迷路の出口と入口って似てるよね

チュチュトンッ!!

プラスチックの矢が電子的(でんしまと)の真ん中に突き刺さり、軽快な音が鳴った

3回目のLowTon

特に上を目指しているわけではないけど、なんとなく、無思考で楽しんでいる、そんなところ

会社と家の往復、そんな繰り返しの日々に少しだけ代わり映えがほしくて、埃を払ってここにきた

それなのに、その非日常の中でも繰り返される同じ現象の繰り返し

隣でキャッキャッする人らは、楽しいが日常の中で繰り返されているのだろうか

チュチュトンッ!

楽しむためには、楽しもうとする心と、楽しめるだけの技術が必要

なんかの本で、その文章を読んだ時、もう手遅れだなって、静かに思ったのを思い出した

チュチュトンッ!!

楽しいという感覚がわからない、毎日同じタスクを消化するのに一生懸命で、その繰り返しの作業外に気を回せないのだ

最後に笑ったの、いつだっけか

チュチュトンッ!!!

派手な演出が画面に流れた

ただ目に見えてるという状態、思考も感情も、意識も意図も、ただその映像を眺めている、だけの状態


ーーーーーッ!!!!


突如、正気に戻る

隣の人らが、こちらを、あの映像を見て、盛り上がっていた

歓喜が舞っている、誰に向けられているのかわからない、歓喜が舞っている

興奮気味に、けれど丁寧に、わたしに声を投げかけてくる

戸惑いとこっぱずかしさでぎこちない挙動のわたしに、容赦なく、歓喜を投げかけてくる

その人らは素人のわたしに、コツやら何やらを尋ねてくる

わたしはその人らに素人ならではの、拙い言葉を返していく

うまくいっても、うまくいかなくて、ハイタッチしたり、抱き合ったり、忙しいその人らを見て、わたしは、ほんの一握り、でも確かに感じた

楽しい

会社と家の往復、そんな繰り返しの日々に少しだけ、とても大きなひびが入った

最後に笑ったの、いまだった

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