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【虎に翼 感想】 最終話 100年先に……さよーならまたいつか!



平成11年

この年に、男女共同参画社会基本法が成立した。

第2条
男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。

男女共同参画社会基本法

優未は50代となり、自宅で着付けと茶道教室を開き、雀荘の仕事と寄生虫研究の雑誌の編集をしている。さらには、まだまだ現役で忙しいと思われる直人夫婦に変わってか、80代になった花江とひ孫たちの面倒をみていて、とても忙しそうだ。
嫁に来て猪爪家の味の習得に悩んでいた花江が、今や猪爪ピラミッドの頂点に君臨している。だいぶ前にはるさんの「人生に悔いはない」との最期の言葉の領域に到達している花江だが、直道たちに会えるのはまだまだ先のようである。

忙しい優未だが、そんな中でも笹竹で息抜きすることを日々の楽しみの一つとしている。
初めて本物の竹むらの外観が映る……神田郵便局の近くだから、現代の法曹界隈にも馴染みのある光景……平成になっても笹竹の団子の味は受け継がれているのだ。

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並木美雪は、特別な人生ではなく、完全なる市井の人としての人生を送っていた。
解雇されようとしているのに自分に非があると、自己肯定感も下がっていた。橋の上を佐田優未が通りかかったのも巡り合わせなのだろうか。

山田轟法律事務所もきっと、よねと轟と理想や理念を一つにする若い弁護士に引き継がれているだろうし、汐見法律事務所(仮)も、薫が跡を継いでいるはずだ。

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朋一は離婚していたが、離婚後のほうが関係は良好のようだ。ここにも1つの家族のあり方がある。
朋一とのどかは、すっかり芸術家肌な兄妹の姿になっている。意外と、ピアノが好きだった母親の影響を受けていたのかもしれない。

航一は90才前後だが元気そうではある。子どもたちに縛られず自由に過ごしたいと、老人ホームで生活し、時おり自宅へ戻っているようだ。

老人ホームへ入居する航一、自宅で着付けと茶道教室を開く優未の姿は、比較的裕福な家で、比較的恵まれている側の人間の生き方ではある。解雇を言い渡された並木美雪の姿と橋の上に映る女性たちは、そんなふうに生きられる人ばかりではないと伝えているようにも思えた。

優未は優未なりに、法とは、特に法律とは何かを考えていたようだ。美雪と会話をしたときのように法律に触れたときが、もっとも寅子を近くに感じられることだし、それがゆえに、優未にとっての寅子は法律そのものとなっている。

法律は常に市井の人々の身近にある。
この世に生を受けたときから、さまざまな法律に基づく権利を持っている。
悩む者にはいつでも寄り添い、心を軽くしてくれるもの。
争いごとをなくし、最後まで穏やかな人生を送れるようにするためのものでもある。

航一は、船に乗って航海の旅に出ている寅子と、心の中で会話を楽しむ。
今日は特に、あの日のことが思い出されるのである。


春が巡り来る

時はさかのぼる。
桂場:
「私は今でもご婦人が、法律を学ぶことも、職にすることも反対だ」
「法を知れば知るほど、ご婦人たちはこの社会が不平等で、いびつでおかしいことに気づき苦しむ。そんな社会に異を唱えて、何か動いたとしても社会は動かないし、変わらん」

その考えはすでに過去のものだとも言い切れない。だが少なくとも、一歩ずつ変化はしてきている。
今日(2024年9月27日)だって、遅いくらいだが女性総理が誕生する一歩手前まできたところだ。誰がという点はさておき、いずれは誕生するだろうと。物事は少しずつ進んでいる。

女性が声を上げても押さえつけられていた時代があった。
男性がこぞって女性のことを ”守らねばならない存在” と、ある種特別扱いし、孤立させてもいた。
それでも声を上げた女性は奇異に映り、さらに踏みつけられていた。
だがその声はほんのわずかだとしても、消えることなくちゃんと残っている。

女性だけではない。声を上げることを体現してきた者たちを目の前にして、桂場もはたと気がつき、「失敬、撤回する」と笑ったのだ。

話を聞き終えると、ようやく寅子が桂場の顔についていた花びらを取りのぞいてくれた。誰も教えてくれなかったら、あやうく最後まで “孤高” の人生を送るところだった。

「今変わらなくても、その声がいつか何かを変えるかもしれない」

寅子はこれまで、雨垂れの一滴になることを強いられていたし、女子部の皆も、一滴すら残せずに消え去っていたこともあった。
穂高教授は最後、雨垂れの一滴にすぎなかったと、そうならざるを得なかったと諦めてしまった。
だが寅子は、最後は、未来の人たちのためにその一滴になることを自分で選んだのだ。笹竹にいる全員が、実感を持って寅子の話を受け入れている。

地獄の道は、本当に長い道のりだった。幾度も季節が巡り巡って、今、皆が自分で選んだ道を軽やかに進んでいる。

春を見た

はるさんに「どう?地獄の道は」と問われ、全力でマルを作る寅子の姿は、完全なる娘の姿に戻っていた。法曹の道を志したあの頃に。


100年先に……さよーならまたいつか!

「またいつか」とは絶妙な言葉だと思う。
また会いたい気持ちを伝えつつ、けっして相手に強制はしない。

寅子は最後まで、私たちを個人として尊重してくれた。
そして姿なき後も、法を、法律を、憲法を体現してくれる存在であり続ける。

おわり


「虎に翼」 9/27 より


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おっちぃ
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