8月10日 女の子が僕を嫌う理由と、僕が気持ち悪い理由。
女の子ってのは本当になんなのだろうか。
何故あそこまで可愛いのだろうか。
容姿云々に限らず、本当に可愛いと思う。
何を綺麗事を!と言われてしまうかもしれないが、
僕はどんな容姿だろうが異性を目の前にすれば、声が震えてしまう。
虫や野良犬、野犬、砂利、石、ゴミ等々の前で、僕が堂々と出来るのは、
これらが「可愛い」ではないからなのである。
女の子は存在そのものが可愛いのである。
あと、めっちゃ怖い。
女の子が何かに対してする、「うわっ!」ってリアクションって
本当におっかない。この「うわっ!」の中には、キモいとか、気色悪いとか、キモいとかそうゆう嫌悪感の意が含まれている。
別に「うわっ!」って声に出して言う訳ではない。
「うわっ!」って目をするのである。
そんな目で見られると、興奮するか死にたくなるかのどちらかなのだが、
僕は後者の方である。
しかもあの「うわっ!」ってのは生理的な問題であり、至って理性から遠のいた所から湧き上がったリアクション、つまり同じ生き物として感じた本能的嫌悪感のようなものなので、なおさら傷つく。
そして、彼女達の「うわっ!」は理由はどうあれ、間違ってはいないのである。
何の話をしているんだろうか。
そうだ、そうかイライラしているのである。
働いている売店は病院の中にある。
レジの向かい側は病院の受付となっていて、そこにある一人の女の子がいた。
レジから彼女に手を振ると、彼女もこちらにニコッとして手を振ってくれる。トホホ。すれ違い様に話しかけると、彼女は足を止め一歩こちらに近寄った。僕のパーソナルスペースに彼女のつま先が入った。偉大。
「うわっ!」という反応をしない彼女を見て、社会的に認められた気がした。
電車。僕の隣の席だけが空いているのに、しんどそうにつり革に捕まっている女子大生を見ると、ほら、この星から消えてしまいたくなるでしょ?
彼女は僕のパーソナルスペースにつま先を入れた、つまり彼女は隣の席が空いているのにも関わらず、僕の膝の上に座ったのである。有難い話である。ちなみに見栄の話というか、プライドというかそういったものの話になるのだが、僕は「うわっ!」と言われるような外見や容姿をしている訳ではない。厳しく見積もって72点の容姿である。色白奥二重なので、色白奥二重が好きな女性にとっては100点の容姿だということだけは、書いておきたいと思う。
僕が「うわっ!」というリアクションを異性からよくされしまうのは、自分の内面が、行動や言動に出た時である。俺はカッコイイんだ。
僕のパーソナルスペースに足を踏み込んだ彼女は、「明後日でここの仕事が最後なんです。」という突然の別れを僕に告げた。「ふ〜ん、そうなんだ。」と淡白に口では言ったものの内心では、え!?!え!?え!?え!?あ、そうか、ああ成る程、え!??となっていたのである。
そしてその明後日が昨日だった訳である。つまり彼女に会うのが最後の日だった訳だが、結論から述べると僕はこの日一度も自分から彼女と目わ合わそうとせず、そして偶発的に目が合ってしまっても目を逸らし、狭い通路で彼女とすれ違っても素知らぬ顔をしてしまったのである。今考えると、なんて奇妙なことをしてしまったんだと悔いが残る。普通に挨拶をすれば良かったのではないかと、思う。が、僕は毎回、毎回こうゆうことをしてしまうのである。
「フックです。フックが欲しかったんです。」
と昨日の僕は供述している。
「また、どこかで会いましょう」なんていう、何の足しにもならない、というか何も言っていないに等しいことを言っても仕方がない。例えば彼女の中に「また、どこかで会いましょう」という僕の台詞が残っていたとしても、終業後「ああ、腹減り、腹減り」などという感情で、ロケット鉛筆のように僕の台詞は彼女の記憶の外へ押し出されてしまうのである。そんな数時間後には忘れてしまうような台詞を吐くぐらいでしたら、一層悪態をついてですね、なんか強い印象をせめて残したいと思ってしまうのが、男の子なんですね。悪態と言っても、無視をする、不機嫌そうな顔をする、と言った程度のことでして、とにかく何だろう、いい人だったな、と思われるくらいだった、奇妙な人だったなと、帰りにトイレットペーパーを買う、明日の朝宅配が届く、などの記憶の隙間に僕をねじ込んで欲しいと切に願うのであります。
分かっている。これは完全に間違った思考であることも。だけど、昨日の僕はそれをしてしまった訳なのである。
何度か彼女がこちらに視線をやってくれたのも分かった、が、僕はそれを無視した。こいつはトンだキチガイ野郎だと、思われたかもしれない。
だとしたらいいではないか。印象に残るという、当初からの目的は達成出来ているではないか。そんなはずがない。キチガイだと思われたい訳がないのである。
何がしたいんだ俺は。酷く落ち込む。
緑を眺めたいと思い、ふと売店の中から外に目を向けると、彼女の背中が見えた。ああ、今になって思う。普通に手を振れば良かったと。
目の前の分厚いガラスで声が届かない。名前を呼びたい。
以前、名前は何だっけ?と聞いた時、彼女は首から下げている自分の名札を手に持って、僕の顔の前に持ってきた。いい子だった。
ああ、もうダメか。僕は彼女の中で奇妙な男として終わってしまうのか。そんなことを思いながら、彼女の小さくなる背中を見つめていると、突然彼女は振り返った。
目が合った。
神様っているのかもしれない。思いは伝わるんだ!!この時ばかりはそんなベタなことを思った。
ごめんなさい、変なことをして。僕は心から謝罪の意を込めながら、小さく握った拳を更に強く握り直し、無視をした。
帰り道、HIP HOPを聞きながら駅に向かった。
途中、何度か浴衣を着た女性とすれ違った。3人目くらいで、知った顔だということに気がついた。看護師や、病院の受付のお姉さん達である。
そしてその隣には、医者や若い男の研修医がいた。
改札の前で、浴衣を着た看護師数人と、医者の集まりがあった。
一人と目が合った。「コンビニの人だ。」という顔をされた。
奥の方からゾロゾロと酔っ払った、病院関係者達がやってくるのが見えた。
僕は急いでスマホを取り出し、「〇〇駅 祭り」と検索をした。が、この駅周辺でお祭りは行われていなかった。では、何故数人の看護師は浴衣を着ているのだろうか。何故、僕がアイスカフェラテをたまに奢ってやる無愛想なギャルが、浴衣を着てニコニコとしているのだろうか。
卑猥、不埒、エッチである。
僕は改札前を通り過ぎ、どこからこの集団は流れてくるのかと、その源泉を辿ろうとしたのだが、途中で「うわ!っ」となった。
僕はもう一切の女性と関わることを辞めようかと思う。
このままでは、自己肯定感の欠片すらもなくなってしまいそうだ。
手を振る自分も嫌い、手を触れない自分も嫌い。どうしようもないのだ。
昨日から僕は「女の子」を視界に入れないようにしはじめた。
もう女の子は僕の世界からいなくなったのである。
ここから振り返ると、これまで書いてきたことも全てなかったかのように思える。本当に彼女達はいたのだろうか。よう分からん。
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落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。