第三章 美容師から料理人へ(大阪編)
皆様、ご機嫌いかがでしょうか。本日は、私が美容師から料理人へと転身した経緯についてお話ししたいと思います。
経験を活かした料理への情熱
私の料理人としてのキャリアは、独立を目指していた美容師時代に端を発しています。数年にわたり、夢に向かって精進してきましたが、予期せぬ事態により独立計画が頓挫し、その時点での退職を余儀なくされました。そんな時、不安と期待が交錯する中で、私は新たな挑戦として飲食店でのアルバイトを選択しました。
師匠との出会い、出会いが運命を変える
その選択が、私の人生を大きく変える転機となりました。オフィス街にある一軒の居酒屋で働き始めた私は、そこで人生の師とも言える方と出会います。美容師時代に培った、「技術習得には正しい知識と多くの実践が必要」という考えを基に、忙しい店舗を選びました。その店は、西洋料理をベースにしたカジュアルながらも技術的に高い水準を持つ洋風居酒屋でした。料理は分かりやすいものでしたが、実は現代的なフュージョンやイノベーティブ系の料理に近いもので、多くの方々から支持を受けていました。
師匠と共に働くことで、私は料理に対する深い洞察と基本的な調理技術を学ぶことができました。「煮る」「焼く」「揚げる」「蒸す」という基本的な調理法の重要性を教えていただき、どんなに新しい技術や料理が登場しても、これらの基本に立ち返って冷静に分析することで理解できるようになりました。師匠が初心者だった私に対して、分かりやすく指導してくださったことに、今でも深く感謝しています。
新たな道への挑戦
しかし僕の料理人としての道のりは予期せぬ転機を迎えました。師匠のお店が物件の立ち退きで閉店することになり、次のステップを模索することに。師匠の影響を受けて、私も西洋料理をベースにした独自の料理を追求したいと考え、フレンチに進みたいと師匠に相談しました。師匠は「君は美味いもの屋がやりたいんだと思う」と言い、フランス料理の工程の多さと習得に必要な時間を踏まえ、フレンチよりもう少しシンプルなイタリア料理に進むことを勧めました。そして、イタリア料理で西洋料理のエッセンスを学んだ上で、さらに深掘りするなり、フレンチに進みたいと思えば、その時に転職すれば良いとアドバイスしてくれました。
このアドバイスに従い、僕はイタリア料理の素晴らしい世界に飛び込むことにしました。イタリア料理店での経験は、僕にとってまさに新たな料理の世界の扉を開いてくれました。シンプルでありながらも、奥深いイタリア料理の魅力に引き込まれていきました。また、料理人として重要な食材の選び方や調理法も、ここで学ぶことができたんです。
師匠からのアドバイスとイタリア料理店での修業は
僕の料理人としてのキャリアにおいて非常に重要な転機となりました。
勤めるお店を選ぶ上で、私が重視したのはその忙しさでした。新しい技術を習得するには、たくさんの実践が必要だと考えていたからです。選んだお店は、ランチもディナーも連日大忙し。面接に行った時にちょうどスタッフが一人辞めるタイミングだったため、スムーズに採用されました。
休日は週に一度だけで、年間で長い休みがあるのはお盆とお正月だけ。しかし、朝9時から夜が更けるまでの長時間労働、しかしそのおかげで料理技術を一気に習得することができました。このお店では、デザートから始まり冷製の前菜、そして手打ちパスタまで、幅広いメニューを学ぶ機会がありました。特に、ラビオリやトルテリーニなど、具を詰めたパスタを作りながら、似た気候の地域では似た食材で似たような料理が作られていることに気づきました。例えば、餃子やシュウマイ、小籠包など、粉ものに具を詰める料理は、世界の様々な場所で共通しています。働きながら、料理の多様性と地域性の深い関係に感心する日々でした。
気候と食文化の不思議な関係、地中海とアジア、気候に根差した食の伝統
みなさん、気候が私たちの食べ物にどれだけ大きな影響を与えているか、考えたことはありますか?同じような気候の地域では、よく似た食文化が育つんですよね。これって、なんとも面白い現象だと思いませんか?
たとえば、温暖な地中海沿岸ではオリーブオイル、トマト、ニンニクを使った料理がよく見られます。これらの食材は、その気候で育ちやすいんです。一方、アジアの稲作が中心の地域では、米を主食とする食文化が発展しています。気候が似ている場所では、自然と育つ作物が似通っているから、料理も似たようなものが生まれるんですね。
食事の時間帯も気候が左右する、食文化はその地の歴史と自然の証
異なる地域と似た食事
もう一つ面白いのは、気候が食事の仕方にも影響を及ぼしていること。暑い地域では、日中の熱い時間を避けて、早朝や夜にメインの食事をとる文化があります。これは、エネルギー消費を抑え、体を冷やすための賢い工夫なんです。
つまり、私たちの食文化は、その地域の気候や自然環境に深く根ざしているんです。食べ物はただの栄養源ではなく、その地の歴史や、人々が自然とどう向き合ってきたかの証なんですよ。だから、違う場所の料理を食べるときは、その土地の気候や文化に思いを馳せてみるのも一つの楽しみ方ですね。
パスタとアジアの餃子、自然とのつながりを感じる食文化の探求
ところで、僕がイタリア料理を学んでいた時、手打ちパスタを作りながら、気候が似ている地域では似たようなものが作られることに気づきました。ラビオリやトルテリーニといったパスタは、実はアジアの餃子やシュウマイ、小籠包に通じるものがあるんです。遠く離れた地域でも、似たような気候で同じような食べ物が生まれるんですね。なんだか、地球上のすべてがつながっているようで、不思議な感覚になりますよね。
人間も自然の一部。僕たちの食文化も、この大きな自然の流れの中で育ってきたんだと思うと、なんだか心が温まりますね。ちなみにこの感想を営業中の先輩に話したら、
そんなこと良いから早く仕上げろと怒られました。タイミングって大事ですよね(笑)
この経験を通じて、西洋料理に対する理解も深まり、僕の料理の幅も広がっていったんです。イタリア料理を学ぶ中で、料理のシンプルさと食材の良さを最大限に引き出す技術の重要性を改めて感じることができました。そして、その後、自分のレストランを開くことができ、師匠の教えを活かしたメニューを提供しています。
次回は料理人の東京編をお送りします