥ずかしいところを見みられた

一匹の蛾が院内を飛び回っていた。
レジから右や左に飛ぶ蛾を見つめていた。
他にも誰かこの蛾を見ている人がいないか周囲を見渡すと、反対側の受付のおばさんがぼーっと蛾を見つめていた。おばさんは、僕よりも蛾を強く見つめているように思えた。余程暇なのだなと思ったが、ぼくも同じく暇だった。
地下2階に段ボールを運び終えて、上ボタンを押すと、エレベーターはかなり上の方の階から僕のいる場所へ、ゆっくりと降りてきた。
1階で一度止まってから、動かなくなった。誰かが降り、誰かが乗る時に、世間話が発生したと思われる。どちらとも会話が下手くそだったのか、中々世間話が終わらないようだったので、僕は地下2階のエレベーター前で、ラップをした。声に出して、好きなラッパーの、好きなバースを、ラップした。院内に大きな声でラップをしている人間は普通いないのだが、俺が大きな声でラップをすれば、院内に大きな声でラップをしている奴がいるということになる。そう考えると、なんだか興奮してきて、声も段々大きくなり、手も動いてきて、誰が知っている?誰が想像出来る?俺がここでラップをしていることを!!what!?why!?みたいななんか熱い気持ちでラップをしていたら、すでにエレベーターが開いていて、女の子が僕を見つめているではないか。
時々喋る可愛い女の子だ。顔がとても可愛くて、中身がクソみたいな女の子。
僕は割と彼女のことが嫌いなので、最近はすれ違ったり、話しかけられても、素っ気ない態度を取っている。それが功を奏して、なんかクールな感じにうつっている可能性もあるななんて俺は最近考えていた。

お疲れ様です!!!!!
とめちゃめちゃ元気に挨拶して、急いでエレベーターに逃げ込んだ。



この記事が参加している募集

落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。