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10月5日 映画「ジョーカー」と目の前の席のバカップルの話。

昨日は映画「ジョーカー」を見た。金曜のレイトショーということで、教養や知識を日々軽んじているような人達で場内は満席で、観る前はとても不安な気持ちになった。
ウェイトレスのようにホットドックとポップコーンが乗ったトレーのようなものを片手で運んでいる奴は、一体何しに来ているのだろう。

目の前の座席のカップルは見るからに偏差値が7~9で、樽のようなポップコーンを一つずつ手に持っていた。男の方は座高が物凄く高いのにも関わらず、背もたれに背中をつけない座り方をするので、映画が始まってからの一時間はジョーカーと彼の後頭部を眺める羽目になってしまった。
出来るだけ彼の後頭部が視界に入らないよう、僕も背もたれから背中を少し浮かす訳で、となると後ろの人もまた背もたれを利用できない訳で、となると一番後ろの座席の人は幾重にも重なる後頭部とほんのちょっとのジョーカーを見ることになってしまったのかもしれない。

何故彼女を通路側に座らせたのだろうか。男が端であれば角度的に誰も迷惑を被ることがなかったであろうに。
彼女も彼女でずっとポップコーンを食べていて、それが気になって気になって、私はポップコーンと後頭部とジョーカーの3つを同時多発的に鑑賞することになってしまっていた。

ポップコーンを一つずつ指で摘むようにして食べる彼女を見て、後ろから怒鳴り散らしそうになった。予告中に甲高い声で「お腹すいたああ〜」と喚いていたことを思い出し、より一層不安な気持ちになった。あと何回、摘めばその樽のようなポップポーンは無くなるのだろうか。
音を立てないように、口の中でゆっくり潰す食べ方にも段々腹が立ってきた。
映画館でポップコーンを食べるような奴が、食べ方に配慮するというのは、強盗をしたのにも関わらず、店に申し訳ないからと2/3の金は残しておきました。と言っているのと何も変わらないではないか。ポップコーンという名の武器を場内へと持ち込んだ時点で、私は恐怖を覚えました。

彼女がいつどこでポップコーンに手を伸ばすかというと、それは映画内の音が静まっているシーンである。彼女的には盛り上がっていない所で、ポップコーンに手を伸ばせば少しは迷惑をかけなくて済むだろう考えたのだろうが、全てが裏目に出ている。逆なのだ。むしろめちゃくちゃな爆音が鳴り響いている所で、思いの丈をポップコーンにぶつけてくれと、シリアスなシーンでゆっくり音を立てて食べるなと私は言いたいのである。

がこんな阿呆でも、途中から完全にポップコーンに手を伸ばすことを忘れていた。
僕は映画から目を逸らし、場内全体を見渡したのだがあんな光景は初めて見た。映画のみが動いていたのである。
全員が自分の奥底にある形容し難いグチュグチュした部分を鷲掴みにされているように見えた。
とにかく爽快な映画だった。あれを見た自分が「爽快」に感じたということは、自分はきっとそうゆう所で悶々としているからだろうと思った。
見た後に、自分を無視出来なくなる映画は改めて素晴らしいと思った。


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落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。