スクリーンショット_2018-12-23_3

6月27日 もうすぐ夏が来る

会社を辞めて、働くことを辞めてしまっていた時期がある。
数年前のことだ。PS4、PSvita、3DS、テレビ、ブレーレイ再生機、電子レンジを売って、最終的にはドライヤーまで売った。シャワーを浴びてからどれほどの時間がたてども髪が乾かないというのは、なんだか自分が貧乏なような気がして、精神的にきついものがあった。実際に貧乏だった訳なのだが。
食べ物も固形物からゼリーへと変化していき、体重もみるみるうちに減って行った。味のないゼリーがデカければデカイ程、虚しさが増した。
外を歩いていても、ほとんどのことを感じることができず、白黒の世界で生きているみたいだった。

景色に色がつき始めたのは、バイトを始め、ほんの少しのお金を手に入れるようになってから数ヶ月が経過してからのことだった。
手を引かれる少年少女を見て不安になるのも、咲いている花に気を取られたりするのもそれからのことだったように思える。

今日もこうして呼吸出来ていることや、空腹を満たせることに心から感謝をしている。これ以上何も必要がないように思えたのと同時に、これ以上を欲すれば全てを失ってしまうような気がしてならない。
今、とてつもないくらいに幸せであることと、これ以上の何かを求めることは無関係なのかもしれない。そうであって欲しい。

生活を知ってから、これまで何度か生活に殺されかけたことがある。
晴れていれば晴れている程、呼吸がしにくい。
もうすぐ夏が来る。
胸をはって生きるのだ。

この記事が参加している募集

落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。