見出し画像

不足を補うだけでは足りないこと。


五輪の女子サッカーが敗退。

それでも最後3点目の前までは

この大会で一番良かったかなと。


3点取られたあとはもう完全に

スウェーデンの手のひら。

日本は持たされて相手を崩せず。


個人的に思うことは

何が足りなかったのか?

ではないのだという視点に

カギがあると思っている。


足りないから負けたという

不足を補う発想ではなくて

現時点で通用するものを使って

解決できることはないのか?


その通用するものを

状況に合わせて発揮できなかった

理由はなんなのか?


そして何より、自分たちだけが

力を出せれば勝てるわけではない。


相手がいる。

負けたくないと

必死に守ったり、攻めたりする

抵抗する戦いを挑んでくる

「相手がいること」を

忘れてはいないだろうか。


もちろん自分が力を出せれば

結果はついてくるということも

あるにはあるが。


相手があって、相手がいることで

うまくいかないときに何ができるか。

その修正力を発揮できなかった。


コロナ禍によって実戦経験が不足して

あるいはいつもと違う無観客という

特殊な空間で実力どおりのチカラを

出せないで終わった。


今回のオリンピックでは

他の種目でも見受けられた光景だ。


技術を高めるとか、

フィジカルを高めるとか

そういう足りない部分を

補えば追いつける、

じゃない気がします。


材料を揃えたら、みんなが

同じ料理がつくれるか

といったらそうじゃないでしょ?


機械がつくるのではなく人間がつくる。

人間が判断して、人間がプレーするから

だから不確実で、感情的で面白い。

だから、ドラマが生まれる。


監督がモノつくってるような感じ。

まるでサッカーゲームのオーナーや

プレイヤーになったかのように。


選手をそろえ、トレーニングを重ね

そのとおり発揮したら勝てるみたいな。

人間ってそうじゃないでしょ?

サッカーゲーム脳、はびこりすぎてない?


その材料の品質をそろえてあとは

調理器に入れたら、出来上がるのか。


ランクの高い選手を育成したら

そのとおりにチカラを発揮するのか。

サッカーゲームじゃないですよね?


たぶん、あれをこうしたらいいとか

そういう意見はいろいろと出るでしょう。


しかし、手持ちの材料を調理しながら

ピッチでアレンジするのは選手本人です。


レシピ通り調理する環境が整いすぎて

レシピ通りやるけど、相手もそのレシピは

知ってるから対応されてしまうでしょ?

そこで何ができるか、です。


なんかね、出来なかったことが

自分で出来たら、相手を上回れる。

その考え方が強すぎる気がしてる。


もちろんそういう競技もあります。

でも相手がいる競技の場合、

相手も対戦中にでも対応してくる。


相手が「させない」流れをつくれば

その流れを打開するために

手を打たなくてはならない。


その時、想定どおりでないと

何もかも出来ないのであれば

何もできないのと同じこと。


自分の弱点をただ単に埋めるだけでは

解決できない問題なんですよね。


日本人の弱点として明白でありながら

変化への対応力がつかない永遠の課題を

見ようとしてこなかったのではないか。


問題は日本人のもつメンタルにある。

自分が出来れば、願いは思い通りに叶うのか。


甘美な理想を求めるあまり、

リアリストである必要を私たちは

後回しにしてきたのではないか。


実戦のなかでアドリブ的に対応して

考えるチカラを、育ててこなかった。


準備してこなして、その通りできれば

世界一かもしれない。


しかし、チカラや能力どおりに

発揮できない環境におかれたとき

何ができるのか、対応を瞬時に考えて

実行できるのか。


現時点で、できること。

限られた時間の中で考え

対応して有利に進めるためにできること。


教えられるものに答えはなく、

自分で考えてつかみとっていくこと。

こなす、だけでは得られない。


技術や能力ではなくて、判断力や対応力。

ここを伸ばしていくやり方を

監督も選手も意識していくべきでは?


たとえ能力が不足してるとしても

不利な状況でも考えてできることは

たくさんあるのではないだろうか。


教える、揃える、覚える、できる

ではない。

気づく、考える、変える、対応する。

そういう分野を身につける。


これは何もスポーツに限らず

日本全体の課題になっている。


見ないフリしてるだけで

相手がいなせば、対応できずに

何もできない日本。


いくら技術が高くても

発揮させなければ何も怖くないと

思われるだけですよね。


ベスト4に残った男子サッカーも

そういう局面に出くわしたとき

どう対応して、修正して実行できるか。


ニュージーランド戦はそれに近い

状況であったような気がします。


勝負の分かれ目は能力の差ではなく

その対応力の差になってくるのではないか。


技術云々に意識を向ける前に現時点で

考えればできることを伸ばすこと。

シンプルだけど強い国が当たり前に

やってのけてることではないだろうか。


不足を補うだけでは足りない。

それでは、補えないんだと感じますね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?